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ソクたま会議室
2021.06.15
テーマ: いい先生ってどんな先生?

子どもたち一人ひとりをしっかり見てあげて、勉強する意味を納得させる。それが先生の使命

小島よしお

小島よしお

早稲田大学教育学部卒業の経歴を生かし、YouTubeで「おっぱっぴー小学校」を開校したお笑い芸人の小島よしおさん。タレント活動の傍ら、「よしお先生」として子どもたちに勉強を教える学習動画を提供しています。教壇に立つ経験には、小島さんが描く「いい先生」への思いが込められていました。

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先生が“見てくれている”のは、子どもにとってすごくうれしいこと!

海パン1枚で「そんなの関係ねぇ!」とキレッキレに踊るギャグで、子どもたちの心をわしづかみにした小島よしおさん。ブレイクから約15年経った現在は、登録者数約10万人のYouTubeチャンネル「おっぱっぴー小学校」で小学生向けの授業を行うYouTuberとしても活躍しています。

「いい先生」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、小学6年のときの担任・沼倉先生。優しいけれど指導に関しては厳しい、メリハリのある先生。“模範的な先生”でしたが、生徒一人ひとりをよく見てくれていると感じていました。 

先生は手書きの学級通信を作成してくれていましたがある時、僕が学校でやったドッキリ的ないたずらをイラストをつけて紹介してくれたことがあったんです。どうしようもないいたずらだったんですが「僕のことを見ていてくれたんだ!」ってうれしくて、今でも印象に残っています。手書きのイラストやプリントも、頭に情報が入ってきやすいですよね。 

もう一つ印象に残っているのが「月光仮面」。沼倉先生は普段は落ち着いた物静かな人なのですが、何かイベントがあると「月光仮面」を演じてくれるんです。クラスみんなの前でヒーローショーさながらに歌い踊る沼倉先生。そのギャップが僕にとっては衝撃的で。「うわー! 先生、目立ってカッコいい!」「僕もやりたい!」ってまぶしく思って見ていました。本当に、大好きな先生でしたね。 

そういう小学校時代の沼倉先生との出会いがあって、早稲田大学の教育学部を目指しました!…というと、それがお恥ずかしながら違うんです(笑)。 僕が「おっぱっぴー小学校」で目指す、「いい先生」像にはなっているかもしれません。

目立ちたい一心で大学進学~「おっぱっぴー小学校」開校まで

僕は、小さい頃から目立つことがとにかく大好きでした。委員長とか生徒会長とか応援団長とか、とにかく目立つことは何でも立候補してやるタイプ。合唱の指揮者になったときは、“僕が変顔をするせいでみんなが笑って合唱にならない”という理由で即クビになりましたが…。  

早稲田大学に進学した動機も「目立ちたい」「みんなにおおっ!と言わせたい」という、そんな程度のことでした。僕が通っていた高校は進学校ではありましたが、早稲田大学への合格者は少数。だから「早稲田大学を目指す」と僕が言ったときは、周りのみんなから「絶対に無理」と否定されました。でも、そう言われると燃えちゃう性質なんですよ。 

なぜ早稲田大学だったのかといえば、自分の父親の出身大学だったから。高校3年の夏までは野球部で野球に打ち込んでいて全く勉強しておらず、大学に行くかどうか自体も迷っていたんです。タレントの養成所に入ろうかなって。でも母親が「タレントの養成所もお金がかかるし、それならば絶対に大学に行ってほしい」と言うので、法政大学の法学部を受験しました。当時、弁護士のドラマが放送されていて「法律格好いい!」って思ったからなんですけど。もちろん、不合格で浪人することになりました。 

浪人時代は予備校の自習室だけを借りるようなかたちで、早稲田大学の赤本を何度も何度も繰り返し解きました。何度も解いていると答えを覚えてしまって当然、点数は上がっていくわけです。5回目で100点満点になった科目もありました。それを謎の自信に変えてひたすら勉強し、教育学部・社会科学部・商学部の3学部を受験。めでたく受かったのが、教育学部だったというわけです。 

早稲田大学入学後に出会った先輩(かもめんたるさん)に誘われて、お笑いサークル「WAGE」に入会。在学中はサークル活動に没頭し、教職課程も取得できず一時は大学を中退しようかとも思っていました。けれど「大学は卒業した方がいい」という母親や周りのアドバイスを聞いて、何とか卒業。

教職課程は取得できませんでしたが、この経歴が「おっぱっぴー小学校」開校のきっかけを作ってくれたことは確かです。

楽しく勉強することで、子どもたちの“やらされてる感”をなくしたい

「おっぱっぴー小学校」は新型コロナウイルス感染拡大による休校措置が取られた時、ステイホームで日本の子どもの学力低下を憂えた放送作家さんたちのアイデアから始まったプロジェクト。「算数の小5の壁」を打ち壊したいということで、小5の算数の動画からスタートしました。 

