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ソクたま会議室
2022.01.27
テーマ: ウィズコロナ時代の教育・子育てを考えよう

「コロナ世代」と呼ばれる子どもたちが失った伸びやかさを取り戻したい/フリーアナウンサー・政井マヤ

政井マヤ

政井マヤ

3児の母でもある、フリーアナウンサーの政井マヤさん。外出自粛の期間は家族で協力し合い楽しく過ごしましたが、夫婦ともに表舞台に立つ仕事柄、感染対策に人一倍神経質になった時期も多かったそう。政井さんが抱く母としての思いは、読者の多くが強く共感できるはずです。

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オンライン授業という試みが、子どもたちの新しい“ワクワク”に

緊急事態宣言が発令され学校のオンライン授業が始まるとなった頃、わが家の子どものうち一人は不登校でしたので、少しホッとした気持ちが大きかったのを覚えています。

「オンライン授業であれば、登校できなくても出席できる」ということは、前向きになれる大きなきっかけになったと思います。

不登校中は、学びをいかに続けていくかが大きな課題です。学びの継続という問題が一家庭だけでなくクラス全体、学校全体の問題となったことで、その問題を抱え込まなくて良いという解放されたような安心感がありました。そして、新しい教育の可能性も十分に感じました。

制約と不安のある中で、学校や先生方が子どものために、学びのためにと頑張ってくださったことは子どもたちにも伝わったと思います。画面越しでもクラスメイトに会えて、また先生の声が届くことで、子どもの心がほぐれていくのを感じました。

もちろん、オンライン授業中に通信がたびたび途絶えたり、速度が遅かったり、活発な双方向の授業といえるほどではありませんでした。けれど“足りなかった”ことよりも、この状況下で学校・先生・行政といったそれぞれの立場の大人たちが子どもたちの学びや心を守ろうとしてくれたことは親として本当に感謝しています。

子どもにとってもオンライン授業という新しい試み、新しい学校のスタイルにより“ワクワク”する部分が見出されたことは大きな救いだったのではないでしょうか。

また、不測の事態にどう対処しようとしたかという大人の姿勢が、子どもたちの目に焼き付いていることなのかもしれません。

それでも、家族全員で自宅にいることが多くなり、長い休暇のように楽しく過ごせた時間はとても貴重なものでした。「学校に行かねば」というプレッシャーから離れて家族で過ごす密な時間は、特に不登校中だった子どもにとっては気持ちがラクになる期間だったようにも思います。また、こんな時だからこそ「気持ちを明るく楽しもう」と協力したことも良い経験だったと思います。

コロナ禍だからこそ家族との“密”な時間を楽しめた! けれど…

わが家でブームになったのが、テーブルゲーム。「ウボンゴ」「海底探検」「トリックと怪人」が親子ともにお気に入りで、何度も何度もみんなで遊びました。YouTubeで学びながら、長男とは囲碁にも挑戦。新しいチャレンジとして夫は三線、長女はフォークギターも始めました。

また、縁あって昨年、猫を迎えました。家族全員の癒しの存在であり、鬱々とした気持ちを助けてくれた存在。また、動物は人間と違って言葉を介さないのでよく観察して思いやることが大切になります。小さな新しい家族を迎えたことは、子どもたちにとっても大切な経験になったと思います。

ウイルスと世間体。気にしているのはどっち?

気になったのは登校、対面授業が再開してからの長期にわたる徹底したコロナ対策です。学ぶ場と健康を守るためだったとは思いますが、感染者が少なくなっていたときなども変わらない最大の制約があり、先生も子どもたちも疲弊した部分あったのではないでしょうか。

子どもの“伸びやかさ”をどのように守るべきかということは、本当に難しい課題です。特に低学年では、表情が見えないマスクでの授業・交流では弊害があったのではと心配する気持ちもあります。マスクでの体育や教室での黙食などはどこまで(どの時期まで)必要だったのか。また感染が一桁と少なくなっても学校で同じレベルの対策を取り続けてしまうところも、大人たちが思考停止になっていないかと思うところでした。

ゼロリスクを徹底するだけではなく、子どもの発達や心への影響に重きを置いたバランスはなかったのか…今後のためにも検証が必要な点だとは思います。もちろん安全と安心の尺度は人それぞれで、全ての児童・生徒、保護者が納得する答えがないのも実情でしたし、ウイルスの経過が不明な中での対策は本当に大変だったとも思います。

ただ、危機管理を徹底するがために子どもの伸びやかさを過度に犠牲にしてしまったこと―これは学校でもそうですし、私自身の家庭での反省点でもあります。

わが家も外で子どもたちを遊ばせて注意を受けたり、マンションで騒音問題が持ち上がったりということが続き「人に迷惑をかけまい」「非難されるようなことはしまい」ということが目的化し、ウイルスへの対処より世間体を気にしての行動制限になっていた部分も否めません。

日本人の一番のストレスは、感染者を責める風潮だったかもしれない

この2年間さまざまな制約があった中でも「家族で楽しもう!」というスタンスを持ち、協力しながら頑張れたと思います。けれど一方で、私も夫も芸能界にいるという仕事柄、仕事がリモートになりづらく、仕事自体が減ったり対面での仕事を考えてのリスク、また感染したときの報道などを考えると気が気ではありませんでした。

“感染者が責められるべきではない”ということは誰もが認識していながら、さかのぼってそれまでの行動が適切だったのか答え合わせをされたり、子どもが学校でどのように言われるか、ご近所にはどう受け止められるか…そんな不安から気持ちが病みそうになったりすることは何度かありました。

こういった周囲との関係でストレスに感じる部分は、もしかしたら日本で特に強かったのではないかと思います。みんながマスクを着用したり協力的に過ごせたりといった長所がある反面、感染してしまった人の落ち度を責める風潮、感染者が周囲に謝ってしまうような空気は日本の良くないところだったと思います。

とはいえ、それに“受けて立つ”とは思えず、恐れてしまった私自身、ずいぶんと日本的なのですが…。

子どもたちが大声で笑い、無邪気に走り回れるように

まだまだ続く新型コロナウイルスとの闘い。この2年も大変な試練でしたが、非日常であるからこそ見えてきたことが多々あったように思います。その中で、新しい試みや制度といったプラスの面もありました。

一方で、失ってしまったことも多いと思います。特に、若い世代や子どもたちがこの間に失ったものは多いと痛感します。

無邪気な触れ合いや大声で笑うこと、楽しく給食を食べること、ほほ笑み合うこと。
自由な時間や行動、行事や修学旅行、留学。
不要不急の一言で排除されてしまったこと。

命を守るため、医療を守るため、社会の経済活動のために、子どもたちが子どもらしく過ごせる時間や遊び、さまざまな教育の機会を奪ってしまうことになりました。その事実から目をそらさず、今からでも子どもたちらしい時間や機会を作れるように、伸びやかさを戻せるように、私たち大人が考えていく必要があると思います。

潜在的なものも含めストレスを大いに受けた子どもたちのケアにも心を留めていきたいと思います。

政井マヤ

政井マヤ

1976年メキシコ生まれ神戸育ち。2000年にフジテレビに入社、アナウンサーとしてニュース番組やバラエティ番組などを担当。2007年にフジテレビを退社後、フリーアナウンサーに。2014年には「日メキシコ国交400年親善大使」に任命。Eテレ「高校講座・世界史」にレギュラー出演中。 政井マヤオフィシャルサイト http://mayamasai.com/  政井マヤInstagram @masai_maya_official

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