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2021.03.10

子どものチックの原因とは? 対処の仕方で改善できる?

まばたきを繰り返す・鼻をこする・ジャンプをするなど、無意識に素早い動きを繰り返すことをいう「チック」。わが子の動作が気になっている親もいるのではないでしょうか。チックの原因は何なのか、対策はあるのか。子どもの発達支援に10年以上携わってきたライター・羽野こはるさんに解説してもらいます。

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「チック」の症状とは

チックとは…

  • 本人は意図せずに、急に運動や音声を発すること。
  • 抗えない衝動があり、それが繰り返される症状。

ここでは、症状別のチックの分類と、発症時期や継続期間について説明します。

「チック」の分類

チックの症状は大きく以下の2つに分けられます。

  1. 運動チック
    本人の意思とは関係なく体に異常な運動が起きる「不随運動」が、目的がなく同じような動きとして素早く不規則に繰り返される。
  2. 音声チック
    意図しない音や言葉が突然、またはしばしば繰り返し発せられる現象。

さらに、それぞれ「単純性(症状が短時間で終わるチック)」と「複雑性(より症状が長時間続くチック)」に分けられます。

以下は、代表的な症状別のチックの分類です。

【単純運動チック】

  • まばたきを繰り返す
  • 鼻をこする
  • 顔をしかめる
  • 首をかしげる
  • 肩をすくめる
  • 髪の毛を触る

【複雑運動チック】

  • ジャンプをする
  • 倒れこむ
  • たたく
  • 蹴る動作をする

【単純音声チック】

  • 鼻を鳴らす
  • 咳払いをする
  • 「ん」と声を出す

【複雑音声チック】

  • その場にふさわしくない言葉を繰り返す
  • 他の人が言った言葉や動きを繰り返す

チックの発症時期と症状の継続期間

チックは18歳までに発症しますが、中でも小学校就学前後の4歳〜6歳頃が多いようです。子どもの5人に1人は発症するといわれ、多くの子どもがチックを経験していることが分かります。また、女子に比べて男子に3倍多くみられるという傾向もあります。

一過性の単純運動チック(まばたきを繰り返すなど)から発症することが多く発症後、症状は自然に強くなったり弱くなったりし、ほとんどが一年以内に治るようです。こういった場合は「一過性チック障害」「暫定的チック症」といわれています。

運動チックまたは音声チックの一方だけが一年以上みられる場合は、「持続性チック症」(慢性チック症)と呼ばれます。ほとんどのチックは改善・消失するといわれていますが、約1%は成人期まで残ります。中でも10~12歳や思春期に症状が強くなるようです。

また、運動チックと音声チックの両方が1年以上みられる場合はトゥレット症候群」と呼ばれます。トゥレット症候群はチック症の中でも最も重度のもので、これがみられるのは100人のうち1人未満です。

子どものチックは心因性? その原因と特徴

わが子にチックの症状が見られた場合、「自分のしつけの仕方が原因になってしまったのではないか」「育て方が悪いのではないか」と悩むこともあるのではないでしょうか。しかし、チックの原因は解明できていない点も多く育て方のせいや心因性のものとは一概に言い切れません。

ここではチックの原因や特徴について解説しましょう。

チックの原因

チックの原因は、脳の性質的なものともいわれていますが、明確には分かっていません。また、子どもの5人に1人は成長段階のある期間に何らかのチックを経験するといわれ、症状が軽くて期間が短い場合は病気と診断されません。発症する背景もさまざまで、きっかけとなるものが見つからないということも多くあります。つまり、心因性によってチックが発症するとは言い切れないのです。

最初は自然な動作(目が痒くてまばたきを繰り返していたなど)や癖、人の真似などから始まり、次第にチックになってしまうこともあるようです。

しかし、ストレスのかかりやすい就学前後に発症しやすいことや、思春期に症状が強くなりやすい傾向はあります。また、ストレスや疲労などで症状が出やすくなることは医師や研究者も指摘していることです。

チックを抑えることは難しく、特に精神的ストレスがあるときは困難でしょう。抑えきれないチックを指摘されると、子どもの場合は症状が悪化することもあります。特に複雑性のチック(ジャンプをするなど)は、遊びの一貫や気を引くための動作といった一見、意図的なものに思えることもあるため注意が必要です。

私が支援をしていた中でも、抑えきれないまばたきのチックに悩む子どもがいました。幼稚園から友達とのトラブルが多く、行事前になると特に症状が強くなるようでした。家族や担任と連携を取り、友達との関わりにはなるべく担任が仲介をしたり、行事前には家でリハーサルをしたりしてストレスを軽減しました。また、周りの大人が理解を示し指摘しないようにすることで、1年ほどで徐々に改善していきました。

チックの特徴

チックの特徴は、“その動作や発声などがしたい”という強い衝動です。これは、くしゃみやかゆい部分をかくといった衝動に似ています。チックを起こすと、衝動は一時的に落ち着きます。

チックは、疲れているときやストレスがかかったときに出やすい傾向があります。ただし、“リラックスしているときは出にくい”というわけではなく、テレビを見ているときに出るという人もいます。

睡眠中に起こることはありません。“勉強・仕事をしている”、“不慣れな場所にいる”といったある程度、集中が必要なときにもチックは減少するようです。

チックは同じものが定期的に起こるわけではなく、時間とともに種類・程度・頻度に変化がみられます。一時間に数回起きたかと思えば、何ヵ月も現れないということもあるのです。

子どものチックは受診が必要?

