2019.06.10

自己肯定感を高める接し方とは? 家庭教育師が教える3つのヒント

諸外国と比べても学力がトップレベルであるにもかかわらず、自己肯定感が低い日本の子どもたち。その理由は何なのか、文部科学省が調査分析をすすめていますが、いまだに明確な対策は出されていません。では、保護者として何かできることはないのでしょうか。そこで「自己肯定感が低いまま大人になると、仕事や人間関係につまずく原因になるのでは」と現状を危惧する家庭教育師の藤田郁子さんが、今回から数回にわたり自己肯定感を高める家庭教育のヒントを紹介します。

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隣国よりも低い日本の子どもたちの自己肯定感

“72,5%” という数字の意味を知っていますか? これは、国立青少年教育振興機構が日本の高校1~3年生を対象に行ったアンケートで「自分はダメな人間だと思うことがある」と答えた子どもの数です。

 


上記の図の「とてもそう思う」25,5%と「まあそう思う」47%を足した数字が、72,5%であり、「自分はダメな人間だと思うことがある」と答えた高校生がこんなにも多い現状を知ることができます。また、次の図は、同機構が小学4年生~高校2年生対象に行った調査です。

 

 

学年が上がる程に自己肯定感が低くなっていくのが分かります。小学4年生では「自己肯定感が高い」「やや高い」を足すと61,4%ですが、高校2年生では27,6%にまで急激に下がっています。

 

仮に子どもが100人いると、小学4年生では61人の子どもが自己肯定感をもてているのに、高校2年生になると100人中27人しか自分を肯定していないのです。

 

 

【ヒント1】否定するのではなくスキンシップで温もりを

では、前述のように自己肯定感の低い子どもたちが多い現代の日本において、家庭で自己肯定感のある子に育てるためには、何が必要なのでしょうか? それは、親子の関わりの中で否定せずに肯定するということです。

 

例えば、子どもへ口癖のように「早く~しなさい」「いつするの?ちゃんとしない」「ゲーム(スマホ)ばかりして!」「このままだと心配だわ」などと言っていませんか? 子ども側からするとこれらの言葉はすべて“否定”と感じています。親は子どものために言っているはずなのに自己肯定感を削っているのであれば本末転倒です。

 

では、どうすればいいのかというと、家庭では子どもの心に栄養を与えることを心がけましょう。心の栄養のポイントは次の3つです。

 

心の栄養3つのポイント

①肌のぬくもり(スキンシップ) 

②笑顔 

③いい言葉(「大好き」「宝ものだよ」「生まれてきてくれてありがとう」「がんばってるね」「えらいね」など)

 

これら3つの栄養をタップリ与えることで子どもの心は満たされ、精神的に安定していきます。一方、栄養が不足すると、下の子をいじめる・嘘をつく・心身の不調などがサインとして表れます。

 

人間は動物ですから、理屈よりも肌感覚の方が“大切にされている・愛されている”と感じられます。そのため、①肌のぬくもり(スキンシップ)は特におすすめです。もし、なかなかスキンシップがとれないのであれば、さりげなく背中を指すってあげるだけでもいいですね。

 

また、足の裏をもむ・おへその裏の命門というツボを手のひらで温めるなどの簡単なマッサージも心身がリラックスでき、優しさが肌から伝わります。何気なく子どもが感じた肌のぬくもりは、心を満たし、自己肯定感高めることにつながりますよ。

 

 

 

 

【ヒント2】保護者自身も笑顔でいられるようにする

子どもを見守る保護者の表情や態度も重要です。とはいえ、忙しい日常生活の中でいつも笑顔でいるのは難しいという保護者の気持ちも分かります。

 

そこでオススメしたいのは、3つの笑顔です! 

「おはよう」

「いってらっしゃい」

「お帰りなさい」 

この3つの言葉を言うときだけでも笑顔になるのです。

 

もし、仕事などの生活スタイルによって「いってらっしゃい」「お帰りなさい」が言えないのであれば、

「おはよう」

「行ってきます」

「ただいま」

でもいいですよ。

 

3つの笑顔を実践している保護者からは、「朝から不機嫌でグズグズしていた子どもが何も言わなくてもお支度できた」「子どもとの会話が増えてうれしい」などの声も届いています。

 

それでも、3つの言葉を言うときですら笑顔になれない日もあるかもしれません。そんなときは、笑顔になれないぐらいがんばっている自分をほめてあげましょう。そして、まずは1つだけでもいいので笑顔になれるようにして、がんばりすぎず、ひとつずつ笑顔が増えていくことを目指していきましょう。

 

 

 

 

 

【ヒント3】指示・命令することより考えさせてほめること

保護者は毎日たくさんの言葉を子どもにかけています。

 

朝は、動かない子どもに対して「早く起きなさい」「早く食べなさい」「お支度は?早く行きなさい」と言い、子どもが帰宅してからは「早く手洗いうがいして」「早く宿題をしなさい」「早くお風呂に入って」「早く寝なさい」などと言い、気付けば指示・命令のオンパレードになっています。子どもは、“言われて動く”なかで“言われなくては動けない自分”を見つけてしまうものです。

 

これでは、自主性が育たなないばかりか、自己肯定感も低くなってしまいます。

 

自己肯定感(自分はできるという自信)は、小さな成功体験から育ちます。そのためには、「~しなさい」という指示・命令の声かけを「~と思うよ」という促しの声かけに変えてみましょう。ポイントは、子ども自身が自己決定をして行動できるようにすること。

 

その結果、自分の決めたとおりに行動できたら大いにほめてあげましょう。そうすることで子どもの心に自信が生まれます。「これぐらいできて当たり前」という思いは捨てて、ほめることを忘れないことも自己肯定感を育てるためには大切なこと。日本には言霊という言葉がありますが、子どもに届ける言葉によって子どもは変わっていきますよ。

 

藤田郁子

藤田郁子

1961年、神戸市生まれ。日本家庭教育学会認定の家庭教育師。幼児生活団の指導者・保育士・健康体操インストラクターなどの経験があり、1991年に公益社団法人スコーレ家庭教育振興協会に入会。日本家庭教育学会第24回大会(2009年)、同32回大会(2017年)では、研究論文を発表したほか、ゲームなど、身体から心の交流をはかる「ふれあいトレーニング」や「キッズ保育者研修」のトレーナーとして活躍中。スコーレ協会の首都圏北地区のリーダーも務めている。

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