「通信制高校に転入してよかった」その理由と全日制高校との違いとは【通信制高校生徒インタビュー①】
高校生のわが子から「今の学校をやめて通信制高校に通いたい」と言われたら、戸惑ってしまう保護者が多いのではないでしょうか。「きちんと高校を卒業できるの?」「将来の進路に差が出るのでは?」と不安を感じる保護者もいるかもしれません。通信制高校に転入・編入する場合、かかる学費についても気になるところです。そこで、全日制高校から「KTCおおぞら高等学院」へ転入した円城寺玲さんに、転入までの経緯や現在の学校生活などについて話を伺いました。
目次
2年生の夏に全日制高校から通信制高校に転入
中学を卒業して高校に進学したものの、中には「学校が合わない」「やっぱり高校をやめたい」と悩む生徒もいます。円城寺さんもその一人。高校2年生に進級して間もなく、通信制高校に転校したいと考えるようになったといいます。
「私はもともと学校という場があまり得意ではありませんでした。大勢でワイワイ話したり、周りの雰囲気に合わせて同じことをするのが苦手で『同級生が楽しいと思うことを一緒に楽しめない』という違和感をいつも抱えていました。高校生活もはじめのうちは無理をして頑張っていたのですが、自分に嘘をついて周りに合わせているのがつらくなってしまったんです。それで、勇気を出して『通信制高校に転入したい』と両親に話をしました」(円城寺さん、以下同)
実は、中学の頃から学校や人間関係に対して同じような思いを抱えていたという円城寺さん。通信制高校への進学を希望し、中学3年生のときに「KTCおおぞら高等学院」の体験入学に足を運んだこともあったそうです。
「中学3年生のときは両親から『通信制高校でちゃんと勉強ができるのか』『結局やっていけなくなって卒業できないのではないか』と反対されてしまって…。両親は、あまり馴染みのない通信制高校に対してネガティブなイメージがあったのだと思います」
両親からの反対を受けて一度は諦めた円城寺さんでしたが、全日制高校へ入学後「やっぱり通信制高校に行きたい」と再度両親を説得。気持ちをしっかりと伝えたことで、両親も転校を認めてくれたそうです。そして高校2年生の7月から、通信制高校(サポート校)である「KTCおおぞら高等学院」に通うことになりました。
学校教育のマメ知識
転入と編入の違いや手続きについて
混同しがちな「転入」と「編入」という言葉ですが、両者には次のような違いがあります。
- 転入:学校在籍中に手続きをして別の学校に入学すること
- 編入:学校を退学してから別の学校へ入学すること
「転入」は前の学校に在籍中の転校となるため、高校に在籍している期間に空白がありません。一方「編入」は一度中退してからの入学となり、前籍校と次の学校の間に空白期間が生じます。
また、通信制高校への転入・編入を希望する場合は、現在在籍している(または退学前に在籍していた)高校に、在籍期間や修得単位を確認するための書類を作成してもらう必要があります。
通信制高校に転入・編入できる時期は、学校によって異なります。入学できるタイミングによって卒業時期が変わることもあるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。高校に在籍中の場合は、空白期間を作らないためにも、前籍校を退学するまえに転入を希望する通信制高校に相談しましょう。
通信制高校での学校生活とは
現在、円城寺さんが在籍しているのは「KTCおおぞら高等学院」のスタンダード学科。一般的な科目の授業や体験型の「みらいの架け橋レッスン」など、さまざまなスタイルで学習が進められています。
「みらいの架け橋レッスン」詳しくはこちら
学校へのマイナスイメージはなくなりました
「KTCおおぞら高等学院」では、通学スタイルを希望に合わせて選ぶことができます。円城寺さんは週1~5日キャンパスに通うウィークデイコースに所属しています。
「普段は月曜日から金曜日までキャンパスに通っています。午前中は座学中心の授業で、午後は体験型のオリジナル授業『みらいの架け橋レッスン』があります。『みらいの架け橋レッスン』では、音楽や外国語、ネイルなど、日によってさまざまなことを体験できます。時には外部から専門学校の講師をお招きして体験授業を受けることもあります」
中でも円城寺さんが印象的だったと語るのが、ボランティア活動です。
