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2020.11.11

新宿区の教育/学校数や学力、中学受験率ほか子育て世代の口コミ情報を紹介【23区の教育④】

23区の教育環境を解説していく連載記事。4区目となる新宿区は、学校の運営に地域住民や保護者が参加する「地域協働学校」に取り組み、地域に開かれた学校づくりを進めています。新宿区にはきらびやかな大都会というイメージがあるかもしれませんが、地域社会に子どもが根付き、土地柄を生かした温もりのある教育が行われています。

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私立中学受験率は32.80%で、23区中7位

データで見る新宿区の教育環境

  • 義務教育世代の子どもの数=約1万7000人
  • 公立小学校の数=29校
  • 公立中学校の数=10校
  • 特別支援学級=小学校6校(知的障害5校、病弱1校)中学校3校(知的障害3校)に設置
  • 特別支援学校(小・中)=肢体不自由1校
  • まなびの教室=区内全29小学校、中学校10校に設置(それぞれ巡回校あり)
  • 公設学童クラブ:61カ所
  • 民間学童の数=28
  • 学童待機人数=小1~3年生まではゼロ
  • 私立中学進学率=32.8%
  • 家賃相場(ファミリー世帯)=3LDK:28.69万円
  • 治安・犯罪率=2019年の刑法犯件数:3498件

新宿区は23区のほぼ中央に位置し、面積は18.22㎢。23区中13番目の広さです。歌舞伎町や西新宿などの繁華街がある一方、新宿中央公園や新宿御苑など自然も豊か。都心に近いのに緑が多い落合、学生街の早稲田、下町の雰囲気が漂う四谷などは、“住みやすい街”として知られています。

公立小学校は29校、中学校は10校。1クラスあたりの児童数は28.0人で、23区中3位。先生の目が行き届きやすいせいか、「先生と児童の距離が近い」「子どもたちがのびのび学べる」という保護者の声が多く聞かれます。

私立中学受験率は32.80%で、23区中7位。早稲田中学校、海城中学校、成城中学校、学習院女子中等科など進学校の存在に加え、区外の私立中にも通いやすい立地であることから、中学受験率が高いのは“必然”ともいえるでしょう。

イメージとは裏腹に、地域社会に子どもが根づく街

大都会の新宿区。そのきらびやかなイメージから、人との関わりが希薄なのではと思いきや、そんなことはありません。地域ごとにお祭りが継承され子ども神輿が街を練り歩いたり、町内会が小学校を会場に家族向けのイベントを企画したりなど、地域社会に子どもが根付いています。

例えば、新宿名物で、江戸東京野菜としても認定されている「内藤とうがらし」。区内の小学校(四谷小学校、花園小学校、大久保小学校、西新宿小学校など)で内藤とうがらしの栽培・観察・研究・調理を行い学習に役立てるなど、ユニークで温かい取り組みも行っています。

また、区内の小、中、高、大、専門学校が一同に集まり、内藤とうがらしの普及活動や研究結果を発表する「新宿とうがらしサミット」も毎年開催されています。

内藤とうがらしプロジェクト 公式サイト

【新宿区の学童】入学時の待機学童はゼロ。しかし6割が定員オーバー

新宿の区立学童クラブは28カ所。遠足や料理イベントなど楽しい催しを開催するクラブが多く、保護者の評判は上々です。

今年はコロナでさまざまなイベントが中止になりましたが、工夫しながら子どもとしっかり関わる体制が整っています。

新宿区学童保育連絡協議会(※新宿区内の学童クラブ父母会の集まり)会長の吉安牧紀さんは、「1年生から3年生は、希望すれば全員入所できるため、入学時の待機学童はゼロですが、6割の学童が定員オーバーというのが現状です。また、新宿区の学童は民間委託されているため、何か要望がある場合は、協議会から区に直接声をあげないと伝わりません。保護者や指導員の方の意見をまとめ、区に毎年要望書を提出しています」と話しています。

また、新宿区は学童クラブに加え、学童以外の小学生が放課後を過ごす居場所である「放課後子どもひろば」、「放課後子どもひろば」に学童クラブ機能を付加した「ひろばプラス」もあり、さまざまなニーズに対応しています。

【新宿区の教育の特徴1】学校運営に地域住民や保護者の参画を推進

新宿区では、区立小中学校全校が、学校の運営に地域住民や保護者が参画する「地域協働学校」として、授業の補助、読み聞かせ、花壇の整備、登下校の見守りなどが行われています。

図工の時間に早稲田大学の学生といっしょに工作したり、育成会や町会と連携してグリーンカーテンを栽培したりなど、地域が一体となって子どもたちを育む環境づくりを推進しています。

