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2020.08.21

【新体力テスト・ハンドボール投げ編】自己最高記録を出すためのコツ!中学生の投げ方や握り方

学校で年に1度実施する「新体力テスト」。中でもハンドボール投げは、ボールが大きくてうまく手で掴めない、投げ方がわからないという悩みも多いようです。今回は、中学生のハンドボール投げのコツについて解説。投げ方のフォームやボールの握り方のポイントも詳しく紹介します。

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そもそも「新体力テスト」とは?

保護者の中には学校で新体力テストが行われていることは知っていても、その目的や内容については把握していないという人も多いのではないでしょうか。まずは新体力テストとは何なのか、どのような実施体制なのかを説明しましょう。

新体力テストの目的

文部科学省の「新体力テスト実施要項」では、新体力テストの目的は「国民の体力・運動能力の現状を明らかにし、体育・スポーツ活動の指導と行政上の基礎的資料として広く活用すること」と提示されています。

現在、小学校や中学校で行われている「新体力テスト」は平成11年から始まりました。それ以前は「スポーツテスト」という名称で、昭和39年から行われていました。昭和39年というと、東京オリンピックが開催された年。運動に対する関心が高まっていた時期でもあります。

小学生と中学生の新体力テストの違い

新体力テストは、小学生と中学生で取り組む種目にやや違いがあります。

小学生の種目中学生の種目
握力(筋力)
上体起こし(筋力・筋持久力)
長座体前屈(柔軟性)
反復横とび(俊敏性)
20mシャトルラン(全身持久力)
50m走(走力)
立ち幅とび(瞬発力)
ソフトボール投げ(投力)
握力(筋力)
上体起こし(筋力、筋持久力)
長座体前屈(柔軟性)
反復横とび(俊敏性)
持久走(全身持久力)
20mシャトルラン(全身持久力)
50m走(走力)
立ち幅とび(瞬発力)
ハンドボール投げ(投力)

※カッコ内は、測定する力

中学生が取り組む種目のほとんどが小学生と同じものですが、小学生の「ソフトボール投げ」が中学生では「ハンドボール投げ」に変わり、持久力を測定する「持久走」が追加されます。

中学生の新体力テスト「ハンドボール投げ」とは

「ハンドボール投げ」のルール

新体力テストのハンドボール投げは、地面に描かれた直径2メートルの円の中からボールを投げてその距離を測ります。投球中や投球後は円を踏んだり、越したりして円の外に出てはいけません。

投球を2回おこなって、よい方の記録をとります。投球のフォームは自由です。

「ハンドボール投げ」が苦手になる理由

「ハンドボール投げ」で用いるハンドボールは野球ボールやソフトボールよりも大きいため、片手でつかむのが難しい子どもが多いです。また、投げ慣れていないことからも苦手意識を持つことが多い種目。まずは、うまく投げられない原因を解説しましょう。

  • 新体力テストまでの練習が十分に確保されていない
    小学校での新体力テスト、特に低学年においてはやり方が理解できていない児童がいることによって正確な記録が測定できないということが起こります。それゆえ毎年、新体力テストの前には体育の時間を使って一通りの練習に取り組むことが多いのです。また、低学年の児童を測定する際には、高学年の児童が世話役などで一緒に取り組むようなやり方をしている学校もあります。

    一方、中学校ではハンドボール以外の種目については小学校の新体力テストとほとんど同じなため練習の時間があまり確保されていません。したがって、中学校の体育の授業では新体力テストに向けた練習時間が小学校のそれに比べて少ないのが一般的です。ハンドボールを投げることに慣れないまま、測定の当日になってしまっている場合が多くあるのです。


     


  • 投げる経験が少ない
    小学生の「ソフトボール投げ」、中学生の「ハンドボール投げ」は新体力テストの中でも以前と比べ平均値の落ち込みが大きな種目の一つ。投力を測定するものですが、日常生活で子ども達が投力を伸ばす機会が少ないのも一因でしょう。

    都会では、“球技禁止”とされている公園が多いですよね。多くの子どもが集まって野球をするようなスペースもほとんどありません。子どもがボールを投げる遊びに取り組むことが、少ないのです。


    “投げる”経験ができるのは、スポーツとして取り組む野球・ソフトボール・バスケットボールなど。スポーツ少年団や部活などのチームに属している子どもが、専用の場所(校庭、体育館など)で取り組む場合がほとんどです。


    そういった環境が、多くの子どもの投げる力が低下していくことにもつながっているのです。スポーツチームに属している子ども以外では、投げる経験をすることがほとんどありません。学校での体育の授業が唯一の時間という子どもも多いでしょう。そして、体育の授業でも投げることに取り組む時間には限りがあります。



