小学生から始める英検3級対策!試験のレベルや範囲、勉強法などを紹介します
小学3年生から教科として英語が加わったこともあり、子どもにとって英語は身近なものになりました。子どもが興味をもって英語に取り組む姿を見ると、英語への興味や英語力を伸ばしたいと思うかもしれません。そこで注目が集まり、受験者が増加傾向にあるのが英検です。そこで、最近では小学生でも合格者がいるという英検3級について英語講師の佐竹美緒さんが解説します。
英検3級の英語レベル,は中学卒業程度
英検には、1級から5級まで7つの級があります。英検のウェブサイトには、下記のように説明されています。
- 3級・4級・5級=英語の基礎レベル
- 準2級・2級=使える英語の幅を広げ、世界へ飛躍する力を養うレベル
- 準1級・1級=品格のある英語使用者として国内外で高く評価されるレベル
さらに、英検3級は「身近な英語を理解し、使用できることが求められるレベル」と説明されており、学校でいうと中学卒業程度のレベルになります。
英検3級の試験の内容とは
5級・4級は一次試験(筆記試験とリスニング)のみですが、3級からは二次試験(面接形式のスピーキングテスト)が加わります。
筆記試験では、3級から選択式の問題だけでなく、質問に対する回答を英作文で答えるライティングの試験もあり、難易度は高くなると感じるかもしれません。 ですが、英検は6割強が合格ラインです。
3級は、リスニング、選択問題、ライティングで構成されていますが、バランスよく得点する必要はなく得意なもので得点できて合計点が6割強になれば合格できるということも知っておいてくださいね。
中学卒業程度の英語力とは?
では、英検3級レベルとされる“中学卒業程度の英語”とはどのようなものになるのでしょうか。
中学校は2021年度から新しい学習指導要領に完全に移行します。学習指導要領とは、「全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにする」ため、文部科学省が学校教育法等に基づいて定めた基準です。
各学校は、学習指導用慮に基づいて教育課程(カリキュラム)を編成します。文部科学省のウェブサイトで閲覧できますので、一度、目を通してみるといいかもしれません。
新学習指導要領では、中学校で学ぶ語数は1600~1800語程度となっており、それまで学習指導要領にあった1200語程度から増加します。
一方で、小学校では2020年度から新学習指導要領に移行しており600~700語程度の英単語を学習することになっています。つまり、中学校卒業までに学習する語数は、2200~2500語程度ということになります。
また、英文法については、下記を学びます。
英検3級の範囲の英文法
<小学校で学ぶ英文法>
- can や do を使った疑問文
- 疑問詞(who / what / when / where / why / how)を使った疑問文
- 否定文
- 命令文
<中学校で学ぶ英文法>
- may や will を使った疑問文
- which / whose といった疑問詞を使う疑問文
- 形容詞の比較表現
- 現在進行形、過去進行形
- 現在完了形
- to不定詞
- 動名詞
- 分詞
- 受け身
- 関係代名詞
- 感嘆文(新学習指導要領からは中学校で学ぶ)
- 現在完了進行形(新学習指導要領からは中学校で学ぶ)
- 仮定法(新学習指導要領からは中学校で学ぶ)
さらに、新学習指導要領になることでこれまでは高校で学んでいた下記の文構造も中学で学ぶようになります。
- 主語+動詞+間接目的語+that / whatで始まる節
- 主語+動詞+目的語+原型不定詞
英検3級ではこれまで、仮定法などは出題範囲ではありませんでした。新学習指導要領への移行に伴い、今後は英検3級でも、これまで出題範囲でなかった文法範囲が出題されるようになることは十分に考えられます。
小学生からできる英検3級の対策とは
文法、文構造の解説もしましたが、英検に合格するためには、最低でも出題範囲としている単語を覚えることが不可欠です。つまり、英検3級に合格しようと思ったら2200~2500語程度の英単語を覚えなければなりません。
もしかすると、英語が好きな子は、英会話をしたり、英語で聞いたり読んだりしているうちに、あっという間に覚えてしまうかもしれませんし、英検合格が英語学習にモチベーションになることもあるかもしれません。
