おこづかい帳はメリットいっぱい!つけかたや続けるコツをFPがアドバイスします
子どもにはきちんと金銭感覚を身につけて欲しいと多くの保護者が思っていますよね。正しいお金の使い方を身に付けるために、おこづかいを渡したり、おこづかい帳をつけさせたりする家庭も少なくありません。しかし、そんな気持ちに反して、おこづかい帳は長続きしないケースがほとんどです。一体どうしたらちゃんと続けられるのでしょう。FPと一緒に考えてみませんか。
おこづかい帳は続けることが目的ではない
子どもの頃におこづかい帳をつけていた、という保護者も多いと思います。そこで、改めて聞きたいのは、「おこづかい帳とは何のためのものだと思いますか?」。
ある人は、こう答えるかもしれません。
「子どものおこづかいの収支を記録するためのもの」
この答えは、半分あたりです。おこづかい帳は、子どものおこづかいの収支を記録し、金銭管理を学ぶ、ためのものです。
「おこづかい帳が続かない」と悩む保護者の多くが、「おこづかい帳をつけること」が目的になってしまっています。ですが、おこづかい帳をつけるのはあくまでも手段。おこづかい帳は金銭管理の方法を学ぶためにつけるものです。
だから、保護者が気にすべきことは、子どもに金銭感覚、金銭管理の方法が身に付いてきているかということ。おこづかい帳が続かないことを気に病む必要はありません。続かなかったら、別の書式のおこづかい帳を試してみるなど、やり方を変えてもう一度最初から始めればいいんですよ。
おこづかい帳をつける4つのメリット
おこづかい帳をつけることにはさまざまなメリットがあります。
【メリット①】金銭感覚が身につく
おこづかい帳に書き込むことによって、物の価値と値段のバランスを意識するようになります。「コンビニで120円のお菓子がスーパーでは98円だった」と気付いたり、「今月はあと200円しか残っていないから節約しよう」と考えたり、限られたお金を有効に使うために金銭感覚が身についていきます。
【メリット②】むだづかいに気付ける
親がいくら「そんなむだづかいして」などと言っても聞く耳を持たない子も、自分でおこづかい帳をつけると「これは買う必要がなかった、むだづかいだったな」「勢いで買ったけど別に欲しくなかった」などと気付くことができます。
自分で気付いて後悔することで、お金をムダにしないためにはどうしたらいいか考えるきっかけになります。
【メリット③】数字に強くなる
おこづかい帳をつけることで数字に強くなるというメリットもあります。
50円は10円玉が5枚、100円は50円玉1枚と10円玉5枚など、お金の組み合わせを体得できたり、「40円の物を100円玉で買ったらおつりはいくらか」といったおつりを考えることで、日常の中で計算をすることになり、お金を理解することが数の理解も深まります。
ですが、小学校低学年ではまだ3けたの足し算・引き算が難しいかも知れません。計算問題ではないので親が計算してあげたり「おこづかい帳をつけるときだけ特別に」電卓を使わせてあげたりするといいでしょう。
【メリット④】思い出になる
私の長女は小学校1年生の頃から高校生までおこづかい帳をつけていました。大人になった今、つけ始めた当時の文字を見ると「本当に健気でかわいいなあ」と思います。
お金の記録は、ある意味行動の記録でもあります。その時何にいくら使ったか、おこづかい帳を見ると当時の記憶がよみがえります。
おこづかい帳を続けさせる8つのコツ
先ほど書いたようにおこづかい帳は続かなければ仕切り直せばいいのですが、やはり、挫折するよりは続いたほうがいいですよね。どうしたら続けられるのでしょうか。
【コツ①】おこづかい帳をつける目的を確認する
子ども自身が何のためにおこづかい帳をつけているのか理解せず、親に言われるままにつけている状態では、親の目と手が離れた瞬間に子どもは逃げて続かなくなってしまいます。
おこづかい帳をつける目的は、収支を把握して、金銭管理の練習をすることですよね。
自分でお金の管理ができる大人になるためのトレーニングであることを、繰り返し子どもに伝えることが必要ではないでしょうか。
【コツ②】おこづかい帳に完璧を求めない
収支をきっちり合わせるとか、使途不明金は認めないとか、自分でしっかり計算して欲しいとか、親がまるで仕事のような完璧なおこづかい帳を理想としていると、子どもは「メンドクサイ」と嫌気がさしてしまいがちです。
完璧に記録するよりも、だいたい合っていればいい、という気持ちでいた方が続くようです。計算が合わないとき(お金が足りないとき)は「使途不明」という項目で調整すればいいのです。
【コツ③】おこづかい帳は親子で一緒につける
子どもは自分ひとりでおこづかい帳を続けられるほど意志が強くありません。子どもにおこづかいを渡したとき、子どもがお金を使ったとき「おこづかい帳をつけようか」と声をかけて一緒に記帳しましょう。
【コツ④】おこづかいの使い方をジャッジしない
子どもに渡したおこづかいは、子どもが自由に使えるお金です。親としては「こんなムダなもの買って!」「月曜日から全部使っちゃダメじゃない」など色々言いたくなりますが、親が言うほどおこづかい帳から遠ざかってしまいます。
使うのも、後悔するのも子ども自身の体験です。失敗から学ぶチャンスを取り上げないように気をつけましょう。
【コツ⑤】おこづかいの使い方を週次で振り返る
その週におこづかいをどんな風に使ったか、親子で一緒に振り返りましょう。
子ども自身が、いいお金の使い方だと思ったら○、むだづかいなら△をつけるなど、子ども自身にお金の使い方を評価させます。前述のとおり、親がジャッジするのはNG!
