ケアレスミス対策!なかなか治らないミスを減らす6つの方法 【受験のプロ直伝】
子どものテストや宿題を見ていて気になるケアレスミス。本人は「ミスしただけ」と軽く見ているようですが、本当ならば取れる点数を逃しているのはもったいないですよね。実は、なかなか治らないケアレスミスには、ただの注意不足ではなくケアレスミスを招きやすい理由があります。その理由に合わせた対策を行ってケアレスミスを減らし、子どもが実力を発揮できるように受験のプロである村上敬一さんが解説します。
「見直そう」だけでケアレスミスが治らない理由
ケアレスミス対策といって真っ先に頭に浮かぶのが、「見直しをさせること」ではないでしょうか。しかし、実際はどうでしょう。なかなか治らないのではないでしょうか。なぜ、そうなってしまうのか、その理由を説明していきましょう。
【理由①】本気で見直せばできると軽く考えている
ケアレスミスは“うっかりミス”とも言われることから、「本気で見直しをすればミスはしないはずだ」と勘違いをしがちです。
しかし、そもそも“本気で意識しなければ見直しができないこと”こそが、ケアレスミスの問題です。大人はつい簡単に「見直しなさい」と言いがちですが、「見直す」という行動を当たり前にできるようになるためには“習慣化”が必要です。
幼い頃に歯磨きの習慣を身に付けた過程と同じで、意識的に継続してトレーニングして初めてできるようになるものなのです。
みなさんの周りにも、仕事上で大事な顧客の名前を間違えたり、重要書類にも関わらず書き損じや不備が多かったりする人はいませんか。こういう人は、ケアレスミスのせいで信用まで失ってしまう危険性があることにも気付かずに、ケアレスミスを減らすためのトレーニングをしてこなかったのかもしれません。
【理由②】ミスは仕方ないとどこかで思っている
次に挙げるのは、「ケアレスをしてしまうのは性格なのだから仕方ない」と考えることを放棄してしまっているパターンです。
しかし、ケアレスミスは多かれ少なかれ誰でもしてしまうもので、性格だけの問題ではありません。ミスが少ない人だって元々そうだったわけではないのです。彼らは“速く正確に処理し、必ず見直しをする時間をつくる”というトレーニングを徹底して行うことでケアレスミスを減らしているのです。
【理由③】“きちんと”見直したつもりになっている
よく親や教師は「きちんと(ちゃんと)見直しなさい」と言ってしまいがちです。しかし、自分では“きちんと”見直しているつもりなのにケアレスミスが減らないと悩んでいる子どもは意外と多くいます。
では、“きちんと”とはどのような状態を指すのでしょうか。
実は、この具体性のない曖昧な表現が子どもを困惑させる原因になっているのです。“きちんと”の中身を具体的に表現するならば「自分がどんなミスをしやすく、どこをどのように見直せば良いかというポイントがわかった上で」見直すということになります。つまり“正しい見直し方”を知らないからケアレスミスが減らないということですね。
見直すことがケアレスミス対策にならないわけではありません。ただ、やみくもに、見直すのではなく、しっかりと時間を取り、正しい見直し方法を知っていく必要があります。
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村上さんへの相談ページを見てみるケアレスミスをする5つのパターン
では、正しい見直し方を知ることも踏まえて、ケアレスミスには、どのような対策をとればいいのでしょうか。適切な方法を知るためには、まず、「なぜケアレスミスをしてしまうのか」という理由を知らなければなりません。ケアレスミスを招く理由は、次のようなパターンが考えられます。
【パターン①】書き間違いや単位などの付け忘れ
漢字を書き間違えてしまったり、kgをgと書いてしまったり単位まで書いていないというミスが多い子の場合、そもそも見直しをしていなかったり、正しい見直し方を知らなかったりするのかもしれません。
【パターン②】記入欄ズレ・転記ミス・問題の解き忘れ
そもそも解く前に問題数や解答欄の確認をしていない場合もありますが、多くは見直しをしていない、あるいは見直しの時間が取れていないことが考えられます。
【パターン③】時間配分に失敗をしている
テストの際に時間配分を考えていなかったり、決めた時間通りに解き進めることができなかったりして、時間が無くなってしまい見直しがほとんどできていないパターンです。
