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ソクたま会議室
2021.05.21
テーマ: いい先生ってどんな先生?

“いい先生”との出会いが、大人になった今も私に気づきといい影響を与えてくれる/芸人・横澤夏子

横澤夏子

明るくやわらかな笑顔から繰り出される少し毒の効いたものまねの数々。鋭い観察眼が魅力のお芸人・横澤夏子さんは、先生になるのが夢だったそう。よしもともプロデュースとして関わっている知育・教育アプリ「ラフ&ピース マザー」で講師を務め、一児の母親でもある彼女が考える”いい先生”とは?

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先生に強烈に憧れた子ども時代

お笑い芸人を目指すまで、ずっと「自分は先生になるんだ」と思っていました。今思えば、両親が学校の先生だったこともあって、「先生」以外に具体的なイメージが湧く職業がなかったのかもしれません。とにかく先生と言うものに強い関心を抱いていました。

例えば、学校にいる間はずっと先生を観察していたし、家にいるときも「先生、今頃は何をやっているのかな?」と想像しているような子どもでした。

先生の自宅の様子が知りたければ、自分の親をみればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、私の両親はわりと家庭でも”先生のまま”という部分が大きかったんです。

だからこそ、余計に「私の学校の先生はどうなのだろう?」「本当はどんな人なのだろう?」という興味でいっぱいでした。先生が私たちに何か話をすれば、「あの発言の真意は何だったんだろう」と考え、答え合わせをしたいという具合で先生に夢中でした。

そこまで先生に憧れていた私が、夢を芸人にシフトチェンジしたのは高校のときです。タカアンドトシさんが1万人のお客さんの前でステージに立っているのを見て、「先生になって出会える生徒の数よりも、お笑いをやって出会える人の数の方が絶対に多い」と思ったんです。

芸人と先生はかけ離れた存在に思えるかもしれませんが、私はそんなことはないと思います。タカアンドトシさんのお笑いが私の人生を変えたように、誰かの人生に良い影響を与える存在。それが、私の考える”いい先生”だと思います。

面白い先生の話が必ずしも面白い必要はない

自分が出会ってきた先生のことを思い返してみると、やはり記憶に残るのは”面白い先生”です。ただし、”面白い”のは人柄やキャラクターや経験によるものであって、先生がお笑い芸人のように話術が上手で笑いを誘う必要はないと思います。

歴史の先生なのに、いつもインドに旅行に行った時の話ばかりする先生がいたのですが、この旅行の話が残念なくらいに面白くない。ですが、私が今でもこの先生のことをしっかり覚えているのは、先生自身が前のめりになって話していたからだと思います。先生の人生経験を知ることで、人物そのものが”面白い(魅力的)”と思えたんですね。

そんな風に今でも残っている先生たちの話は、当時だけで完結していないんですよね。例えば、学生当時は全く分からなかったけれど、大人になってから「先生が言いたかったのは、こういうことだったんだ!」と分かる瞬間ってありませんか? そのときに改めて、先生に大切なことを教えてもらえたような気持ちになってワクワクします。今、直接先生に何かを教えてもらっているわけではないですが、”いい先生”たちの思い出はこれからもいろいろなことを私に教えてくれるのだと思います。

嫌な先生や出来事は客観視して話のタネにする

ただ、世の中には嫌な先生もいますよね。私の娘もいつか出会ってしまうかもしれません。

ですが、私は人生において出会いや気付きは大事なことだと考えていて、嫌な先生に出会っても、それをトラウマにするのではなく、自分の人生経験として役立てることができればいいと思っています。

例えば、嫌な先生をキャラクター化して、自分の中の「人図鑑」の中に加えていく。「こういうタイプは一歩引いてお付き合いしよう」など、その人に対してオリジナルの「取扱説明書」を作っていくのはどうでしょう。

