教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.05.13

『中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ』で中学受験を疑似体験してみよう!

編集長の本棚、第3回は『中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ』をご紹介。
中学受験に対する考え方が夫婦・親子で異なるご家庭も少なくないと思いますが、一度この漫画で中学受験を「疑似体験」してみては? 受験を通しての成長や厳しさを知り、より冷静に検討することができるはずです。

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中学受験否定派の方にも読んでほしい

まさか自分の娘が中学受験を検討することになるなんて、当時はこれっぽっちも思っていませんでした。

 

僕は小・中・高と地元香川県の公立校に通い、一浪した後、地元を離れ関東の国立大に進学したのですが、特に僕のような公立出身・地方出身の父親は中学受験に対して否定的であることが多いようです。

 

・小学生のうちは思いっきり遊ばせたい

・学校で習っていないことまで勉強させる(塾や家庭教師が前提)なんておかしい

・受験のためのテクニックを詰め込むだけで、本当の学びとは言えない

・多様性を学ぶ場として、公立のほうがいい

・とにかくお金がかかる。受験産業のカモにされるだけだ

・子どもが勉強したいなんて思うはずないから、結局は親のエゴだろ

・小学生から勉強漬けの毎日なんてかわいそう。ある意味虐待なんじゃないの?

・私立って、公立に受からなかったときの滑り止めでしょ?

・自分は公立中学に行ってよかったと思ってる

 

一部、地方出身者ならではの偏見も含まれていますが…、中学受験否定派の理由は概ねこんな感じじゃないでしょうか。

 

地方の文化しか知らなかった僕も同じようなことを思っていました。

今の首都圏の中学校について勉強し、実際に多くの学校を見学するまでは。

 

 

今回は、僕が中学受験の実態を学ぶために読んだ複数冊の本の中でも特におすすめしたい、『中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ』をご紹介します。

 

中学受験を考え始めるところから合格発表までの物語を親の視点で描いた漫画なのですが、所詮漫画と侮るなかれ。

 

この本の帯には、以下のように書かれています。

中学受験する?しない?

これ一冊で「親のすること」丸わかり!

「受験」を疑似体験できる

 

これがまさにそのとおり!

受験生の親として必要な心構えや覚悟を一気に知ることができる、必読の一冊だと思います。

 

 

 

中学受験までの3年間を「体験」できるシミュレーション漫画

本書を描いた高瀬志帆さんは、同じく中学受験を題材にした『二月の勝者--絶対合格の教室-』を現在連載中。大量の参考文献やデータをもとに塾講師の視点で中学受験をリアルに描いた、非常に話題になっている漫画です。

こちらもとても面白く勉強になるのですがまだ連載中なので、中学受験の全体像を手っ取り早く理解するなら、『中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ』のほうをおすすめします。

 

計182ページの漫画なので1時間足らずで読めてしまいます。にもかかわらず、内容は非常に濃密!

 

それぞれに違う悩みを持つ4つの家族が登場するのですが、

「私立中堅校」「公立中高一貫校」「最難関女子校」など目標とする学校だけでなく、親子の人間性もさまざま。きっと登場人物の誰かと自分を重ね合わせて中学受験を疑似体験できるはずです。

 

また、ストーリーの合間には、よくあるお悩みに答えてくれるミニコラムもあり、中学受験の基礎知識も一緒に得ることができます。

 

<コラム例>

・うちの子は中学受験向き?5つの判断基準

・四大受験塾、わが子にはどこが向いている?

・テスト後の子どもに絶対に掛けてはならない言葉

・塾代や私立中の受験料で親の収入が消えていく?

・受験で精神的に壊れてしまう子がいるってホント?

・「中学受験をしない子」が少中学時代にすべきことは?

