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2021.02.12

小学校の英語塾は選び方が大事!目的と子どもの性格から検討しよう

早い家庭では小学校入学前から子どもに英語を習わせていますが、英語塾を検討している親が気になるのは、選び方のポイントではないでしょうか。どんな塾が英語習得に効果があるのか。そもそも、小学生の英語塾は本当に意味があるのか…。「J Shine(小学校英語教師指導者資格)」を持つ筆者が解説します。

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小学校の英語学習にはどんなメリットがある?

小学生の英語学習のメリットとして一般的にいわれているのは、

  • 小学生の英語必修化により、授業の予習・復習・補修ができる
  • 英語を認識する脳を作ることができる
  • 発音の聞き分けができるようになる
  • 恥ずかしがらずに抵抗なく英語を話せるようになる
  • 異文化への理解を持てる

です。

「英語を認知する脳を作るには、早いうちから英語に触れるのが良い」という話は、聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。

実際に人間は幼児期~9歳になるまでの間に母国語以外の音に親しむことで、生まれながらの耳の能力を最大限に生かすことができるといわれています。

筆者自身、小学生のうちに英語を学ぶ大きなメリットと感じるのは「3.発音の聞き分けができるようになる」です。正しく聞き分けられることによって、正しい発音もできるようになるのです。

私は大学生の時にオーストラリアへ長期留学しましたが、発音の正確な聞き分けにはとても苦労しました。受験科目としての英語の勉強はしていたもののコミュニケーションツールとして使ったことがなく、英語の発音を気にすることがなかったのです。

よくいわれるように、日本人が不得意とする“L”や“R”、“C”や“K”の発音の区別ができず聞いただけでは全く違いが分かりません。その苦手意識がネイティブスピーカーと話す勇気を削いでしまい、さらにリスニングなどの試験勉強にも影響が出てしまっていました。

小学校の英語授業の内容とは

2020年度から、小学3年生から英語の授業がスタート。それまでは小学5~6年生で週1コマのみ「外国語学習(英語)」が設定されていて、成績評価の対象とはならない教科外活動として実施されていました。

2020年度以降は「英語」が小学5~6年生で正式な教科となり、週2コマの英語の授業を受けることになっています。また、以前は高学年が受けていた「外国語活動」は小学3~4年生に前倒しされ、週1コマの時間があてられています。

  • 「外国語活動」(小学3~4年生)
    “聞く・話す”という音声を中心に、英語に親しむことが目標。基本的な英語表現に慣れ親しむことを通して、コミュニケーション能力の素地を養います。

    具体的にはジェスチャーや歌を交えながら自己紹介の方法や天気、時間の表現の仕方を学んでいきます。

    「外国語活動」は教科ではないので教科書はありませんが、文部科学省が作成した全国共通教材が使われています。
  • 「英語」(小学5~6年生)
    「外国語活動」で培った基礎を生かし、「聞く・話す」に加えて「読む・書く」にも焦点
    を当てていきます。今まで中学校で習ってきた文法が前倒しされ、肯定・否定文に加え命令文や助動詞などが扱われています。

    また、小学校4年間で600~700語の単語を習うと学習指導要領に記載されており、単語だけではなく慣用句も習い始めます。

このように、昔よりも圧倒的に英語の勉強量が増えることで不安に感じる小学生の保護者は多いのではないでしょうか。小学3年生でこのような英語力の基礎が学べる点は素晴らしい反面、自分の子どもが勉強についていけるかも気がかりでしょう。

早期英語教育は本当に必要?

東京未来大学こども心理学部のカレイラ松崎順子さんが行った「JGSS-2010 による早期英語教育に関する意識調査」では、「中学校入学以前の英語教育の経験の有無が成人以降の英会話力や英語の読解力に関係している」と示しています。

筆者が考える早期に英語を学ぶメリットは、外国文化や言語を柔軟に受け入れられること。

英語学習は、5歳からスタートできるといわれています。年齢が高まるほど母国語で考える力が育ち“英語は異文化”という認識、無意識の抵抗感につながる可能性もあるのです。

吸収力の高い小学生が英語塾に通うメリットは、大いにあるといえます。もちろん、それが保護者や子どものストレスになっては意味がありません。あくまで、子どもが楽しみながら学べる範囲で英語への抵抗をなくしていくことが大切です。

