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2021.02.19

杉並区の教育/学校数や学力、中学受験率ほか子育て世代の口コミ情報を紹介

23区の教育環境を解説していく連載記事。第7回は、杉並区です。荻窪、高円寺、阿佐ヶ谷、永福町など昔ながらの庶民的な街並みが広がるエリアが多く、ファミリー層に人気。独自の英語教育、地域住民が学校教育に協力する制度など先進的な取り組みを行う自治体として知られています。

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私立中学受験率は29%で、23区中14位

データで見る杉並区の教育

  • 義務教育世代の子どもの数=約3万2000人
  • 公立小学校の数=40校
  • 公立中学校の数=23校
  • 特別支援学級=小学校14校(知的障害10校、難聴1校、言語障害3校)中学校7校(知的障害6校、難聴1校)に設置
  • 特別支援学校(小・中)=知的障害1校
  • 特別支援教室=区内全40小学校、全23校に設置(それぞれ巡回校あり)
  • 公設学童クラブ=46
  • 民間学童の数=2
  • 学童待機人数=調査中
  • 私立中学進学率=29%
  • 家賃相場(ファミリー世帯)=3LDK:20.33万円
  • 治安・犯罪率=2019年の刑法犯件数:1191件

23区の西側に位置し、面積は34.06kmと東京23区で8番めの広さの杉並区。区内には、庶民的な商店街が広がる高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪に加え、川沿いで自然あふれる善福寺、永福町など、ファミリー層に人気のエリアが点在します。

公立小学校は40校、中学校は23校。1クラスあたりの児童数は28.8人、私立中学受験率は29%で、23区中12位。区内に西武新宿線、中央線、京王線、丸の内線、井の頭線が通り、新宿、渋谷、池袋、吉祥寺などへのアクセスが良好で学校が選びやすく、「クラス半分以上の子が中学受験を視野に入れているように感じます」(小2女子の母)という声もあります。

区内には立教女学院中学校、国学院大学久我山中学校、周辺には吉祥女子中学校、成蹊中学校、駒場東邦中学校などの人気校があり、選択肢が多いことも受験率の高さにつながっているようです。

区をあげて教育環境の向上に注力

「いい街はいい学校を育てる 学校づくりはまちづくり」という考えのもと、地域全体で学校教育を支えるさまざまな取り組みを展開している杉並区。2012年に「杉並区教育ビジョン2012」が策定され、子どもを真ん中に、地域、学校、家庭、行政が関わりながら、顔のみえる地域づくりを実践しています。

中でも、区内の全小中学校に置かれ、“組織”として学校を支援する「学校支援本部」がコーディネートした弁護士、建築家、獣医師などのゲストティーチャー(一般市民の指導者)による授業が好評です。

「杉並区教育ビジョン2012」は2022年度に終了し、新たな教育ビジョン策定に向け、区民、保護者はもとより子どもたちからも意見やアイディアを募集しています。

区内の小学校の中で中学受験熱が高い傾向にあるのは、高級住宅地として知られる浜田山にある浜田山小学校、70年以上の歴史をもつ荻窪小学校、善福寺エリアを学校区に含む桃井第四小学校、井の頭線久我山駅が最寄駅の高井戸第二小学校など。

区内の公立 中も、おおむね落ち着いた雰囲気の学校が多く、成績上位の生徒は区内にある都立トップ校・都立西高等学校(杉並区宮前)をめざすケースが多いようです。

学童クラブは児童館から学校へと移行中。中高生の居場所も準備

杉並区の公設学童クラブは46カ所。以前、ほとんどの学童クラブは区内に点在する児童館にありましたが、将来的には児童館内での運営を廃止し、区内の全小学校の敷地内に併設すべく、移行を進めています。

共働き家庭の増加とともに学童の需要も増え続け、現状では「小学2年生までは学童で過ごせますが、新年度は新1年生の入所が優先のため、定員の関係で新3年生は受け入れてもらえないところが多いです」(小3男子の母)という声も聞かれます。

学童クラブに入っていない子が、放課後も学校で過ごせる放課後居場所事業も進められていますが、2021年度で40校中12校のみの実施。学童クラブと共に、子どもの放課後をサポートする施設やマンパワーが求められています

中・高校生を主な利用者とする区内唯一の児童館「ゆう杉並」に加え、2021年度には永福3丁目(旧永福体育館跡地)に中・高校生の新たな居場所がオープン予定。多目的室やスタジオなどのタイムシェアなど環境面も期待できそうです。

【杉並区の教育の特徴1】小中連携教育を推進、小中一貫校が2校誕生

杉並区が区をあげて力を入れているのが小中一貫教育です。

近隣の小中学校の連携を深め、中学校の教員が小学校で授業を行うなどの取り組みが行われています。

小・中の9年間を同じ敷地で過ごす小中一貫校も2校誕生(杉並和泉学園、高円寺学園)し、9年間の教育目標に沿った英語やプログラミングなど、充実した内容の授業を受けることができます。