ですが一方で、楽しくて好きだった英語が、一気に勉強味を増して「つまらない」「嫌い」となってしまうリスクもあることを覚えておきましょう。
子どもへの負担は大きくなる分、保護者も英検3級を小学校のうちに取る目的や必要性についても考えてみてくださいね。
試験対策にはウェブサイトを活用して
英検の問題集や単語集は、旺文社のものを勧める指導者が多いようです。
このほか、英検に個人で申し込むときに登録する「英ナビ」というウェブサイトには、「スタディギア」という無料で使える英検公式サービスがあり、英検対策の学習できるようになっています。
また、ライティングの問題は、「英検3級 ライティング」と検索すると問題文と模範解答の例を掲載したウェブサイトがいくつか表示されます。そのウェブサイトで解答の仕方や模範解答を読んで、過去問に挑戦するといいでしょう。
なお、英検の過去問は英検ウェブサイトで過去3回分が公開されているので受験する前には必ずチャレンジしてください。
小学生なら「英検Jr.」から始めるのもおすすめ
英検というと、5級から申し込む人が多いのですが、小学生であれば「英検Jr.」から受験するのがおすすめです。
「英検Jr.」とは、幼児から中学生までを対象に開発されたテストで、子どもが興味を持てるような作りになっており、公式サイト内でドリルやゲームをしながら基礎的な単語から学習できます。
「英検Jr.」には、Bronze、Silver、Goldという3種類のレベルがあります。
- Bronze=小学校低学年が対象
- Silver=小学校中学年程度、BRONZEでの正解率80%以上の児童が対象
- Gold=小学校高学年程度、SILVERでの正解率80%以上の児童が対象
上記のように書くと「所詮、小学生レベル」と思うかもしれませんが、受験者の中には「Goldは英検5級よりも難しい」と感じる人も多いようです。
英語の楽しさや英語を好きだという気持ち大切にしながら英検に臨ませたいのであれば、まずは「英検Jr.」で語彙数をしっかり増やしてから5級に移行する方が、無理なく学習できるように思います。
一見、遠回りに見えるかもしれませんが、いきなり英検を受験させるよりも、長い目でみると英語力を伸ばすことにつながるのではないかと思います。
英検3級取得後も考えた勉強もしよう
今回は、小学生で英検3級を取得することをテーマにしていますが、せっかく小学校のうちに頑張って3級を取っても、その後、中学校や高校で上の級に合格できなかったり、英語嫌いになったりしたらもったいないですよね。
そのためには、英検用の勉強だけに偏るのではなく英語を実際に使ってみて「楽しい」「もっと英語を使いたい」と思える環境を作るのが大切です。
英会話スクールに通わせたり、イングリッシュ・キャンプのようなイベントに参加したりして、楽しい思い出を作れると理想的です。もし、そのような機会が作れない場合は、マンガやゲームの英語バージョンに挑戦してみるといいかもしれません。
選ぶコツは、既に日本語で内容を理解しているもの、もしくは、英語が理解できなくても映像を見れば何が起こっているか分かるものです。
例えば、小学生に大人気の「鬼滅の刃」は、英語では“Demon Slayer”と言います。Amazonで“Demon Slayer”と検索してみてください。英語版のマンガが表示されます。ペーパーバックだと1冊1000円以上で日本語版の2倍以上しますが、日本語版と英語版を読み比べて楽しく英語表現を学べたらいいですよね。
また、Youtubeにも気軽に英語を楽しめる動画がたくさんあります。「sicence kids」と検索すると理科の実験動画が、「DYI kids」と検索すると工作の動画が表示されます。
英検に受かっても落ちても、英語が楽しいという気持ちが持続できるよう、日常的に英語を楽しめる環境づくりをしながら子どもの「英語が好き」という思いを育んでいってくださいね。
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イギリスで修士号を取得した後、海外数ヵ国で勤務した経験を持つ。結婚を機に英語講師に転身し、大学や専門学校で教えて10年以上経つ。大学入試二次試験や大学院入試の英語指導、TOEICやGTECなど国内の各試験指導に加え、TOEFLやIELTSなど留学対策も手掛ける。英検1級、TOEIC 950。