子どものチックは症状が軽く、長期間でない場合は特に治療をせずに経過を見ることがほとんどです。しかし、症状が重く“日常生活に困難を生じている”“長い期間、改善しない”など、本人が症状に強いストレスを感じている場合は一度、受診をしても良いでしょう。

また、注意欠陥・多動性障害や学習障害、発達障害が原因になっていたり、年齢が進むと強迫症状が合併したりといったケースもあります。これらはチックを引き起こす脳の異常が原因と考えられていますが、重度のチック症状がストレスになって悪化している場合も考えられます。その場合は、家庭内の対応だけで改善するのは難しいため、受診や相談をおすすめします。

病院の場合は、

  • 小児科
  • 児童精神科
  • 小児神経科
  • 発達外来

などがあります。

病院以外の相談機関としては、

  • 保健所
  • 発達支援センター
  • 市区町村窓口(チックやその原因となる発達障害などに関する支援の相談)

があります。

チックの診断・相談はどのように行う?

診断や相談は、症状と発症期間をもとに行います。

症状が軽く、発症が短期間であれば特に病気とは診断せず経過を観察します。

症状が重く、定期的なアドバイスや治療が必要な場合もあります。また、チックの原因となることが多い発達障害や強迫症状(望んでいない衝動や不安、緊張感などを感じ、それを紛らわすために一定の行動をとってしまうこと)の有無も確認します。

チックのアドバイス・治療にはどのようなものがある?

チックに対するアドバイスや治療の例としては、以下が挙げられます。

  • 安心させる言葉と支援
    「気にしなくても良い」「わざとじゃないってわかっているよ」など、本人が気に留めないように安心させることが大切です。また、家族が十分に理解をした上で学校や友達に説明できるようにします。早期の受診や診断は、本人や家族がチックについて正しく理解し、対応するための助けになります。

  • 認知行動療法
    認知行動療法とは、具体的な行動(ここではチックによって起こる行動や発言)に目を向け、どのような状況でどのような行動が生じるのかを分析し問題解決していく治療法です。

    チックの治療では、チックの代わりになる行動を教える方法があります。例えば、肩をすくめるチック行為の場合には、その衝動がなくなるまで両腕を伸ばして外に広げるように指導します。

    また、本人や家族がチックが起きたり悪化したりする状況を知って対処できるように支援します。

  • 薬剤
    チックが日常生活に支障を来し、本人が強く自信を喪失しているなどの場合に限り、チックを止める薬の使用を勧めることがあります。自分でチックをコントロールできる程度の最低量を使用し、症状に合わせて用量を減らしていきます。また、強い強迫症状を合併している場合はそのための薬を使用します。

  • その他の対応
    チックの背景に注意欠陥・多動性障害や学習障害、発達障害がある場合は、それに対する対応を行います。病院だけでなく学校や関係機関と協力し、子どもの自信の分かることを増やしてストレスを緩和したり、チック症状の代替行為を教えたりします。

子どものチックは改善する? 

ほとんどのチックは自然に短期間でなくなるものですが、複雑性のチックになると長引き、慢性化しやすいこともあります。しかしそれも年齢とともに消失、または目立たなくなってくるそう。チックは軽くなると、家の中では目立っても学校や外出先では軽い緊張感から抑制されて目立たなくなります。

また、チックが出る前の“ソワソワ”や“落ち着かなくなる”といった前兆・衝動に子ども自身が気付くことで意図的に数秒から数分抑えたり、代わりとなる行動に置き換えたりすることができます。

“チックが出やすい”、“強くなりやすい”きっかけを本人や家族が知ることで、その状況を避けることもできます。生活にうまく適応させていくことが可能なのです。

子どものチックに親ができることとは

子どものチックに対して、家族の対応は基本的には通常通りです。むしろ親が気に留めすぎない方が、子どもにストレスを与えません

「叱りすぎないように」「過干渉にならないようにした方が良い」というのは子育て中、意識したことのある親も多いのではないでしょうか。チックへの対応も、同じなのです。

また、チックがある子どもの中には“親がチックだった”という人もいます。それに対しては、“似た脳を持っているからではないか”と考える研究者もいます。

チックの背景に「他の症状があるかもしれない」と不安になったり、強いチックによる困り感が強い場合は家族だけで抱えず、ぜひ病院や相談機関に支援を求めてくださいね。

チックは、育て方や過干渉が原因だといわれる時代もありました。しかし、チックの原因は不明で多くの子どもが経験することでもあります。多くの場合は、本人や周りが気に留めず、自然な消失を待つという対応で良いでしょう。

しかし、慢性化や重症化、発達障害などの背景や合併症がある場合は病院や専門機関の支援が必要な場合もあります。

誰しもが持つ癖や特性。わが子に見られた場合も、正しく理解した上で見守っていきましょう。

【参考】
NPO法人日本トゥレット協会
一般財団法人 日本認知・行動療法学会
NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター

羽野こはる

羽野こはる

社会福祉士、保育士。児童発達支援管理責任、相談支援専門員の資格取得歴あり。子ども発達支援センター、療育機関、障害児学童、保育園などで子どもの発達支援を10年以上行う。200人以上の発達に不安のある子どもや保護者に関わり、現場の発達支援や相談支援、保護者支援プログラムの開催等を担う。プライベートでは、ほとんど年子3人の母として育児奮闘中。現在はフリーライターとして活動。webメディアやホームページ、SNSなどで、職歴や育児経験を活かした記事執筆、遊びやおもちゃの紹介などを行っている。ブログ: https://hanohouse.hatenablog.com/インスタグラム:hano.stagram

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