英語塾は大きく分けて2種類ある

英語の習い事を検討する際に必要なのが、塾選びです。

英語の習い事は、大きく2種類に分けられます。“英語塾”と“英会話教室”です。この二つの違いと特徴について、紹介しましょう。

英語塾のメリット・デメリット

英語塾は、机に向かって英語の勉強をする場所。学校の勉強に倣うかたちで文法を中心に学び、リスニング・リーディングテストに対応できるようにします。

【英語塾のメリット】

  • 文法を学び中学英語に備えることができる
  • テストの点数向上に直結しやすい
  • TOEICや英検などの資格を取りやすい
  • 英会話教室より月謝が安い傾向にある

【英語塾のデメリット】

  • 英会話習得に直結するとは限らない
  • 発音の違いは身に着きにくい
  • 勉強感が強いため、モチベーションの維持が必要

英語塾は英語でのコミュニケーションに焦点を当てていないため、英語が話せない日本語講師もいます。「中学英語に備えたい」など目的がはっきりしている場合は、英語塾がおすすめです。

英会話教室のメリット・デメリット

英会話教室は、会話を通して生きた英語を学べる場所です。

【英会話教室のメリット】

  • “勉強感”が少なく楽しく学べるので、モチベーションを維持できる
  • 英語を使うことに抵抗がなくなる
  • 発音の仕方を詳しく学べる

【英会話教室のデメリット】

  • 月謝が高い
  • 家庭での復習ができない
  • 文法が身に着きにくい
  • 学校のテストの点数向上に直結しにくい

筆者も、小学校時代に英会話教室へ通った経験があります。簡単な英語表現は身に着きましたが、自分自身に「英語を身に着けたい」という意識がなかったため、大学時代に留学するまで英語が得意ではありませんでした。

子どもの将来を考えて、英語塾や英会話教室に通わせたいという気持ちはあるでしょう。けれど、高校受験や大学受験が目の前にある学生と違い、小学生の場合は英語を勉強する明確な目的が少ないことが多いのではないでしょうか。

大切なのは、子ども自身の意欲。「英語や英会話を絶対に習得させなければならない!」と強すぎる思いを与えず、「定期的に英語に触れる環境を作ろう」「英語への抵抗をなくそう」という感覚から始めてみる方が望ましいかもしれません。

英語塾は目的を明確にしてから選ぼう

先に触れたように、小学生では英語を学ぶ目的が就活や受験に直結しないことが多いですよね。そのため、なぜ小学生の子どもを英語塾や英会話教室に通わせたいのかの目的や軸が明確でないと中・高校生になっても英語力が身に着いていないという結果になることも大いにあり得ます。わが子を英語塾に通わせたい目的について、まずは親自身がしっかり考えることが大切です。

本章では、「英語を話せるようになってほしい」「中学英語の予習をさせたい」という二つの目的から英語塾について解説をしましょう。

目的① 英語を話せるようになってほしい

英語を話せるようになってほしい場合は、英会話教室をおすすめします。

英語を話せることは実際に学校での成績評価や受験に有利になったり、将来のアドバンテージになったりします。長い目で見た場合に役立つのです。

もちろん、英語を話すことは簡単なことではないため、身に着くのに時間がかかるのは覚悟しておきましょう。

目的② 中学校での英語の予習をしてほしい

中学校での英語の予習にしたい場合は、英語塾をおすすめします。

文法や単語、基礎的な会話表現など学校で習うことに焦点を当てて学習していくため、圧倒的に知識の定着率が上がります。

子どもの性格にマッチした英語塾・英会話教室を選ぼう

英語塾には英語塾と英会話教室の種類があると先述しましたが、それぞれ個別指導・集団指導、日本人講師・外国人講師などその形態もさまざまです。

それぞれの特徴から、どのスタイルがわが子に合っているか検討してみてくださいね。

個別指導

メリットとして挙げられるのは、次の2点。

  • 分からないことをすぐに質問できる
  • 自分の弱点に合わせてカリキュラムを組むため、テストの点数が上がりやすい

個人のペースに合わせて指導してくれるため、目に見える効果が期待できます。ただし、集団指導に比べて月謝が高く、勉強感が強いため子どもが飽きてしまうケースはあるでしょう。