【パターン④】問題文の読み取り(インプット)ミス・解答の伝達(アウトプット)ミス
問題文の読み取りミスとは、相手の意図を正確に理解できず意図に即した考え方や答え方ができないこと。そして、解答の伝達ミスとは、解答の字が雑であったり日本語として分かりにくい表現だったりするために、読み手が理解できなかったり勘違いしてしまったりすることです。
いわゆる“ミスコミュニケーション”の状態ですね。
大人になっても意外と多いのがこのタイプのミスで、仕事上で起こるトラブルはこうしたミスコミュニケーションが原因になっていることがほとんどといっても過言ではないでしょう。
【パターン⑤】自信があるので見直しはしない
「簡単に解けたから間違っているはずがない」と思い込んでしまうパターンです。しかし、自信がある問題こそ注意力が散漫になるため単純なミスが起きやすく、見直しの優先度を高くしなければならないのです。
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村上さんへの相談ページを見てみるケアレスミスを減らす6つの対策
まず大前提として「ケアレスミスは誰にでもあることであり、どんなに注意してもゼロにはならない」ということは理解しておいてください。これから示す方法は、上記の理由を踏まえた上で、“正しい見直し方”を知り“正しいトレーニング”を継続して行うことでケアレスミスを“減らす”ことができる方法です。
【対策①】タイムプレッシャー法
ケアレスミスを招くすべての理由に共通して有効なトレーニング方法が「タイムプレッシャー法」です。
タイムプレッシャー法とは、クイズ番組のように“時間制限のある中で正解し続けなければならない”というプレッシャーがかかった状態で行うトレーニングを指します。
例えば、算数や数学であれば、基本レベルの計算問題を決められた時間内で10問程度解く練習をします。解き終わっていなくても時間が来たら終了です。時間内に全問正解するまで、これをくり返します。計算ではなく、漢字や英単語に変えてもかまいません。
このトレーニングを続けることで常に焦ることなく“速く正確に解く”ことができるようになり、見直しの時間も取れるようになります。日頃からこのタイムプレッシャー法を以下の目的別対策と合わせて行うと、かなり効果が高くなります。
【対策②】“正しい見直し方”を理解する
【パターン①】に挙げた”書き間違いや単位などの付け忘れ”の改善をするためには、“正しい見直し方”が分かっていなければなりません。つまり見直しのポイントを理解させる必要があります。
まず、過去に取り組んだ問題と解答用紙を確認して、どんなケアレスミスが多いのか(単位の付け忘れが多いなど)を子ども自身に認識させます。その後、見直しの際には自分がケアレスミスをしやすい部分に特に注意するように促します。
また「どこかに必ずミスがあるはずだ」と考えて“間違い探し”のつもりで見直しをさせるとミスの発見率が上がります。日頃から「間違い探しクイズ」をやらせ、遊びの中で“ミス発見能力”を鍛えておくとより効果が高くなります。
なお、単位の付け忘れが多い場合は、問題文に印を付けさせるのも効果的です。例えば「面積は何㎡ですか」と問われていたら「㎡」の部分を丸で囲んでおく、などするとよいでしょう。
【対策③】見直しを“習慣化”する
【パターン②】に挙げた”記入欄ズレ・転記ミス・問題の解き忘れ”の改善をするためには、見直しの“習慣化”が必須です。
問題に取り組む際には、”事前に問題数と解答欄の確認をし、必ず見直しの時間を取り、特に自分がケアレスミスしやすい部分に注意して見直すこと“を毎回徹底して行わせてください。
ただし、先にも書きましたが、歯磨きの習慣を付けさせるのと同様に、何事も“習慣化”には必ず手間暇がかかります。特に脳の性質上、男の子は女の子より時間がかかります。
しかし根気良くトレーニングを続けていれば、やがて無意識に刷り込まれて徐々にできるようになっていきます。「なぜすぐにできるようにならないの」と焦らず、どうか腰を据えて見守ってあげてください。
【対策④】時間配分を考える
【パターン③】に挙げた”時間配分に失敗する”ことの改善に効果的なのが、テスト開始時に“見直し時間を含めた”時間配分を考える習慣をつけることです。
