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2020.10.29

【新体力テスト・上体起こし編】「1回もできない」という子どもでも簡単にできるようになる! 自己最高記録を目指せるコツも教えます

運動が苦手、あるいは好きではないという子どもにとって憂鬱に感じることの多い学校の「新体力テスト」。今回、紹介するのは新体力テストの種目の一つ「上体起こし」です。ちょっとしたコツを覚えるだけで記録を伸ばせるので、「どうせできないし…」と最初から諦めているお子さんにも教えてみてくださいね。

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新体力テスト「上体起こし」とは?

「そもそも、新体力テストって何?」という人は、前回までの記事の冒頭に新体力テストについて解説を記載しているので、ぜひ読んでみてくださいね。

【新体力テストのその他の記事はこちら】

【新体力テスト・シャトルラン編】自己最高記録を出すコツ&平均記録も紹介!

【新体力テスト・ハンドボール投げ編】運動音痴でも大丈夫。自己最高記録を出すためのコツ!

「上体起こし」と聞いてイメージするのは、“腹筋”ではないでしょうか。でも、測定する能力や正確な方法についてはよく分からないという人が多いと思います。まずは、上体起こしという種目を説明しましょう。

上体起こしは、体幹筋屈曲群の筋力と筋持久力を測定することが目的。簡単にいうと、腹筋とそこに関連する筋肉がどれだけ長く頑張ることができるかを見るものです。寝ている姿勢(伏臥姿勢)から上体を起こし、また寝ている姿勢に戻るという動作を素早く続けます。

正確な取り組み方は?

文部科学省の「新体力テスト実施要綱(6歳〜11歳対象)」では、上体起こしについて次のように解説されています。
※12歳~19歳対象の「新体力テスト実施要項」についても、内容は同じです。

  1. マット上で伏臥姿勢をとり、両手を軽く握り、両腕を胸の前で組む。両膝の角度を90°に保つ。
  2. 補助者は、被測定者の両膝をおさえ、固定する。
  3. 「始め」の合図で、伏臥姿勢から、両肘と両大腿部がつくまで上体を起こす。
  4. すばやく開始時の伏臥姿勢に戻す。
  5. 30秒間、前述の上体起こしを出来るだけ多く繰り返す。
引用:文部科学省「新体力テスト実施要項」

「実施上の注意」は、次の通り。

  1. 両腕を組み、両脇をしめる。伏臥姿勢の際は、背中(肩甲骨)がマットにつくまで上体を倒す。
  2. 補助者は被測定者の下肢が動かないように両腕で両膝をしっかりと固定する。しっかり固定するために、補助者は被測定者より体格が大きいものが望ましい。
  3. 被測定者と補助者の頭がぶつからないように注意する。
  4. 被測定者のメガネは、はずすようにする。

上体起こしの平均記録は?

上体起こしの年齢別平均値は、下の表の通りです。

年齢男子平均(回数)女子平均(回数)
6歳(小1)11.6411.39
7歳(小2)14.5414.13
8歳(小3)16.7215.85
9歳(小4)18.6317.64
10歳(小5)20.7919.19
11歳(小6)22.6620.84
12歳(中1)24.4421.90
13歳(中2)27.8424.43
14歳(中3)29.9325.20
令和元年「上体起こし」の平均値(スポーツ庁「体力・運動能力調査」より)

上体起こしが苦手で、平均値までほど遠いという子どももいるでしょう。なぜ苦手なのか(苦手に感じてしまうのか)、その原因を取り除くことがまずは大切です。

上体起こしが苦手な子の原因

上体起こしだけではないのですが、以前(昭和の頃など)と比べ子どもの体力は低下しています。近年は国を挙げて子どもの体力向上に取り組んでおり、一部はわずかですが上昇しています。しかし、全体的に下げ止まっているというのが実情…。

子どもが暮らす社会の状況はとても便利になっています。これは子どもだけでなく、家庭で行う炊事洗濯なども以前と比べると格段に便利(ラク)になっているということでもあります。しかしながら、体のことを考えるとこの便利さがマイナスに作用する面もあるのです。

子どもは体のさまざまな部分が日々、成長しています。便利で快適な暮らしは子どもの体の健全な発達・発育にはマイナスであることもあります。特に上体起こしで測定する腹筋は人間の筋肉の中でも中心となるものです。体をたくさん使わないことなどが腹筋を始め、主要な筋肉に影響を与えています。

研究者の中には、子どもの体力低下には3つの“間”が減ったことが関係していると指摘する人もいます。“間”とは、仲間・空間・時間社会状況の変化、子どものライフスタイルの変化などが子どもの体に大きく影響を与えているのです。子どもの体力(腹筋も含め)を向上させていくには、この3つの間(仲間・空間・時間)を確保することも大切なのかもしれません。

