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2020.12.02

子どものお年玉は貯金、それとも使わせる?金銭感覚を育てる方法をお金のプロがアドバイス

子どもたちのお正月の楽しみといえば、何はさておき“お年玉”でしょう。子どもにとってはケタ違いの金額だけに、保護者が管理して貯金をしている家庭もあることでしょう。しかし、本当にそれでいいの?お年玉をきっかけに子どもと一緒にお金について考えてみませんか。ファイナンシャルプランナーの資格を持つ子育てライターの曽田照子さんがアドバイスします。

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令和の小中学生のお年玉事情

お年玉の使い道を考える前にデータを見てみましょう。最近の小中学生はトータルでいくらくらいのお年玉を手にしていると思いますか?

お年玉の平均額は約2万6000円

株式会社バンダイが行った「小中学生のお年玉に関する意識調査」によると、2020年のお正月に子どもがもらったお年玉の総額の平均は、2万5594円だそうです。

もう少し細かく見ると、学年別に平均額は下記のようになります。

  • 小学1・2年生=1万9400円
  • 小学3・4年生=2万1136円
  • 小学5・6年生=2万6991円
  • 小学生全体=2万2509円
  • 中学生全体=3万1765円

ちなみに同アンケートには「子どもひとりあたり平均5封のお年玉を受け取っている」という結果もありました。

小学生の子どもにとって2万円を超える金額は途方もない大金です。大人にとっても決して少なくはありませんよね。

もらったお年玉は誰が管理すべきか

そんな少額といえないお年玉を誰が管理しているのかというと、だいたい3割くらいの家庭が「子どもがすべて管理する」と答えています。

  • 親がすべて管理44.9%
  • 親と子どもでそれぞれ管理24.3%
  • 子どもがすべて管理30.8%
    住信SBIネット銀行「2020年・お年玉に関する意識調査」

さらに、年代別に見ると「子どもがすべて管理する」という家庭が小学生では3割より少なかったものの、中学生になると半数近くなっており、年齢が上がるほど、子ども自身が管理する割合は増えるようです。

子どもが自由に使える金額の割合は?

子どもが管理しつつも自由に使える金額の割合は下記のようになっています。

  • 全額=小学生27.2%、中学生48.0%
  • 半額以上=小学生9.3%、中学生12.0%
  • 半額未満=小学生48.7% 中学生32.7%
  • 0円(なし)=小学生14.8%、 中学生7.3%
    住信SBIネット銀行「小中学生のお年玉に関する意識調査」

子どもが管理する家庭のうち約半数は「全額を好き放題使っていい」としているわけではないようです。

親が管理して貯金するのはダメ?

お年玉は「親が全額預金する」という考え方も悪くありません。未就学児や小学校低学年のうちは子どものお年玉は親が全額預かるという家庭も多いでしょう。

全額をしっかり親が預貯金しておいて成人式などの時にポンと渡すというのは感動的です。

「貯めておいたけど、思いのほか学費やスマホ代が高くて、いつの間にか消えてしまった」というのだって、子どものための必要な出費ですからいいでしょう。

ただ、親が「預かって貯金しておいてあげるからね」と持っていってしまうパターンは、子どもからお金の流れが見えなくなってしまうので、あまりおすすめしません。

お年玉で金銭感覚を育てるポイント

では、お年玉を子どもが金銭感覚を育てるために活用するならどのような方法がよいのでしょうか。

2つの口座に分けてお年玉を管理する

お金を貯めながら金銭教育をしたい場合には、下記のように2種類の預貯金口座を作ることを考えてみてはどうでしょう。

【口座1】親が管理する口座

ひとつは進学費用など、将来のために貯めておく長期的な視点の預貯金口座で親が管理します

【口座2】子どもが管理する口座

もうひとつは普段使うための口座として、子どもに管理をさせるのです。

子どもが管理するといっても頻繁に出し入れする必要はありません。自分の通帳というのは子どもにとって特別感があってうれしいものです。「これが自分のお金」と思いを馳せることが、数字とお金を結びつける金銭感覚を育みます

