塾講師のテクニックを伝授! やる気のない子をその気にさせる3ステップと魔法の言葉
学校の宿題や家庭学習を子どもにやらせようとするだけで毎日バトル…。「やる気のないわが子は一体どうしたら勉強をする気になるのかしら?」と悩む保護者の方も多いはず! そこで、塾講師の小田マリエさんが主宰している学習教室で実践していくテクニックを伝授。保護者と共有しているという3ステップと魔法の言葉を紹介します。
【ステップ1】子どもの状態から原因を探ろう
ひとことで「やる気がない」といっても、その原因は子どもによってさまざまです。効果的な声がけをするためには、まず子どもを観察し状態を把握しましょう。
例えば「ゲームや遊びに夢中」「勉強内容が難しすぎる、量が多すぎる」「勉強をする習慣がない」など。何か思い当たることはあるでしょうか? 全部当てはまるかも…(汗)という方でも大丈夫。原因が分かれば対策もできます。詳しいことは、以降の段落で説明するとして、まずは前述以外の状態の子についての声かけを紹介します。
それは、心身が疲れていて勉強に身が入らない子です。
「嫌なことがあった」「寝不足」「疲れ」など、心身の状態が整っていないために「やる気がない」ことは意外と多く、大人にとっては大したことでないことも、子どもにとっては大きなダメージを受けている場合もあります。
私は、様子が気になる生徒を見つけると必ず「あれ? 今日はどうかしたのかな?」と明るく軽い調子で声をかけています。すると、声をかけられた子どもは、ちょっとホッとした表情になって「実はね…」とそれぞれが抱えるモヤモヤとしたものを吐き出してくれます。
深刻な受け止め方をすると子どもの方が気後れしてしまって「何でもない」と抱え込んでしまうので、出来るだけ明るく軽い調子で接するのがポイント。「そっか~。それは大変だったね~。でもちゃんと教室に来たんだからエライ!」と返してあげるだけで、気持ちを切り替えて勉強に向かうことができる子どもがほとんどです。
ただし、なかにはどうしても気持ちを切り替えられない子どももいます。そういう子どもとは学習内容を話し合って、今日、自分が出来るところはどこまでか考えてもらい、自分が決めた分は完了するように励ましています。
【ステップ2】勉強する環境を整えてゲーム・遊び対策
保護者にとって勉強の一番の”敵”はゲームや遊びかもしれません。誰だって勉強するよりもゲームや遊びの方が楽しいですものね。なかなか手強い敵ですが、攻略できないわけではありません。
教室の宿題をきちんと毎回やってくる生徒の保護者にお話を伺うと、「とにかく学校から帰ってきたらすぐに宿題をするようにしています。友達と遊ぶ約束があっても何でも、絶対に宿題が終わらないと遊びには行けない、ゲームもやってはいけないルールです」という答えが返ってきました。
厳しいように感じるかもしれませんが、楽しいことを切り上げるには強い意志が必要です。大人であっても楽しいことを中断して「やりたくないこと」をするのは気が進まないのに、子どもに期待するのは酷なこと。一見、「かわいそう」に見えても、遊ぶ前に勉強をする方が、実は子どもにとっては「かわいそう」なことではないのです。
とはいえ「うちの子は学校から帰ってくるとすぐにゲームを始めてしまう」という声も多く聞きます。先ほどの保護者のご家庭では、ゲームやおもちゃ類は毎晩面倒でも箱に戻して目につかない場所にしまっているそう。学校から帰ってきたらすぐにゲームを始められる環境を徹底的に排除する。その代わり決められた学習が終わったら、親は口を出さずに好きなように遊ばせてあげる。少し手間と時間はかかりますが、勉強するしないの親子バトルが減ります。
【ステップ3】わが子にとっての適量を知る
子どもの状態を「把握」して「環境」を整えたら、次に重要なのは、「適量」を与えること。
家庭学習は「学年×10分」が目安という話を聞いたことがある人は多いかもしれません。でも「小学1年生で家庭学習10分って少なすぎるのでは…?」と思ってしまいませんか?
ここが落とし穴。ついつい、あれもこれもといろいろな課題を子どもに与えてしまい、結果的に子どもが勉強をする気をなくさせてしまうことにつながってしまいます。
我が子にとっての適量を知るのは難しいことですが、まずは、目安の時間をつくって時間内にできそうで「簡単」「取り組みやすい」と子どもが感じる少量の課題を与えることから始めてみましょう。最初の内は親としては物足りないし、「こんな少しで大丈夫かしら?」「こんなに簡単で大丈夫かしら?」と不安に感じるかもしれません。
しかし、これは子どもに「勉強はやればできる」と実感させるための準備期間。目安の時間内に学習を終えられるようになり余力が出てきたら、追加の課題を用意するようにします。 ここで大事なのは「用意はするけど強制はしない」こと。子どもが自分でやるようになるまで、我慢して待ちましょう。「これは簡単だから5ページも多くやっちゃったよ」などと誇らしげに報告するようになる日が絶対に来ます。ここで親が待ちきれずにあれこれと強制してしまうと、「早く終わらせても課題が増えるだけ」と子どもが反発して振り出しに戻ってしまうので要注意です。
すべての子どもに効果がある魔法の言葉
最後に、どんな子どもでもやる気になる魔法の言葉を教えます。それは「一緒にやろう」です。
子どもの状態を把握し、環境を整え、適量を与えても、どうしてもやる気にならない子どもはもちろんいます。でも「一緒にやろう」と言われると、渋々ながらでも机の前に座って課題に手を伸ばすもの。
夕飯の準備や後片付けなどの家事をやっている間に勉強を済ませてしまってくれれば、どんなに助かることか…と思いますが、学習習慣が身についておらず、「やりたくないことを自分だけやらされている」という不満を感じている子どもの場合は特に「一緒にやろう」が有効です。
「一緒にやろう」と言ったからには子どものそばに寄り添うだけでなく、保護者も何か課題をやりましょう。ただ寄り添っているだけだと「一緒にやる」のではなくて「監視する」になりがち。「姿勢が悪い」「鉛筆の持ち方が違う」「字が汚い」「間違っている」などできていないことばかりが目に付いてしまい、口うるさく注意して、せっかくの子どものやる気をつぶしてしまうことにもなりかねません。
私のお勧めは家計簿をつけること。スマホやPCで管理している人も多いでしょうが、やはり、ノートに文字や数字を書き入れている姿を見る方が子どもにとってはやる気が出るようです。「自分だけやらされている」のではなく「一緒にやっている」気持ちになれるのでしょうね。
保護者の中には漢検にチャレンジしてみた方などもいらっしゃいます。子どもが一人で勉強できるようになるまでは、保護者が行動で示してあげることも必要です。
いかがでしたでしょうか。「子どもの状態を把握する」「環境を整える」「適量を与える」の3ステップ。魔法の言葉「一緒にやろう」は最終手段にとっておいていただいて、まずは子どもの状態を把握することから始めてみてくださいね!
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地元の子どもたちを対象にした学習塾を主宰。「子どもを勉強嫌いにさせない学習塾」をモットーに、幼児から中学生までの学習を指導。自身も高校生・中学生・小学生の3児の母として、育児や教育、受験に奮闘中。