【新宿区の教育の特徴2】外国人指導員による英語教育の充実

新学習指導要領における小学校の英語の教科化をふまえ、全小学校で実施している外国人指導員による授業数を増加。全小学校の3〜6年生に英語のデジタル教材(ICT機器を利用した学習プログラム)を導入、原則中学2年生を対象に英検受検費用を補助する「英検チャレンジ」事業の実施など、英語に対する関心・意欲を高めるための取り組みを行っています。

【新宿区の教育の特徴3】全小中学校に特別支援教室を設置

発達障害などがある児童や生徒が、それぞれの特性に応じた指導を在籍校で受けられるよう、全小中学校に特別支援教室「まなびの教室」を設置。対象児童は授業時間中に、校内の違う教室で指導を受けることができます。

「数年前までは数が限られていたため、対象児童の保護者は拠点校まで送迎が必要だったのですが、全校に設置されて通いやすくなりました」(6年女子、4年男子、1年男子の母)。特別支援学級は小学校6、中学校3と少ないため、今後の課題といえるでしょう。

【新宿区の学力】小・中ともに東京都平均、全国平均を上回る

平成31年4月に行われた全国学力テスト(小6と中3に実施)。新宿区の公立小学6年生の国語の正答率は、国語71%、算数Aが75%。

両科目共に、東京都平均、全国平均を上回っています。中学3年生の国語の正答率は、75%、数学63%、英語が61%。中学校も、全科目東京都平均、全国平均を上回っています。小学校は、国語が7.2ポイント、算数が8.4ポイント、中学校は、英語が5.0ポイント全国平均を上回っており、良好な結果となっています。

【口コミ情報】高級ホテルのスイートルームへ社会科見学

新宿区の保護者に、教育環境について聞いてみました。

「うちの子が通う小学校は、社会科見学の行き先のひとつとして、近所の5ッ星ホテル『パーク ハイアット 東京』のスイートルームが入っています。班に分かれて行動するため全員が行けるわけではないのですが、『新宿らしいなぁ』と思いました」(小6男子の母)

「コロナ前に授業参観に行った時に、教師がSurface Proのパソコンを駆使しながらプロジェクターを使った授業をしていて、『さすが新宿!ハイテクだわ!』と思っていたのですが、いざコロナ休校になったら下駄箱を介したプリントのやりとりで、ちょっとがっかりしました」(小3女子、小5男子の母)

「子どもが通う小学校では、中学受験について子ども同士・保護者同士で話してはいけないのが暗黙の了解になっています。そのため、クラスで誰が中学受験するのか、しないのか、どこにいくのかというのは、よほど親しくない限りわかりません」(小6女子の母)

「地域の高齢の方々が、お手玉など昔遊びを教えてくれる時間があり、子どもたちもとても楽しみにしています。登下校時の旗振りのお手伝いもしてくれて、ありがたいですね。新宿というと繁華街のイメージがあると思いますが、わが家のエリアは閑静な住宅街で、教育環境としても優れていると思います」(小1男子、小4女子の母)

「塾に通っている子も多いですが、区内にたくさんある公園では、地域の子ども向けスポーツチームが積極的に活動しています。休みの日に戸山公園に行くと、少年野球チームが5つくらい練習しています。文武両道をめざす家庭が多いように感じます」(小3男子の母)

ICT環境整備、プログラミング教育も着々と進む

ICT環境整備にも力を入れてきた新宿区。平成29年に6億円弱の投資を行い、全国に先駆けてタブレット端末2.600台と電子黒板・プロジェクターの整備を行いました。

コロナ休校による学習の遅れを取りもどすべく、2020年6月、中学3年の生徒全員にいち早く学習用タブレットを貸し出すなど、柔軟な対応も話題を集めました。現在は、GIGAスクール構想に基づく1人1台端末活用に向け、準備を進めています

プログラミング教育においては、教育課題研究校に指定された四谷小学校でプログラミング学習「アイタイム」の実践、東京都プログラミング教育推進校に指定された落合第4小学校で、授業を通してプログラミング的思考を育む研修が進められています。

学校と地域が連携しながら、ICT教育やプログラミング教育など新たな学びにもしっかり向き合っています。

<参考サイト>
ライフルホームズ
警視庁ホームページ 
新宿区ホームページ
幻冬舎ゴールドオンライン 

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長島 ともこ

フリーライター、エディター、認定子育てアドバイザー。妊娠&出産、育児、教育などの分野の企画、編集、執筆を行う。PTA活動にも数多く携わり、その経験をもとに、書籍『PTA広報誌づくりがウソのように楽しくラクになる本』『卒対を楽しくラクに乗り切る本』(厚有出版)などを出版。「PTA」「広報」をテーマに講演活動も行う。2児の母。

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