     


  • ボールの大きさに対応できていない
    中学校で行われる「ハンドボール投げ」で、もっとも苦労するのが“ボールのつかみ方”。小学校の「ソフトボール投げ」と中学校の「ハンドボール投げ」では、はボールの大きさが異なります。

    「ハンドボール投げ」で使われるボールは「ハンドボール2号」というもので、外周が54cm〜56cm、重さが325g〜400g。小学校の「ソフトボール投げ」で使われる「ソフトボール1号」は、外周が26.2cm〜27.2cm、重さが136g〜146gです。


    握力のある子どもや手の大きな子どもはボールをつかむことができますが、多くの子どもはそれができません。大きさが影響し、うまく投げることができないのです。


日常的にボールと触れ合う機会が少ない、学校では丁寧なハンドボール投げの方法を教えてくれない…そうなると新体力テストの「ハンドボール投げ」に苦手意識を抱く子が多いのは当然のことでしょう。

でも、ポイントとコツさえ覚えれば「ハンドボール投げ」の記録は伸ばすことができます! 

次章では、誰でも取り組みやすい正しいハンドボール投げの方法を解説します。

学校では教えてくれない! ハンドボール投げの正しい方法

ボールは手を広げた状態で持つ

先述したように、きちんとボールをつかむことができないことで上手に投げられないことがよくあります。ボールをしっかりとつかむポイントは、手を広げて持つということ。指と指の間を開けることで、つかみやすくなります。

手の大きさや握力によってはしっかりつかむことができない場合もありますが、手を広げることで安定して投げやすくなるのです。手を広げずにボールを持つと、投げる途中で手の中でボールが動いてしまうことがあります。小学校で使っていたソフトボールより重さがあるので、しっかりつかまないと投げる動作の途中でボールが動いてしまい、狙った方向とは違う方向にボールが向かってしまうこともあります。

投げる角度は斜め45度上

野球のバットでボールを打った時、ホームランになりやすい角度は30度から45度とされています。ジャイアンツの長嶋茂雄さんは、ホームランの角度について「45度から47度が良い」とあるインタビューで答えています。選手によっても違うのですが、およそ30度から45度が良いようです。

ボールを遠くに飛ばすという点では、野球のホームランも新体力テストのハンドボール投げも同様。ハンドボール投げでも45度を意識して投げると、もっとも良い記録が出るとされています。

45度以上の角度になると高さは出ますがその分、距離が出なくなってしまいます。逆に30度よりも小さくなると、重力でボールが早く落ちてしまいます。投げるのが得意でない人ほど角度が大きくなり過ぎたり、逆に小さくなり過ぎたりする傾向にあります。

体は投げる方向に対して横向き

最後に、ボールを投げる時の体の使い方について説明しましょう。

ボールは腕だけで投げているように感じますが、実際には体全体を使っています。体全体を上手に使うことで、投げる距離が格段に伸びていきます。

  1. ボールを持っていない手を前に出します。体の向きはボールを投げる方向と垂直(90度)の方向に。この時、顔はボールを投げる方向(前)を向きます。目線は、少し上の方を見ます。
  2. ボールを上の方(肘が肩の高さ位になるまで)に上げ、後ろ足に体重をかけます。その時、前の足は軽く上げるように。
  3. 前の足を下ろし、体重を前にかけるようにしながら体を回転させ、力強くボールを持った手を前に出します。
  4. 手首のスナップを効かせ、投げます。

この4つの一連の動作を、素早くスムーズに行います。家などの屋内で練習する場合は、ボールの代わりにタオルなどを持ちフォームを整えると良いでしょう。

フォームが整ってきたら、助走も入れるとさらに良い投げ方になります。直径2mの円の中から投げるのが、「ハンドボール投げ」の規定。5歩は歩けませんが、1~2歩のステップを踏むことは可能です。ステップを踏むことで、投げる時に勢いをつけやすくなりますよ。

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鈴木 邦明

平成7年東京学芸大学教育学部小学校教員養成課程卒業。平成29年放送大学大学院文化科学研究科生活健康科学プログラム修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務し、学級担任としてさまざまな子どもたちや保護者と関わる。現場での長年の経験を基に、教員・保護者向けに様々な教育関連情報サイトなどで役立つ情報を発信。現在は教員育成に軸足を移し、平成30年4月から帝京平成大学現代ライフ学部児童学科講師。(財)日本体育協会・スポーツリーダー、WSSA-JAPANスポーツスタッキング指導者。 

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