親は、おこづかい帳をつけている(orつけようとしている)ことに対して、花丸やシールで褒めるのが役割です。「今週をふまえて来週はどんなお金の使い方をするの?」など、子どもに問いかけるのもいいですね。
【コツ⑥】親も家計簿をつける
人によってはハードルが高いかも知れませんが、親が自分の金銭管理ができていないのに、子どもにだけおこづかい帳をつけさせよう、というのは少し無理があります。
【コツ⑦】おこづかい帳をつけることを習慣化する
お金を使ったら記録しないと気持ちが悪い、となるまでできる限り習慣化させます。夕食のあと、宿題の前、などいつつけるか決めることで、習慣が定着しやすくなります。
【コツ⑧】おこづかい帳は子どもに選ばせる
おこづかい帳は、親が用意するのもいいのですが、子ども自身に選ばせるとモチベーションアップにつながります。
100円ショップや文具店、インターネットのダウンロードサイトなど、多種多様なおこづかい帳があります。お気に入りを探してみましょう。家にあるノートに線を引いて手作りしてもいいんですよ。
おこづかい帳の選び方とオススメアイテム
子どもに選ばせるとしても、「どんなものから選ばせればいいのだろう」と思うかもしれません。おこづかい帳の選び方とオススメアイテムを紹介します。
おこづかい帳を選ぶときのチェックポイント
子どものおこづかい帳は「月/日」「入ったお金」「使ったお金」「残高」が記入できるものであれば形式は何でも構いません。
通帳型・ノート型などのほか、サイトでダウンロードできるものや、子ども向けのスマホアプリなどから、以下のポイントを参考にして、子どもが続けられそうなもの探してみてください。
チェックポイント
- 枠の大きさ 小学校低学年の子に大人が使うような現金出納帳を渡しても、文字を枠内にうまくおさめることができません。学校で使っているノート等を参考にして、年齢に応じた枠の大きさのものを用意しましょう。
- 子どもは気に入っているか 好きな色やデザイン、キャラクターがついているものなど、子どもが喜んで開くようなデザインのものがおすすめです。
- 集計はしやすいか 毎週または毎月、収入と支出を計算し、お金の使い方を振り返ることで、おこづかい帳は効果を発揮します。集計欄やメモ欄があるかどうかも確認しましょう。
FPがセレクト!おすすめのおこづかい帳
ネットで手に入りやすいおこづかい帳を選んでみました。
<ノート型>
比較的サイズが大きいノート型は、文字を枠内におさめやすいので低学年の子におすすめです。
<通帳型>
まるで本物の銀行通帳のような形の通帳型なら、大人っぽい、とテンションが上がります。
<ダウンロード>
デザインは限定されますが、無料でダウンロードできるおこづかい帳も多数あります。
金融広報中央委員会のサイト「知るぽると」では、幼児と小学生向けのおこづかい記録シートがダウンロードできます。子どもにも分かりやすく書かれた使い方などもダウンロードできるので便利です。
千葉県柏市では、消費生活センターが受けている多重債務相談をきっかけに、子どもの頃から、よく考えてお金を使うことの大切さを学ぶことを目的にしたオリジナルのマネーノートを作成し、ダウンロードできるようになっています。子どもがお金のやりくりについて考えながら記録できる工夫がされたノートです。
<エクセル・グーグルスプレッドシート>
パソコンを使えるならば、表計算ソフトでテンプレートを自作するのも1つの方法です。
プリントアウトして子どもに手書きで書かせたり、直接入力させるという方法でおこづかい帳をつけるといったやり方もできますね。
おこづかい帳のつけかたや、続けるコツについてお伝えしました。おこづかい帳は金銭管理を学ぶ方法のひとつです。使ったら都度つけるのが理想的ですが、あまり堅苦しく考えることはありません。もしもつけ忘れてしまったら2、3日分をまとめてつける、くらいのおおらかさで取り組むことをおすすめします。
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ライター・エディター、ファイナンシャルプランナー。3人の娘の母。著書「子どもを伸ばすママの言葉がけ 言ってはいけないNGワード55」(メイツ出版)「『お母さんの愛情不足が原因』と言われたとき読む本」(中経の文庫)『「決定版 ママ、言わないで!子どもが自信を失う言葉66』(学研プラス)ほか。子育てのコトバについて雑誌やWEBで執筆中。自身のライフプランに役立てるためFP資格を取得。子どもの金銭教育、教育資金、奨学金などについても詳しい。https://ameblo.jp/soda-teruko/