「被災地支援の募金活動や、Jリーグの試合でのボランティアなどを行いました。それまでボランティア活動に興味はあったものの、なかなか自分から行動する機会がなかったので、学校生活の一環として取り組むことができてよかったです」
また、以前は、学校という場所が苦手だったという円城寺さん。現在は週5回キャンパスに通っているとのことですが、通学は苦にならないのでしょうか。
「全日制高校に比べて少人数なので、雰囲気もアットホーム。私にはとても合っていると感じています。入学するまでは、通信制高校ではあまり通学せずに勉強は自分でする、というイメージがありました。なので、最大で週5日キャンパスに通うというのは新鮮な驚きでした。でも今は通学に対するマイナスな感情はありません。一方的に授業を受けるだけではなく、自らたくさんの体験ができることが楽しいです」
通信制高校に転入して感じた全日制高校との違い
円城寺さんが転入した「KTCおおぞら高等学院」には、それまで通っていた全日制高校と比べてさまざまな違いがあったといいます。とくに大きな違いを感じたというのが次の点でした。
柔軟性のある授業スタイル
通信制サポート校である「KTCおおぞら高等学院」は、学習スタイルの柔軟性の高さも特徴のひとつです。たとえば現在は、キャンパスでの学びをもっと楽しくするために、生徒たち自身が授業のアイディアを出し合っているのだとか。
「海外の映画を見て英語を勉強したい、地元の街並みを撮影してSNSで紹介しよう、などいろいろなアイディアが飛び出しています。私も、手作りおもちゃを幼稚園や保育園に寄付する企画を考えました」
大人たちが親身で真剣に話を聞いてくれる
「KTCおおぞら高等学院」では、先生のことを「マイコーチ」と呼びます。 マイコーチは学習面だけではなく、生徒と1対1で向き合い将来の不安や夢を分かち合える、とても身近な存在だといいます。
「それまで先生は遠い存在だと感じていたので、転入して生徒とコーチがまるで友達同士のように仲良く話している様子に驚きました。以前は授業中にわからないことがあっても質問できずにそのままにしてしまっていましたが、今は何でも気軽にコーチに聞くことができます。他愛ないおしゃべりもたくさんしますし、学校生活や進路についても親身に相談にのってくれます」
先輩・後輩の距離が近い
中学時代や全日制高校では帰宅部だったという円城寺さん。先輩との関わりがほとんどなく、「高校は先輩・後輩の上下関係が厳しそう」という印象があったそうです。
「みらいの架け橋レッスン」での活動などを通じて、先輩と触れ合う機会がたくさんあります。学年の上下を問わず、みんなとてもフレンドリー。転入するまで、こんなに先輩と仲良くなれるとは思っていませんでした」
自分の時間を大切にできる
平日は授業が15時頃には終わる円城寺さん。放課後は自分の好きなことに時間を使っているそうです。
「時間に追われることなく自分のやりたいことに打ち込めるのも、通信制高校を選ぶ利点だと思います。私は幼稚園の頃にクラシックバレエをはじめて、今でもずっと続けています。ほかにも放課後の時間はアルバイトをしたり、進路について調べたりして使っています」
通信制高校で将来について具体的に考えられるようになった
キャンパスには、夢に向かって努力している生徒も多いのだとか。そんな友達の話を聞くことで「自分も頑張ろう」と、前向きな気持ちになれるのだといいます。
また、一般的な科目だけでなく卒業後の将来を見据えたカリキュラムを組んでいる通信制高校だからこそ、自分のやりたいことや進みたい道が見つかることもあります。円城寺さんも高校生活での経験を通じて、将来の夢が少しずつ形になってきたそうです。
「まだ漠然としていますが、多くの人に笑顔になってもらえるような仕事を目指したいと考えています。
『みらいの架け橋レッスン』のボランティア活動でいろいろな方たちから『ありがとう』という言葉をもらって嬉しかったんです。『人に喜んでもらいたい』という気持ちが強くなりました。高校卒業後は大学か専門学校に進みたいと考えていますが、将来的には、人に喜んでもらえるような仕事をしたいです。
漠然とした夢ですよね。ブライダル関係や教師の仕事にも興味があってなかなかコレになりたいとひとつの職業を選ぶことはできていません。
でも、そんな思いをコーチを相談したら『特定の道に絞ってしまうのではなく、今はまずはたくさんの選択肢を見て、その中から自分のやりたくないことを省いていけばいい』とアドバイスをくれたんです。今は広い視野をもって将来を考えたいと思っています」