スマホだけで完結する銀行口座もありますが、通帳があったほうがお金の流れが見えやすく実感しやすいでしょう。

お年玉がムダ遣いで消えてもムダではない

お年玉に限らず、子どもにまとまった金額を渡すと、ムダ遣いをしがちです。

ゲームソフトやくだらないおもちゃを買ってすぐに飽きてしまったり、友達と駄菓子屋で豪遊して1週間持たなかったり…。

私の娘(現在19歳)も例外ではなく、この原稿を書くために「小さい頃のお年玉のことを覚えている?」と聞いたら「小学2年生の時にお年玉をゲームソフトにつぎ込んだ、あれはお金がもったいなかった」と言っていました。多くの子が通る道です。

でもこのムダ遣いは、長い目で見ると決して単なるムダではないのです。

ムダ遣いをして後悔するという経験は、「よく考えてお金は使わないといけない」という気持ちを育てることにつながるのです。早いうちに味わっておいたほうが良いんじゃないでしょうか。

親としては子どもがお金をムダ遣いしてしまっているとき、色々口を出したくなりますが、あえて失敗させるという勇気も必要です。

欲しかったものを子どものお金で買う

自転車やゲーム機、タブレットなど、子どもが高額なものを欲しがっているとき、子どもの意見を尊重しつつ親も「お年玉で買いましょう」と言ったり、親がお年玉にいくらか足してあげて買うこともありますよね。

大きな買い物のために、お年玉を有効に使うというのもひとつの見識です。

「自分のお金で買った」という事実が子どもの自己肯定感をアップさせますし、買ったものを大切にします。将来的にお金を有効に使うために貯金する、という姿勢を育むこともできます。

プライスレスなものを買うという考え方も

ところで、お金は貯めるものなのか、使うものなのか、人によって感覚は違いますが、お金を使って体験や学びを得る、という考え方もあります。

例えば1万円貯金しても18年間で18万円。普通預金だと金利はほとんどつきませんから、そのままの価値です。

でもその1万円分を毎年本を買って読んだら、あるいは子どもが興味を持つ何かに打ち込む資金としたら、子どもの中にどれだけの知識や思考力が手に入るでしょう。とても18万円では買えないほどの価値が蓄積されるに違いありません。

貯蓄だけが堅実なお金の使い方だとは限りません。ものを買うことによって、お金では買えない価値がその子どもの中に蓄積して、やがて大きく開く可能性もあるのです。

貯める、使う、バランス感覚を忘れずに

最近では電子マネーやカード決済があたりまえになり、それはそれで便利なのですが、目の前で現金が動かないため、子どもがお金の存在や動きを実感できないというデメリットもあります。

そういう意味ではまとまった現金が手元に集まるお年玉は、金銭教育の絶好のチャンスです。

親御さんからは「お金のことを子どもに教える自信がない」という不安をよく聞きますが、分からないならば親子で一緒に考えてみましょう。

どのくらい貯金して、どのくらい使うのか、決まった正解はありません。

そもそもお金の使いかたには、絶対的な正解などないのです。大切なのは、自分自身で納得のいくよう、自分で考え、決めて行動できるか、ということ。

自分のお金をどうするのか、その決断は、自分はどう生きたいのかということに直結しているのではないかと思うのです。

<参考資料>
住信SBIネット銀行「小中学生のお年玉に関する意識調査」
~お年玉に関する意識調査2020~お年玉の平均支出予定総額は26,642円前年から横ばいで推移
「小中学生のお年玉に関する意識調査」(2020年1月)株式会社バンダイ
子どものお年玉、どう管理する?賢い活用術や使い道を教えます!|くらしのお金ニアエル

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曽田照子

ライター・エディター、ファイナンシャルプランナー。3人の娘の母。著書「子どもを伸ばすママの言葉がけ 言ってはいけないNGワード55」(メイツ出版)「『お母さんの愛情不足が原因』と言われたとき読む本」(中経の文庫)『「決定版 ママ、言わないで!子どもが自信を失う言葉66』(学研プラス)ほか。子育てのコトバについて雑誌やWEBで執筆中。自身のライフプランに役立てるためFP資格を取得。子どもの金銭教育、教育資金、奨学金などについても詳しい。https://ameblo.jp/soda-teruko/

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