ソクたま会議室
2020.05.18
テーマ: 学校ってなんだろう

学校は子どもたちの居場所。社会性は触れ合いから得られる/公認心理士・佐藤めぐみ

佐藤めぐみ

佐藤めぐみ

子育て心理学で母親のサポート活動を行う、公認心理師の佐藤めぐみさん。ソクたまでは連載「親子の悩み相談室」を担当し、温かく寄り添うアドバイスが好評です。母親たちの生の声を聞いてきた佐藤さんは、“学校”をどのように考えるのでしょうか。

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「学校に行く」という結果だけにとらわれてはいけない

「学校ってなんだろう?」というテーマからまず思ったのが、不登校もしくは行き渋りを感じている子どもたちのことでした。

 

個人的には、社会で生きるスキルを得られる学校は“行くべき場所”だと思っていますが、それを課すことで子どもが追い込まれることもあるので、難しい問題ではあります。不登校という現象に至ったきっかけはさまざまなので、学校に行くことだけを強く求めてしまうと逃げ場がなくなってしまうことがあるのです。

 

「子どもが学校に行きたがらない」という相談は今までにもたくさん受けてきました。私たち心理師ができるアプローチは「なぜ学校に行くのか」を答えることではなく、「どうして学校に行きたくないのか」という背景を探ることから始めます。

 

文部科学省の「『不登校に関する実態調査』 平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」でも、不登校のきっかけはさまざまだということを明らかにしていて、今も昔もきっかけとなるものはあまり変わりません。

 

友人との関係(嫌がらせ、いじめ、けんかなど)

勉強が分からない(授業がつまらない、成績が悪い、テストが嫌など)

先生との関係(先生が怒る、注意がうるさい、体罰など)

 

一方で、昔はなかった生活リズムの乱れ(朝、起きられないなど)、インターネット、メール、ゲームなどの影響も指摘されていて、学校に行かない理由も多岐に及んでいるのが現代の実情だと思います。

 

平成28年度の文部科学省の調査「不登校児童生徒への支援の在り方について」では、「支援の視点」として以下の内容が掲げられています。

 

 

 

不登校児童生徒への支援の在り方について(平成28年文部科学省)より引用

不登校児童生徒への支援は、「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があること。また、児童生徒によっては、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること」

 

ゲームのやり過ぎで朝が起きられずに学校にいけない子と、友達にいじめられて学校に行けない子とでは当然ながら対応策は違ってきます。学校に行くことは非常に大切だと私も考えていますが、学校に行くという結果だけにとらわれてしまうと、苦しんでいる子どもたちを追い込むことにもなりかねないので、臨機応変な対応が望まれると感じています。

 

 

学校は社会性の基礎を体得する場所

今回の新型コロナ騒動をきっかけに改めて感じたのは、“学校は勉強だけをする場所ではない”ということ。子どもたちにとって、学校は1日のうち多くを過ごす場所なので、“社会”としての機能が大きいのです。

 

今、世界中の子どもたちが「友達に会いたい」と思っているように、自分の居場所であり属する社会です。勉強はネットを介して受講することもできますが、手をつないで遊んだり息遣いを感じながらかけっこしたりというのは、その場にいないと体感できないものです。

 

“社会”としての学校、その中で日々、他者と関わり合い会得するものは非常に大きいと感じます。一緒に喜んだり、悲しんだり、競ったり、励ましたり、我慢したり、自己主張したり…。こういった経験は対人あってのことであり、机で得られる知識ではありません。学校で得た社会性は、会社に勤め出した時の対人スキル、結婚した時の夫婦関係、親になった時の子どもとの向き合い方などにもつながっていくと考えられます。

 

そして今後、何十年経っても、いくら世の中が便利になっても“学校”という場所は存続してほしいと思っています。特に、義務教育時代は子どもたち同士や先生との触れ合いで得る社会勉強こそが大切なのではないでしょうか。

 

 

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佐藤めぐみ

公認心理師、オランダ心理学会認定心理士。欧米の大学・大学院で心理学を学び、「ポジティブ育児メソッド」を考案。現在は公認心理師として、育児相談室・ポジカフェでの心理カウンセリング、ポジティブ育児研究所での子育て心理学講座、メディアや企業への執筆活動などを通じ、ママをサポートする活動を行う。ドイツ在住。中学生の娘の母親として子育てにも奮闘中。

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