学校では教えてくれない! 上体起こしのコツ

学校では、授業時間数の問題などもあり新体力テストに向けた練習の時間を取ることができない場合が多いもの。それゆえに、きちんとしたやり方が分からず練習もしないまま本番を迎える子どもも多いことでしょう。

そこで、今回は「数日後に新体力テストが控えていて、今からトレーニングをするのは無理!」という子どもでもできるコツと本番で役立つテクニックを紹介します。

じっくりとアップをする

上体起こしだけではないのですが、しっかりとアップすることは記録に大きく影響します。新体力テストの前に、一応の準備体操やストレッチはすることでしょう。それによってある程度は体が温まりますが、さらにしっかりと行うことで記録が出やすくなります。

新体力テストには、機材や会場の関係で待ち時間が発生します。その待ち時間を上手に使い、体を冷やさない(温める)ようにするのがおすすめ。ストレッチでは上体起こしで使う筋肉、腹筋やその周辺の筋肉を伸ばすことを念入りにしておきましょう。

顎を引く

上体起こしに取り組む時、頭が後ろに残ってしまうと記録が伸びにくくなります。顎が上がり、頭が後ろにいくことで重力で後ろに引っ張られてしまうのです。特に、頭はとても重たいためその影響が大きくなります。

しっかりと顎を引くことで頭が後ろに残らなくなりまし、やりやすくもなるため記録が伸びやすいのです。

低学年の子には“顎を引く”という言葉は少し分かりにくいので、「おへそを見るように」と声掛けをするのが良いでしょう。これは、マット運動などで背中を丸める時にも使う声掛けです。

しっかりと足を押さえてもらう

上体起こしは、足を持つ人もとても重要。新体力テストで取り組む種目(50m走、20mシャトルラン、反復横跳び、立ち幅とび、ソフトボール投げ、長座体前屈、上体起こし)の中で上体起こしは唯一、他の人に手伝ってもらう種目です。基本的にはクラスメイトや同じ学年の子に手伝ってもらいますが、低学年の場合は上級生がサポートに入る場合もあります。

具体的には、先ほども書いたように膝を押さえてもらいます。押さえが十分でないと、記録に影響します。例えばネジが緩んでいる椅子はしっかりと固定されていないため、ゆらゆらとしてしまい安定して座れませんよね。上体起こしの足を押さえることも、椅子のネジと同じ。しっかりと押さえてもらうことで、安定して上体を起こすことができるようになるのです。

実際には、上体起こしに取り組む前に「ちょっと強く押さえて」と押さえてくれる人にお願いをします。取り組んでいる間にどうしても押さえが緩くなってしまうので、取り組む前は少し強めに押さえてもらうと良いでしょう。

上体起こしが一回も出来ない!という子どもにおすすめのトレーニング

上体起こしが一回も出来ないという子どもも、意外と少なくありません。そのような子どもでも、少し取り組むことで上体起こしが上手にできる簡単なトレーニングを紹介しましょう。

腹筋の場所をしっかりと意識する

上体起こしだけではないのですが、運動が苦手という子どもはその運動に必要とする部位の筋肉を動かしたことがない場合があります。正確には、“意識して動かしていない”のです。

上体起こしが一回もできない場合、腹筋の力が弱いのはもちろん腹筋を動かすことを意識的にできていない場合があります。脳では上体を起こそうとイメージをして指令を出しますが、それが適切な場所(腹筋)まで届いていないのです。

腹筋の練習をする時には軽くお腹を叩き、その部分の筋肉を動かすのだということを意識します。これは、ボディビルダーが鍛える筋肉を強く意識しながら筋トレをすることに似ています。

「腹筋」→「肩」という順番で力を入れる

上体起こしでは、主に腹筋を使います。上体(腰から上)を寝ている姿勢から持ち上げます。ただし、一気に全ての部位を持ち上げるわけではありません。まずは腹筋を意識し、その次に肩を持ち上げるようにするとスムーズです。

体を動かすときは、中心から外側へという動きをすることが多いものです。上体起こしで支えとなる部分は、腰。腹筋を使ってまずはお腹から胸の辺りを動かし、その後に肩を意識して前へ動かすようにしていきます。

少しずつ慣れてくるに従い、スムーズにトレーニングに取り組むことができるようになります。簡単なのでぜひ、やってみてくださいね。

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鈴木 邦明

平成7年東京学芸大学教育学部小学校教員養成課程卒業。平成29年放送大学大学院文化科学研究科生活健康科学プログラム修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務し、学級担任としてさまざまな子どもたちや保護者と関わる。現場での長年の経験を基に、教員・保護者向けに様々な教育関連情報サイトなどで役立つ情報を発信。現在は教員育成に軸足を移し、平成30年4月から帝京平成大学現代ライフ学部児童学科講師。(財)日本体育協会・スポーツリーダー、WSSA-JAPANスポーツスタッキング指導者。 

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