2015年度から、区内の小・中学生が杉並の教育の未来について意見交換を行い子どもたちの身の回りの問題に対して議論を深めていく「すぎなみ小・中学生未来サミット」も開催しています。

【杉並区の教育の特徴2】早稲田大学との連携で外国語教育を充実

杉並区では、2020年度に小学校で英語が必修化されたことを受け、「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能を総合的に育成することを目的に、早稲田大学教育・総合科学学術院と連携。大学教員による教員研究、学生による英語授業サポートなどを通し、外国語教育の充実を図っています

区内在住の中学生を交流都市であるオーストラリア・ウィロビー市に留学生として派遣する「中学生海外留学事業」も行っています。(新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、2020年の事業は中止)

【杉並区の教育の特徴3】全区立小中学校でICT公開授業を開催

ICT教育にも力を入れてきた杉並区。2018円には杉並公会堂で「杉並教育ICTフォーラム」が開催され、研究指定校による実践報告が行われました。

フォーラム当日の午前中には、区内の全小・中学校でICT公開授業も開催。のべ2万人の保護者が参観しました。GIGAスクール構想も順調に進み、区内全小・中学校に固定式電子黒板の設置、校内LANの整備も終了し、2021年3月までに、「一人一台端末」の配備も実現します。

【杉並区の学力】小・中ともすべての教科で都平均、全国平均を大きく上回る

平成31年4月に行われた全国学力テスト(小6と中3に実施)。杉並区の公立小学6年生の国語の正答率は71%、算数の正答率は76%で、両科目共に、東京都平均、全国平均を大きく上回っています。

また、中学3年生の国語の正答率は74,2%、数学の正答率は67%、英語の正答率は65%で、すべての科目で東京都平均、全国平均を大きく上回っています。区をあげてより良い教育環境づくりに力を入れていることが、数字に表れています。

【口コミ情報】0歳の赤ちゃんのお世話が体験できる「命の授業」

杉並区の保護者に、教育環境について聞いてみました。

うちの子が通う小学校は、区内初の統合新校。校舎は新しく、壁のない教室もあります。「学校まるごと図書館」をコンセプトに読書教育に力を入れています。小1から英語の授業があり、プログラミングなどもいち早く取り入れています。公立の小学校でも、時代に合わせて柔軟な教育方針を持っている学校が多いような気がします。(小4女子、小1男子の母)

小学校では体験型の授業が充実していて、「命の授業」に力を入れている学校が多いです。娘が通う小学校では、近隣に住むボランティアのママと赤ちゃんの協力を募り、小学生が実際に0歳の赤ちゃんのお世話ができる授業がありました。かけがえのない命の大切さが実感できたようで、本当に素晴らしい取り組みだと思います。(小2女子の母)

昨年この区に引っ越してきたのですが、杉並区は、学校教育に対する区民の関心がとても高い地域でびっくりしました。区内の全小中学校に「学校支援本部」というPTAとは別のボランティア団体もあるほどです。保護者の方も教育熱心な方が多い印象。これまで中学受験は全く考えてなかったのですが、友達の影響を受けてか、子どもがついに「私も塾に通いたい!」と言いだしました。これからどうなることやら…。(小3女子、小1男子の母)

ICT教育の進み具合は、学校によりばらつきがあると思います。息子が通う小学校のICT教育の授業を参観したことがありますが、正直まだまだ活用できていないように感じました。ちなみに子どもの欠席の連絡も、いまだに連絡帳に記入し近所の友達に託すシステムです。1日も早くオンライン連絡を主流にしてほしいです。(小5男子の母)

中学受験に失敗し、近くの公立中学校に通いました。公立中に対してあまり良いイメージはなかったのですが、先生方がとても親身で進路指導も熱心に応じてくれました。息子は、部活、生徒会活動、勉強と充実した3年間を過ごし、無事志望校に合格。地域の友人に囲まれた公立中学校の生活、振り返ってみると、親子そろって良いことばかりでした。(中3男子の母)


2024年の新・教育ビジョン策定に向けて

その昔、区独自で教員を採用する「教員公募制」、「民間人校長の登用」など型破りな教育施策で注目を集めた杉並区。現在これらの制度は廃止されていますが、教育に対する「熱」のようなものが区民の間で受け継がれ、「学校教育への関心が高い地域」というイメージが定着しています。

2024年の新たな教育ビジョン策定に向け、地域や保護者、子どもたちがどれだけ声をあげ、思いを伝えていくのかが、杉並区の教育の未来につながっていきます。

<参考資料>
ライフルホームズ
警視庁ホームページ 
杉並区ホームページ
幻冬舎ゴールドオンライン

長島 ともこ

長島 ともこ

フリーライター、エディター、認定子育てアドバイザー。妊娠&出産、育児、教育などの分野の企画、編集、執筆を行う。PTA活動にも数多く携わり、その経験をもとに、書籍『PTA広報誌づくりがウソのように楽しくラクになる本』『卒対を楽しくラクに乗り切る本』(厚有出版)などを出版。「PTA」「広報」をテーマに講演活動も行う。2児の母。

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