例えば、50分の算数のテストで大問(分量や配点の割合が相対的に大きい問題のこと)が4つある場合、大問1の計算問題は5分、大問2は得意な問題だから10分、大問3は15分、大問4は作図があるから15分、見直しの合計は5分などと時間配分を考えさせます。
また、見直しのタイミングも重要です。見直しのタイミングは、性別や性格、科目によっても効果が変わることが特徴です。
例えば、すべての問題が終わってから見直す場合、大問ごとに見直す場合、また小問1題ごとに見直しをする場合などさまざまです。ですからタイミングも含めて時間配分を考える必要があります。
あくまでも経験則ですが、男の子の場合はすべて解き終わってから見直しを改めて行う方が集中力を増す子どもが多いようです。ただし、時間配分通りに進まなかった場合、時間が無くなってしまったり、問題の内容を忘れてしまって読み直したり、考え直したりするタイムロスが生じてしまうこともあります。その場合はテスト終了後のフィードバック(振り返り)を一緒に行い、次のテストではどのようにすればよいのかを考えさせると良いでしょう。
また、入試であれば満点を狙う必要はないので、難問や苦手な問題をあえて解かずに空欄にしておき、他の解答の見直しに時間を割くことも重要な戦略です。
【対策⑤】問題文に印を付ける
【パターン④】に挙げた”問題文の読み取り(インプット)ミス・解答の伝達(アウトプット)ミス”を改善するには、まずは問題を解くということはただ解答を書けばよいのではなく、作問者や採点者との“コミュニケーション”であることを理解させることが大切です。
ミスコミュニケーションの積み重ねが、やがて自分の信用問題に関わってくるからです。
具体的なトレーニング方法としては、問題文に印を付けることが一番簡単で効果的です。
算数・数学であれば「何を求めるのか」「単位は何か」「どの数値を使えばよいか」に関わる部分を円で囲んでおきます。国語であれば課題文そのものに加えて設問内の重要な部分、例えば「抜き出して」なのか「文章中のことばを用いて」なのか、「〇字以内で」なのか「〇字で」なのか、などの部分に印を付けます。
“印を付ける”というこのひと手間が、脳に注意を促し記憶につなげる重要な役割を果たします。経験則でいうならば、このひと手間をかけるかかけないかだけで、テストの点数が10~20点は変わってきます。
【対策⑥】ケアレスミスはただのうっかりでは済まされないと認識させる
【パターン⑤】に挙げた”自信があるので見直しはしない”タイプの子どもには、ケアレスミスでどれだけ人生で損をするのかを認識させることが大切です。
とはいえ小学生の場合は「大人になったときに…」と話してもピンとこないことでしょう。ですから、もしケアレスミスがなかったらテストであと何点取れたのかを見せ「もったいない」「悔しい」と思わせると効果的です。
いかがでしたか? どれも難しいことではなさそうと感じるかもしれません。ケアレスミスのパターンに合わせて対策を試してみてください。
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村上さんへの相談ページを見てみるケアレスミスを効率よくなくす方法
子どものためを思って何度も注意しているのに一向にケアレスミスが減らない。子を持つ親の多くが、このことに頭を抱え、不安や焦りを覚えているはずです。
その思いはとてもよくわかります。
しかし、ゆったりと構えて「ケアレスミスは子どもでも大人でも誰でもしてしまうもの」「ケアレスミスはあることが当たり前なのだ」という前提に立ち、いかにして少なくしていくかを考えることが大切です。
正しい見直し方で正しいトレーニングを続けたとして、どのくらいでできるようになるかは、性格や性別により個人差があります。時間がかかることを前提に、それでもできるだけ早く効果を出したいのであれば”褒め方”がポイントになります。
例えば、歯磨きの習慣をつける際にも、叱りながらよりも褒めながらの方が早く身に付きます。見直しの習慣化も同じです。前回よりも1つでもケアレスミスが減ったのであれば「見直しがうまくなってきたね。次はもう少し字を丁寧に書こうか。」などと褒めて励ましつつ、次の注意点を示唆してあげると、子どもは張り切って頑張ります。
焦らず・褒めつつ・正しいトレーニングを継続すること。これがケアレスミスを減らすための一番の近道です。
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