など、中学受験をしないという選択も含めて、多様な役立つ情報をカバーしてくれています。

 

 

そして何よりこの本を読んで良かったと思うことは、

辛く厳しい現実とも向き合えるよう準備をさせてくれたということです。

 

「全落ち」で、子どもに辛い思いをさせるかもしれない。

 

思うようにならないイライラや不安が募り、親子の関係が壊れたり、子どもがトラウマを抱えることになるかもしれない。

 

中学受験は、親が自分の未熟さと向き合ったり、これまでの価値観を見直したり、無力であることを痛感したりと、自分自身を試される機会が多く発生します。

 

それでも中学受験に挑戦するのかどうか、

この漫画を読んだ後であれば、より冷静に考えることができるのではないでしょうか。

 

 

僕が「中学受験アリかも」と思った理由

中学受験をする理由として最も多く挙げられるのは、「大学進学に有利」ということ。

ただ、わが家の場合、僕も妻も偏差値の高い大学に行ってほしいという考えがあまりなかったですし、冒頭に挙げたような偏見も持っていたので、最初は娘も普通に公立中学に進学するものだと考えていました。

 

しかし、年々加熱していく中学受験ブームが気になって、『中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ』をはじめいくつかの本を読んでみたり学校説明会や学園祭で各校の先生や生徒を実際に見ているうちに、学校によって学びの質や環境が全く異なることを実感し、それまでの考えが大きく変わりました。

 

特に僕が学校ごとの違いを感じながら見ていたのは以下の3点です。

 

学校が目指すものと学習プログラム

教育方針や目標、そしてそれを実現するための学習プログラム。

例えば、社会に出たときに自由と自立の精神で主体的に行動できるよう、探究型・プロジェクト型の授業や社会人講師を招いて実社会に直結するアクティブな授業をおこなっている、など。

 

校長はじめ先生方

先生方のお話から、教育方針との一貫性や熱意を感じられるか、など。

また、先生方の授業が学んでいて楽しいと思えるものかどうかも、授業体験で感じることができると思います。

 

生徒(※特に違いを感じました)

生徒の様子は、特に学園祭や授業体験などで確認することができました。

例えば、

・来校した父兄を案内する際など自分の言葉でしっかりと話ができる。優しさを感じる。

・研究発表などのクオリティが高い。人に伝えることを意識した展示物。

・自主的、積極的に参加している。楽しそう。

など。

学校によっては、恥ずかしそうにヘラヘラとしていたり、ダラダラとやる気のない生徒が目立つところもありました。

 

『中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ』にも、説明会や直接在校生と話す相談会などを経て「やっぱりこの学校に行きたい」と親子の思いが一つになるシーンがあるのですが、

根気よく多くの学校を知ることで、上記3点すべてが気に入って心からいい学校だなと思えるところが見つけられるのではないでしょうか。

 

 

僕自身もこのように多くの学校に足を運びながら検討しているうちに、

ああ、これは公立も私立も、大学進学に有利かどうかも、もはや関係ないかもしれない。

そういうことじゃなく、この学校なら子どもが中学の3年間(中高の6年間)を生き生きと過ごせそうだと信じられる学校を選びたい、と思うようになりました。

 

そして今、「この学校に行きたい・行かせてあげたい」と親子で思える学校がようやく見つかり、その目標に向けて本格的に取り組み始めたところです。

 

 

確かに、中学受験は過当競争に陥っているかもしれません。

 

しかし、単に偏差値が高いか低いかだけじゃなく、学校によって提供している教育の質や環境が異なるのは事実です。

 

良い(と信じられる)学校に行かせたいと思うのは親として当然のことだと思いますので、学校ごとの特色や挑戦することの大変さをしっかりと認識した上で、親子で後悔のない選択をしたいものですね。

 

 

片岡 武志

片岡 武志

『ソクラテスのたまご』編集長。 小学生の娘を持つ父親。『ソクラテスのたまご』の運営を通して、我が子に関わる教育について日々学んでいる。 現在、書評コラム「編集長の本棚」を連載中。

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