僕はテレビ出演と並行して、これまでずっと子ども向けのライブを行ってきていました。一緒に歌を歌ったり、ヒーローショーをやったり。一方的に僕が何かをやってみせるのではなくて、子どもに参加してもらって一緒に作り上げるライブです。動画制作では、会場の子どもを巻き込んで盛り上げてきた経験が生きています。 

勉強が嫌いだという子や、勉強をする意味自体が分からない子もいると思うんです。そんな子どもたちが飽きないように、どうやったら最後まで面白く視聴することができるのか? 伝えたいことを伝えられるのか?  それが「おっぱっぴー小学校」のコンセプトです。

例えば、背中に円周率を書いておいて「背中に書いてあるじゃん!」って画面の向こうの子どもたちが突っ込みを入れられるようにしておくとか。シンプルにおばちゃんの格好をしてみるとか。ビジュアルや動きで、音声がなくても「何か面白いことをやっている!」と期待させる仕掛けを盛り込んでいます。 

算数の動画からスタートしたのはもう一つ理由があって、算数は他の教科と違って普遍的なものだと考えていたからです。時代が変わっても、算数は変わることがありませんよね。 

僕は小学生時代、公文に通っていて算数は得意でした。僕の小学校は、計算プリントが早く終わった子から校庭に遊びに行って良かったんですよ。だから、教室で誰よりも早くプリントを終わらせて、誰よりも早く校庭に遊びに行く。ここでも、「目立ちたい」精神発揮です(笑)。

けれど「おっぱっぴー小学校」で教える立場になってみて、当時の自分は機械的に覚えていただけなんだなと痛感しています。だから、子どもたちに算数の概念を教えつつ、一緒に学び直している感覚があります。 

例えば「約数」なんて社会に出てからいつ使う知識なの?って思うかもしれないけれど、“ケンカしない数が約数”なんだなって思うんです。チョコレートが8個あって、ケンカをしないで平等に分けるには…? そんな時に使うのが「約数」なんですよね。身近なものを使うことで、算数を“実感”してもらいたい。勉強する意味に納得感を抱いてほしいんです。 

子どもを育てるのは先生や親だけじゃない!

「おっぱっぴー小学校」を配信するようになってから、保護者や子どもたちからさまざまな声が届きました。「勉強が分かるようになった」「休校中に助かった」とか。「お母さんが教えると子どもとケンカになっちゃうけど、動画を見て楽しく過ごせるようになった」という声もありましたし、中には発達障害を持つ子が動画のリズムを気に入って集中して見てくれるという声もありました。実際に役立っている話を聞けるのはうれしいですね。 

実は、スタート当初は裸に海パンのスタイルで授業をしていたんです。けれどある時、「動画はぜひ子どもに見せたいのだけれど、あなたの乳首は見せたくありません」という声をいただいて…(笑)。それはもう、その通りだと思ってすぐにTシャツを着ました。上着は着ていますが、下は海パンなんですけどね。 

僕の子ども時代と比べて、今の子どもたちはすごく大事にされていると思います。「おっぱっぴー小学校」のような動画をはじめ、いろいろな教育コンテンツがありますよね。僕もいろんな習い事をやらせてもらった方ではありますが、基本的に子どもがやることはほったらかしだったようにも思います。 

子どもたちの教育環境が整っているというのは、先生やお母さん・お父さんをはじめとする大人の努力ゆえのたまものだとも思います。その分、時間や手間のかかることは多いでしょうし、大変なことも多いのではないでしょうか。先生も親も、本当にがんばっていてすごいなと感じます。

一方で、今の時代は子ども同士の関係が希薄というか、学力だけではなく人間的な部分のケアをする必要があると思うこともあります。例えば、SNSでの誹謗中傷であったり、社会的な不寛容さであったり…。スウェーデンの学校ではSNSを学ぶ授業があるようですが、根っこが固まっていない子どものうちに考え方や表現方法などを学ぶ機会がもっと増えれば良いのではないかと思います。 

今は算数をメインに授業動画を配信している「おっぱっぴー小学校」ですが、今後は世界の偉人伝であったり哲学的なものであったり、子どもたちの心の教育になるようなコンテンツも配信していきたいですね。子どもは先生や親だけではなく、みんなで育てていくものだと思うので。自分一人ではなく、いろんな人と支え合って生きていく土壌があるといいなあ。その土壌に根っこを下ろした子どもたちに水やりをする。「おっぱっぴー小学校」が、そんな存在になっていくといいなと思っています。 

<取材・執筆 小田マリエ>

小島よしお

小島よしお

お笑い芸人。1980年生まれの、沖縄県出身。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。2001年より同大学在学中の5人によるコントグループ「WAGE」のメンバーとして活躍。2007年より、ピン芸人として活動を開始する。2020年からスタートしたYouTube動画「おっぱっぴー小学校」では小学生向けの学習コンテンツを配信、多くの保護者や小学生に人気となっている。20201年には『おっぱっぴー小学校 算数ドリル』(KADOKAWA KADOKAWA)を発売。 【小島よしおのおっぱっぴー小学校】https://www.youtube.com/channel/UC-46-Tim9-pbw6BfG6bBnmA

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