そう考えるのは、通っていた小学校が「新聞作り」の授業が多くて、子どもの頃から「今日の夏子新聞」を自分の頭の中で作っていたことが下地としてあるのかもしれません。

「今日のトップニュースは…夏子、ハチに刺される」みたいな感じで、良いことも悪いことも見出しを付けてニュース仕立てで一日の出来事を捉え直していました。

あとは、ちびまる子ちゃんのナレーションみたいに「うまくいかなかったなあとションボリする夏子であった」とか、自分で勝手にナレーションを付けて楽しんじゃう。こんな風に客観視することで、悪い思い出も大人になった時に笑って話せる「お酒のつまみ(話のタネ)」になるんじゃないかな。

教える立場に立ってみて感じたこと

2021年3月、私が所属するよしもとが参画する、知育・教育アプリ「ラフ&ピース マザー」がオープンしました。

実は、よしもとと教育の関わりは古く、戦前の1939年に漫才を教える教室を開いたことから始まっているそうです。以来、今日のNSCに至るまで、学校教育からはみ出した子どもたちに対して笑いを通して「生きる力」を育む取り組みをしてきました。

私自身は「ラフ&ピース マザー」で、オープン記念体験イベントで色の分解実験講座のアシスタントを担当しました。色ペンとコーヒーフィルターという家にある材料だけで手軽に出来る実験なのですが、同じ黒色のペンでも含まれている色の成分は違うんですね。「オレンジが入っていた!」とか、2~30人のお子さんとリモートでつないでワイワイ楽しい時間になりました。

今、学校教育もオンライン授業が話題になっていますが、オンライン授業は対面授業と違って空気感をつかみにくいところが難しいですね。

自分から積極的にアピールして「コレ見て!」とアピールしてくれる子もいれば、職人気質で黙々と作業を進めるのが好きな子もいます。それぞれのペースが違い、話しかけてほしいのか、集中させてほしいのか、ちょっとの動作で気づくように目配りしていましたが、学校の先生もオンライン授業は大変なのかなと思いました。

教育の形は時代によって変わっていくかもしれませんが、教育の場に先生は必ずいます。私も1歳の娘を持つ母親になりました。これから“いい先生”たちと出会っていき、さまざまな影響を受けていってほしいと思います。

<取材・執筆>小田マリエ

                                    

「ラフ&ピース マザー」とは

2021年3月にオープンした「遊びと学び」のコンテンツを配信する新たな知育・教育アプリ。よしもとの人気お笑い芸人や子どもたちに大人気な話題の動画クリエイターによるムービーをはじめ、算数や国語、プログラミング等のゲームアプリ、さらに、有識者、スポーツ選手、タレント、お笑い芸人らが講師を務めるオンライン教室まで、楽しく学べるコンテンツが満載です。

よしもとが培ってきた精神を柱に子どもが夢中になって自ら学べる多彩なコンテンツを配信。生活や体育、コミュニケーションなど身近な事象に着目した「明日すぐ学校で実践できるネタ」は、特に人気を集めています。

「チョコレートプラネットさんが出演する”さかあがり”が出来るようになる動画は『え?逆上がりってこんなに簡単に出来るようになるの?』と新しい気付きがあったり、工作を知り尽くしたプロが遠くまで飛んだり、長く飛んだりする紙飛行機の作り方を伝授し、友達との遊びをグレードアップする動画など、お子さんに安心して任せて見せることが出来るお役立ちコンテンツがいっぱいです。

新型コロナウイルスの影響で外出しづらいこともあって、家の中で出来る習い事や講座への期待は大きいと思うんです。オンラインで楽しめる『ラフ&ピース マザー』のコンテンツも家での学びにぜひ役立ててほしいですね」(横澤さん)

ラフ&ピースマザー

横澤夏子

1990年7月20日、新潟県出身。吉本興業所属。高校卒業後、NSC東京校に第15期生として入学し、2016年には「R-1ぐらんぷり」で決勝進出。現在、芸人活動のほかにもドラマやCM、情報番組にも出演している。2020年にはチャイルドマインダーの資格を取得。

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