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2020.12.18

江東区の教育/学校数や学力、中学受験率ほか子育て世代の口コミ情報を紹介

23区の教育環境を紹介する連載記事。今回ご紹介する江東区は、下町の印象が強い町ですが、豊洲や有明などの臨海地区も擁する多彩な顔を持っています。「子育てがしやすい」という声も多く、出生率は23区中第4位、ファミリー世代の人口もこの20年間で右肩上がりに増加し続けています。

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発展途上中で人口50万人超え

データで見る江東区の教育環境

  • 義務教育世代(5歳〜14歳)の子どもの数=約4万5000人
  • 公立小学校の数=45校
  • 公立中学校の数=23校
  • 義務教育学校の数=1校
  • 特別支援学級=小学校10校(拠点校)・36校(巡回校)、中学校3校(拠点校)・21校(巡回校)
  • 特別支援学校=聴覚障害1校、知的障害2校、肢体不自由1校、病弱1校
  • 公設学童クラブ=42カ所(小学校内クラブ)、18カ所(小学校外クラブ)、土曜江東きっずクラブ14カ所
  • 民間学童の数=調査中
  • 学童待機人数=ゼロ
  • 私立中学進学率=25.9%
  • 家賃相場(ファミリー世帯)=3LDK:23.45万円
  • 治安・犯罪率=2019年の刑法犯件数=3,522件

東京都東部に位置する江東区は、中央区・墨田区・江戸川区・品川区・大田区・港区と多くの区に隣接しています。

亀戸周辺の城東エリア、門前仲町や清澄白河周辺の深川エリア、豊洲や有明などの臨海エリアに分かれており、臨海エリアは東京オリンピック・パラリンピックの競技場予定地も集まっていて、現在進行形で開発が進んでいます。2019年には区の人口が52万人を超えました。

エリアにより差が顕著な私立中学受験率

2020年の私立中学進学率は25.9%と、約4人に1人が私立中学に進学している江東区。江戸川区を隔てて千葉県にもアクセスがしやすいため、千葉県下の私立中学も選択肢になっているようです。

私立中学進学率は都内13位とさほど高くないものの、豊洲などの高層マンションが多く立ち並ぶ新興住宅地では教育熱が高く、「8~9割が私立中学を受験している」という声も聞かれるほど。

団地や都営住宅が多い城東エリア、商売を営む家庭も多い深川エリアから比べると、受験率・進学率は圧倒的に高いようです。

また創立150年ほどの歴史のある明治小学校や富岡八幡宮のお膝元にある数矢小学校などの伝統校も点在し、学校選択制度を利用して区内他地区から越境してくるケースも多く見られます。

江東区初! 公立の義務教育学校「有明西学園」も開校

2018年には江東区初の公立の義務教育学校として有明西学園が開校し、注目を集めています。

義務教育学校とは小学校から中学校までの9年間の義務教育課程を一貫して行う学校のことで、現在都内でも品川に6校、八王子に1校のみという新しい教育制度です。

早期カリキュラムの導入や小学校から教科担任制や定期テストを実施するなど、公立校ながら特徴的な教育も行っています。

公立校のため入学者選抜のためのテストが行われないこともあり、私立志向ではない保護者の関心も集めています。

【江東区の教育の特徴1】小中学校で「こうとう学びスタンダード」を定着

子どもの学びや育ちを支える基本的な態度や考え方、習得レベルを、「こうとう学びスタンダード」として定め、小中学校の全校で子どもたちに定着させています。

「学び方」「体力」「国語」「算数」「数学」「英語」「就学前教育」の7つのスタンダードがあり、基礎学力の底上げはもちろん勉強に向かう姿勢や体力づくりなどの基礎・基本を身につける内容になっています。

例えば算数・数学スタンダードであれば、4年生で「計算のきまりがわかる」、6年生で「角柱・円柱の体積が求められる」、中学3年生で「√を含む式計算ができる」などの具体的内容が提示され、それをクリアしていきます。

ちなみに就学前教育スタンダードは、遊びや生活を通して「幼児期に必ず体験する内容」を示したもの。

例えば「のびのびと体を動かす」「自分でよく考える」など、幼児期の終わりまでに身につけてほしい基本的な姿を想定しています。

驚くのは、「こうとう学びスタンダード」という言葉が保護者にも深く浸透している点。各学校の教師陣が「こうとう学びスタンダード」を日常的に活用し、子どもにも保護者にもきちんと説明していることがわかります。

