【HSC/HSP】子どもの気持ちに寄り添えるように… 4つの性質である「DOES」を知ろう
徐々にメディアや SNSでその名称を聞かれることも多くなってきたHSC(大人の場合はHSPといいます)。人一倍敏感な気質をもつ子(HSPの場合は人)を指すこの言葉ですが、今回は、これらすべてに当てはまればHSCであるという4つの性質「DOES」について解説します。「もしかしたらわが子はHSC? 私はHSP?」と思う方はチェックしてみてくださいね。
HSC(人一倍敏感な子)には“4つの面”のすべてがある
前回の記事で紹介した「HSCかどうかを知るための、23のチェックリスト」。すでに行ってみた人もいると思います。
実は、このチェックリスト以外にもHSCであるかどうかを知るための基準に「DOES」というものがあります。HSCの性質である4つの面を挙げ、それぞれの面の頭文字を取って名付けられている基準のことです。
DOESで挙げる4つの面
D:深く処理する(Depth of processing)
O:過剰に刺激を受けやすい(being easily Overstimulated)
E:全体的に感情反応が強く、特に共感力が高い(being both Emotionally reactive generally and having high Empathy in particular)
S:ささいな刺激を察知する(being aware of Subtle Stimuli)
これらのどれかひとつが当てはまればHSCということではなく、HSCにはこの4つの面がすべて存在します。では、次からは、4つの面をそれぞれ詳しく紹介していきましょう。
D…深く処理する
例えば、子どもがたくさんいるところでお菓子が出されたとき、お子さんは、ほかの子どもたちと同じようにわれ先にとお菓子へ向かいますか?
HSCの脳は、そうでない子どもより情報を深く処理する部位が活発に働いているといわれています。今回のようなケースの場合、「何人で分けるのかな?」「後から来る人の分はとっておかなくていいのかな?」「ちゃんと全員食べられるかな?」など、子どもがとっさに考えないようなことまで深く考えてしまい、動作が一歩遅れてしまうことがあります。つまり、HSCには「石橋を叩いて渡る」(深く処理する)性質があるのです。
Dの性質には、具体的には以下のような特徴があります。あなたのお子さんに当てはまっていますか?
Dの特徴
・物事を深く考えたり、深く読み取ったりする。
・慎重に考えてから行動するので、行動するのに時間がかかることがある。
・大人がするような深い質問をする。
・年齢のわりに、大人びたことを言うことがある。
・あれこれ可能性を考えてなかなか決断できない。
O…過剰に刺激を受けやすい
HSCは、刺激を受けやすく、疲れやすい性質があります。また、刺激に圧倒されると普段の力を発揮することができなくなることがあります。
例えば、「楽しませてあげたい!」と思って親が連れ出しても、ぐったりして元気がなくなってしまったり、帰りたがったりすることもあります。しかし、これは楽しんでいないということではありません。刺激を受けすぎて疲れてしまっているのです。
また、刺激を受けやすいため、HSCに注意をするときは、強い罰を与えるよりも穏やかに言って聞かせる方が効果的なうえ本人も力を発揮しやすくなります。HSCの子は1を聴いて10を理解するため穏やかに伝えるだけで充分なのです。
他にも、Oの性質(過剰に刺激を受けやすい)には、以下のような特徴があります。
Oの特徴
・大きな音(怒鳴り声や雷なども)が苦手。
・暑さ、寒さに弱い。
・濡れた服や足に合っていない靴を嫌がる。
・痛みに弱い。
・人に見られていると緊張してうまくいかない。
E…感情反応が強く、共感力が高い
感じ方が深くて強いです。学校の友だちや家族、初めて会った人でも、つらい思いをしている人の気持ちがよくわかります。ときには動物の気持ちにも共感します。
HSCは以外の子に比べて、ミラーニューロン系の働きが活発だと言われています。ミラーニューロンとは、他の人が何かをしているのを見ると、あたかも自分が同じことをしているかのように感じたり、相手の気持ちを自分の気持ちのように感じたりする働きを持つ神経細胞のことです。
他にも次のような特徴があります。
Eの特徴
・物事のひとつずつを深く感じ取り、涙もろい。
・人の心を読むことに長けている。
・ささいな間違いにも強く反応する。
・不公平なことや残酷なことに動揺しやすい。
・人が怒られているのに、自分の事のように感じてしまう。
S…ささいな刺激を察知する
ささいな刺激や変化に気づきやすいです。
具体的には、以下のような特徴があります。
Sの特徴
・小さな音、かすかなにおい、細かいことに気づく。
・人の髪型や服装の変化に気づく。
・家具の配置がちょっと変わったり、置いてあったものがなくなったりすることに気づく。
・薬が効きやすい。
・刺激を感知するセンサーが精巧。
感覚器が特に発達している人もいますが、大半は、感覚器の反応が大きいのではなく、思考や感情のレベルが高いためささいなことに気づくと言われています。
いかがでしたか? 前回ご紹介したチェックリストとはまた違った視点で、HSCのことを知ってもらえたかと思います。
もし、自分がHSP、あるいはお子さんがHSCかもしれないと思っても、これは、生まれもった気質で、良い・悪いというものではありません。また、病気ではないので治すものでもありません。
しかし、環境の影響を受けやすいところがあるので、本人や周囲の人が敏感で繊細な気質を肯定的に受け止め、気質が尊重される環境で過ごすことが大切なのです。ときには、ひとりになれる時間を確保してリラックスできるダウンタイムを取るなど、自身やお子さんの生活リズムを調整してはいかがでしょうか?
<参考文献>
「ひといちばい敏感な子」エレイン・N・アーロン著(1万年堂出版)
「HSCの子育てハッピーアドバイス」明橋大二著(1万年堂出版)
「子どもの敏感さに困ったら:児童精神科医が教えるHSCとの関わり方」長沼睦雄著(誠文堂新光社)
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