教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.09.12

【情操教育とは】親子で美術館に行こう! 美術教育は正解がないから面白い

美術館の作品は大人が見るものだと思っている人も多いかもしれませんが、子どもが見れば豊かな感受性を育てることにつなげられます。イノベーションの専門家・山口周氏の著書がヒットし、ビジネスのかじ取りには従来の“サイエンス重視の意思決定”に加え“美意識”も必要だと言われている昨今、幼いうちからアートに慣れさせておくのは得策かもしれません。今回は、子どもが入っていきやすい美術との関わり方についてお話します。

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今の時代は美術館も家族のおでかけスポット!

「子ども連れで美術館にいくのはちょっと…」と思っている保護者は多いかもしれません。おそらく、美術館が静かな場所であるということ、せっかくの展示を見せても子どもには難しいかも、などと思っていることがその理由ではないでしょうか。しかし、そんなことはないのです。

 

野外に展示されているような巨大な現代アートは子どもがが遊具感覚で触れて楽しむことができますし、初めて見るものに子どもは想像を膨らませることができるでしょう。また、美術館ではボランティアらによる子ども向けの鑑賞ツアーのようなイベントが開催されており、参加すると、子どもは美術館で自由に展示を見て楽しむことができるのです。

 

いま“美術教育”に注目が集まっています。美術の専門雑誌『美術手帖』では2019年2月号で「みんなの美術教育」という特集を組みました。常に最先端のアートを取り上げている同誌ではめずしい試みで、それだけ美術教育には注目が集まっていることがわかります。同誌では特集の中で「かたちの足し算」「紙1枚で気持ちを表現してみる」などを行う「誌上授業」を開講し、さまざまな人にわかりやすく美術教育を伝えています。

 

美術教育を牽引しているもののひとつが、東京藝術大學と東京都美術館が連携して始めたプロジェクトMuseum Start あいうえのです。このプロジェクトは、「ミュージアムでの特別な体験をすべてのこどもたちに届けたい」という思いからスタート。子どもたちが上野公園にあつまる9つの文化施設(東京都美術館、東京藝術大学、上野の森美術館、恩賜上野動物園、国立科学博物館、国立国会図書館国際子ども図書館、国立西洋美術館、東京国立博物館、東京文化会館)を巡り文化財への関心を深めながら、自分が暮らす社会に参加していく機会となることを目指しているそうです。子ども向けのプログラムがあるため静かに鑑賞したい人の邪魔にならず、子どもも展示を楽しめよう工夫されたプロジェクトです。

 

Museum Start あいうえの」では子どもの好奇心とモチベーションを刺激する仕掛けが豊富で、上野公園9つのミュージアムを自力で楽しむためのガイドブックなどをセットにした、「ミュージアム・スタート・パック」を、参加者全員にプレゼントしています。

 

 

子どもの視点で学び楽しめる美術館のプログラム

「あいうえの」プロジェクトを参考に、各地の美術館や博物館でも子ども向けのプログラムに力を入れる動きが出てきています。

 

イベントの内容はさまざまで、展示内容をスタッフと一緒に見て回るツアーもあればワークショップもあります。前述した「あいうえの」プロジェクトでは展示を見た後、感想などを「ぼうけんノート」に記します。実際に子どもが記したノートを見ると、大人でも気が付かなかったような作品の細部や、子どもならではの見方が表現されていてその豊かさや意外性に驚かされます。また、作品の模写も子どもによってまったく切り口が異なり、できあがったものは別の作品のようです。

 

全く美術に興味を持たないと思っていたわが子が、実は意外な才能の持ち主だということもあるかもしれません。また、それまでとは違った才能の伸ばし方ができるかもしれません。現代のビジネスにおいては、これまでのマーケティングの手法にとどまらず、ユーザーの求めるスマートなデザインや使いやすい形などを重視して意思決定をする「デザインシンキング(デザイン思考)」が取り入れられるようになっています。子どもの頃からアートに接し、いろいろな表現の仕方を知ることで大人になった時に役立つかもしれません。

 

 

 

 

美術館は想像力を養うのにぴったりな場所

このように、美術館は子どもの“想像力”や“創造力”を養うのにぴったりな場所。美術教育の普及に力を入れている美術館が増えているので、家族で訪れたいお出掛けスポットとしても最適です。以下のようにいろいろなプログラムが用意されているので、どの美術館に行くか親子で相談するのも楽しいかもしれません。

 

金沢21世紀美術館

親子や子ども同士で気軽に立ち寄って遊べる「キッズスタジオ」を設置。子ども主体の作品制作や展覧会、季節に合わせたテーマで芸術体験をするワークショップ・プログラムを行っています。

 


サントリー美術館

子どもたちが利用しやすいようにと、中学生以下は入館無料。日本美術の面白さを体験・体感・発見できる「エデュケーション・プログラム」が用意されています。

 


東京都現代美術館 

子ども向けの現代美術に関する図書を閲覧することができる「こどもとしょしつ」を設置している他、教育普及プログラムも多数。

 

今、多くの美術館で子ども向けの教育プログラムが毎週のように行われています。夏休みなどの長期休暇でなくても特別展などに合わせて開催されているもの、美術館の内部を巡るツアーや展示解説、ワークショップなどもあるので美術館のホームページで検索してみるのも良いでしょう。

 

「この絵は何を描いているんだろう」「どうしてこの絵は描かれたんだろう。自分だったらこう描きたいな」など、アートに触れることで子どもの思いも広がるはず。また、正解を問うものではなく自由に想像・創造できるのが美術教育のメリットでもあります。もし「まだうちの子には早い」と迷われている保護者も、ぜひ一度足を運んでみませんか。きっと、親子の新しい発見があるはずです。

 

近藤 とも

近藤 とも

大学院で日本近代の都市生活史について研究し、博士号を取得。現在は歴史、文学、教育、ITについてのライティング、編集、書評などを手がける。教育情報メディアの編集部に在籍していた経験から、教育事情に造詣が深い。「紺野とも」の名前で現代詩を書き、詩集も出版。趣味は宝塚歌劇と漫才を見ることと散歩。 https://tomomeronpan0.wixsite.com/tomokondo

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