【江東区の教育の特徴2】小学1〜2年生対象に少人数制指導を実施

江東区では小学1~2年制を対象にした、算数と国語の授業を30人以下の少人数制クラスで行っています。

教員免許を持つ“まなびスタンダード強化講師”を指導員として配置し、低学年の基礎学力の向上と定着のためにきめ細かな指導を実施しています。

また、まなびスタンダード強化講師を通常授業の補助スタッフとして配置し、子どもたちを複数人で様々な角度から観察、指導するチームティーチングにも力を入れています。

担任だけでなく、補助講師が勉強や生活面でサポートすることで、子どものみならず保護者の安心にもつながっています。

【江東区の教育の特徴3】江東きっずクラブの充実で放課後も安心

江東区では、親が働く子ども対象の公設学童を「江東きっずクラブB登録」、親の就労に関わらず自主的な放課後活動の場を「江東きっずクラブA登録」としています。

江東きっずクラブB登録

公設学童である「江東きっずクラブB登録」は、学校内・学校外併せて60ヵ所設置。区内在住の1~3年生(または障害などのある4~6年生)が対象。定員数も上限が決まっており、専用ルームやおやつもあって、放課後は18時までですが、19時までの延長が可能です。利用料は月5,000円、保険料は年間500円、おやつ代が月1,500円かかります。

江東きっずクラブA登録

「江東きっずクラブA登録」は基本的に小学校内の敷地に46ヵ所設置。おやつや専用ルームはないものの、平日の放課後17時まで子どもたちが自由に過ごすことができます。スポット利用を使うとB登録同様、夕方は19時まで延長できます。

A登録の対象は実施校に在籍する1~6年生まで、夏季休業などの長期休みの間も利用することができます。登録料は年間500円で、保険料も年間500円。1日500円でスポット利用ができる(月上限6000円)ので、気軽に利用する家庭が多いのも特徴です。

A登録には定員がなく、B登録に入れなかった場合でも子どもの放課後の居場所が確保できるため、江東区では学童の待機児童がゼロをキープできているともいえるでしょう。

【江東区の学力】小中学校共々、全国と東京の平均を上回る成績

2019年4月に文部科学省が実施した小学6年生対象の全国学力テストによると、小学校の国語と算数の平均正答率は、それぞれ68%と74%と東京都平均と全国平均を上回りました

2015年からの推移を見ても、全国・東京共々平均を下回ったことはなく、江東区の小学校のレベルはある程度保障されているといえます。

中学3年生対象の全国学力テストでも、2019年度の平均正答率は国語で76%、数学で63%、英語で60%と主要3教科で全国と東京都の平均を上回りました

2015年からの推移を見ると、2016〜2017年では東京平均を超えた教科はなく、全国平均さえも下回る教科があったことを考えると、ここ2~3年で公立中学校の理解度がアップしているといえます。

【口コミ情報】江東区の教育は「学びスタンダード」が親子に浸透

江東区の保護者たちの教育環境への意見をピックアップしてみました。

「受験する子もしない子も子ども同士は一緒に遊び、塾の日は別行動。いろいろな意味でバランスはよいと思います」(小5女子の母)

「豊洲の小学校では中学受験する子がほとんどなので、4年生くらいから宿題の量が少なくなり、通塾への配慮だと感じています」(小5男子の母)

「門前仲町や清澄白河周辺は、自営業の家庭が多いですね。中学受験熱はそんなに高くなくても、治安がよくて良識的で、それなりに子育てに熱心な保護者が多いです。下町のよさが残っていて生活しやすい」(小4男子の母)

「ネイティブの先生による英語授業が楽しそうです。小学校までまったく関心のなかった英語に興味がわいて、英会話教室に通うようになりました」(小1女子の母)

「学びスタンダードがあるので、基礎学力の目安になっていて親はわかりやすい」(小3男子の母)

「今回の感染症対策で、区や学校がzoomやスタディサプリなどを迅速に対応してくれた。PCなどが用意できない家庭への貸し出しもしてくださり、“学び方の時代の変化”を感じました」(小5男子の母)

「マンモス校か小中規模校かによって、先生と子ども、子ども同士の距離感が違います。学校選択制で小学校も中学校も選ぶことができるので、事前に学校見学に行ってから子どもに合う学校を選んだらよいと思います」(小3男子の母)

今後ますます力を入れる防犯・治安対策

東京オリンピック・パラリンピックの競技会場多く擁する江東区。大会開催時には多くの外国人観光客が流入することもあり、さらなる防犯・治安対策に力を入れています。

2006年4月から外部の警備会社に委託して、夕方から深夜にかけてのパトロールカーでの巡回を強化。防犯パトロール団体には、パトロールベストや防犯誘導灯、防犯ブザーなどの資機材を無料で支給しています。

250以上のボランティア団体による地域の見回りを実施したり、小学校と提携して地域安全マップを作成したりと、区民の防犯意識も高める取り組みも盛んです。

町会や自治会、商店街が防犯カメラを設置する際の費用も助成しており、2020年3月末までに97団体、838台の防犯カメラの整備が行われました。

今後も防犯カメラの設置が推進される予定で、ボランティアたちによる見回りと併せて、子どもの安全対策がさらに強化されるでしょう。

<参考文献>
江東区ホームページ
幻冬舎ゴールドオンライン
東京都/平成30年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果
学校教育情報サイト
警察庁ホームページ

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元井朋子

大学卒業後、編集プロダクションや業界新聞などを経て、フリーの編集ライターへ。街紹介サイトや子育てサイトでの記事執筆で、トータル1000件以上の学校や子育て支援施設、ママサークルなどを取材。現在は実用本の編集・ライティング、人物インタビューなどを中心に活動中。2人の息子の母。

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