自分のペースでゆっくり勉強するのが好きな子ども、問題集を解くことを嫌がらずにやれる子どもに向いています。

集団指導

メリットは、

  • 周りの子どもたちと、楽しんで英語を身に着けることができる
  • 月謝が安い

個別指導に比べると一人ひとりの指導時間に限りがあるため、学校のテストの点数向上には直結しないこともあるようです。

机に向かって一人でじっと勉強するのが苦手な子ども、友人と楽しみながら活動するのが好きな子どもに向いています。

日本人講師

メリットとして挙げられるのは、次の2点。

  • 日本人が英語を学ぶ上で、どこが苦手か熟知している
  • 子どもの学習状況を、保護者に細かく伝えることができる

しかし、発音がネイティブではないこと、外国人特有の身振り手振りは体感できません。

恥ずかしがり屋なので日本人からじっくり教わりたい子ども、日本語を使わない環境にはまだ適応できない子どもに向いています。

今は、世界中の人々が英語を使ってコミュニケーションを取る時代です。海外に行っても、英語を母国語とするネイティブとだけ話すわけではありません。非英語圏出身の人々と英語で会話する機会が多くなっているため、多様な英語を認めるWorld Englishes(ワールドイングリッシーズ)を念頭にコミュニケーションすることが求められています。「ネイティブの方がいい!」と考える人は多いかもしれませんが、その発想自体が変化しています。

外国人講師

外国人講師に学ぶメリットは、

  • コミュニケーションツールが英語だけなので、どうにか自分で考えて英語で表現しようと努力する
  • ネイティブの発音に慣れることができる

ネイティブスピーカーの英語に触れることで、非英語圏の人の英語も自然と聞き分けられるようになります。しかし、日本語を一切話せない講師も多いため英語の下地がないとコミュニケーションに苦労するでしょう。

異文化に触れたことないが好奇心旺盛な子ども、恥ずかしがらずに発言できる子どもに向いています。

子どもが英語学習を続けられるための親の心構えとは

小学生が英語学習を続けるためには、モチベーション維持が大切。そのためには、家庭でのサポートもある程度は必要です。

ぜひ、家では“親も一緒に楽しみ、学ぶ”ことを意識しましょう。「お母さん(お父さん)が楽しそうだから、私(僕)もやりたいな」と主体性を持って学ぶきっかけになります。子どもが“やらされている”という感覚を持たず、お母さんやお父さんと一緒に楽しく遊んでいると思ってもらうことに意味があります。

楽しむことを前提に、

  • 耳から学ばせる
  • 外国人との交流体験の機会を設ける
  • 毎日15分を習慣化する

を家庭で意識することがポイント。

CDやYouTubeで英語の音楽を流しながらダンスをしたり、カードゲームをしたり。子どもが飽きないように、毎日15分ほどを目安に続けていきましょう。

また、実際に外国人と話す機会を設けて「英語が通じた!」という達成感を味わってもらうのもおすすめです。サマーキャンプなどの国際交流イベントに参加したり、外国人留学生をホストとして受け入れたりするという方法もあります。

小学校での英語教育が活発になり、英語塾に通わせるか、英語塾はどこが良いのかは悩みどころでしょう。今回は、英語塾に通わせるメリットと、英語塾と英会話教室の違いを紹介しました。子どもの性格や英語を学ばせる目的は何なのかを検討し、「通わせて良かった!」と思える英語塾を選んでくださいね。

【参考文献】

  • 百瀬淑子著『親子で楽しむ英語あそび』(ディスカヴァー)
  • マスミ・オーマンディ著『子どもの英語力を育てたいお母さんのための本』(アスペクト)
  • 川崎美恵著『10歳からの英語 お母さんの出番です』(さくら舎)

赤坂ヒルマ

大学で日本文化を専攻したことがきっかけで、海外の文化に興味を持つ。英語は大の苦手であったが、チャレンジ精神で大学在学中にシドニーに1年間留学を決行。留学後は英語を好きになり、英語を使った仕事に携わりたいと思うようになる。内定後J Shine(小学校英語教師指導者資格)を取得するため、再度シドニーへ。現在、航空業界で勤務中。趣味は家系ラーメンを食べること。

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