通信制高校へ通う娘に対する親の本音とは
当初は通信制高校に通うことを両親から反対されたという円城寺さん。転入後は、保護者の思いに変化はあったのでしょうか。
円城寺さんは、通信制高校に入学してからの親子関係について「全日制高校に通っていた頃は、親に学校の話をすることは全くありませんでした。でも今は楽しいことが増えたので、学校の話をたくさんしています。進路などについての相談もできるようになりました」と語ります。
円城寺さんのお母さんも、「KTCおおぞら高等学院」に通い始めた娘の様子について次のように話します。
「正直なところ、通信制高校に対して偏見があり、娘から転入したいと打ち明けられたときにはショックでした。卒業まで私立高校で頑張るように何度も話しましたが、娘の決意が固く、仕方ないという気持ちで転入を認めました。
しかし、転入後に毎日楽しそうにキャンパスに通う娘を見て不安はすぐに解消されました。通信制高校に通うようになってから娘は笑顔も増え、学校での出来事をたくさん話してくれるようになりました。以前は何に対しても消極的だった娘が、学校行事に率先して参加するなどいろいろなことにチャレンジし、充実した日々を送ってくれています。
通信制高校に対する印象は、それまでとは180度変わりました。自分の将来をコーチの方々とじっくり話し合ったり、アドバイスをいただいたりと、先生と生徒の距離感が一般の高校とは全く違います。全日制高校にはなかった経験を通して、将来の選択肢の幅もかなり広がるのではないかと感じています」
「前は早く卒業して大人になりたいと考えていたけれど、今は『もうちょっと長く高校で過ごしたいと思っていると話す円城寺さん。
保護者が通信制高校のことをよく知らないと、イメージだけで反対してしまいがちです。しかし、通信制高校に転入・編入することによって、全日高校にはない新たな可能性が広がることも。まずは子ども自身の気持ちをしっかりと受け止めることが大切なのかもしれません。
教育のマメ知識
<通信制高校への転入、費用はいくらかかる?>
全日制高校から通信制高校への転入について費用面についても保護者は気になるのではないでしょうか。「KTCおおぞら高等学院」の場合、入学時には下記の費用がかかります。
- 屋久島おおぞら高等学院 入学金5万円
- KTCおおぞら高等学院 教育充実費5万5000円
また、そのほかに下記の費用が必要になります。
「KTCおおぞら高等学院」年間費用例
- 授業料
- 総合保険料
円城寺さんのようにスタンダード学科で週5日通う場合の授業料は年間39万6000円。総合保険料は、授業料に含まれています。
「屋久島おおぞら高等学校」年間(24単位履修)費用例
- 単位登録料 36万円
- 就学支援金 -11万5488円
- 施設管理費 5万円
- スクーリング参加費 単位登録料(授業料)に含む
- 教科書 学校負担
選択する学科に関わらず合計額は29万4512円になります。
<必要な単位数や履修期間で費用は変わる>
ただし、上記はあくまで4月入学の場合の金額です。転入・編入の場合は、入学月によって費用は変わります。また、単位登録料・就学支援金は単位数や履修期間によって変動します。全日制高校で取得した単位を改めて登録する必要はないので、その分費用は抑えられます。
そのほか、「KTCおおぞら高等学院」の場合、国の教育ローンや地域の奨学金、授業料の分割払い制度も利用しながら卒業までの料金プランを一緒に考えてくれるそう。制服の購入が自由なのもポイントです。
取材協力
KTCおおぞら学院高等学院
それぞれのペースで学ぶことができ、高校を卒業するだけでなく、その後の進路や社会で生きていくためのサポートをしてくれる通信制高等学校「屋久島おおぞら高等学校」の指定サポート校。キャンパスは全国にあり、体験入学も開催中。学校見学・個別相談もおこなってますのでお気軽にお問合せください。
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広告代理店、企業の広報を経て、2008年よりフリーランスライターとして活動。子育て、ライフスタイル、教育、医療、住まい、グルメなど、幅広いジャンルで執筆を行う。人物インタビューや企業インタビュー、イベント取材など、取材経験も多数。そのほか、コラム原稿や書籍原稿の執筆なども手掛けている。趣味は音楽鑑賞と読書、野球観戦。プライベートでは一児の母。