ソクたま会議室
2020.05.19
テーマ: 学校ってなんだろう

学校は社会性・勤勉性を培い、人間関係を築き心を育む場所

荒木信雄

荒木信雄

フリースクールカウンセラーの荒木信雄さんは、昔と比べると支援を行う子どもの性質に変化が見られ、彼らから学校の影響を感じにくくなっているそう。子どもたちの人間関係の希薄さに危機感を抱く荒木さんは、学校の役割をどう捉えているのでしょうか。

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私はフリースクールカウンセラーとして、不登校や引きこもり、非行の子どもの社会復帰支援に10年以上携わってきました。その中で問題を抱える子どもの性質や意識が大きく変わっていると感じています。

 

昔はいわゆる不良やヤンキーといった、仲間とつるんで反社会的行動などの問題を起こす子どもたちがよく相談にやってきました。悪さをしながらも彼らは彼らなりに仲間や上下関係といった、人との関係を大切にする側面があり、学校での教えや集団意識がベースにあったと思います。

 

しかし最近では引きこもりや家庭内暴力といった、家庭の中でを抱える子どもの方が圧倒的に多くなっており、体感では相談に来る30人に29人は現在引きこもりとなっている子どもです。

 

そんな最近の子どもたちは個人意識が強く、相手の気持ちを思いやる想像力や倫理観の欠如が大きく目立つようになりました。個人がいくらでもネット上で動けるようになった今、彼らの人間関係は希薄化し、昔ヤンキーの子から感じていたような学校の影響を感じられることが少なくなったように思います。

 

今まで当たり前のように通っていた学校の意味を、みんなで今一度考え直す必要があるのかもしれません。私が考えるに、学校は以下のような役割をもつ場所だと思っています。

 

  1. 社会性を育む場所
  2. 勤勉性を培う場所
  3. 人間関係を築き、心を育む場所

 

 

社会性を育む場所

まず学校は“社会性を育む”場所であること。みなさんも学校で、こんな“当たり前”を習ったことと思います。

 

  • 人を傷つけない
  • ルールを守る
  • 罪を犯さない
  • 嘘をつかない
  • わがままを言わない

 

こうした学校で習う“当たり前”は、同時に社会の良識でもあります。ある意味、学校は社会に出る前のトレーニングの場所とも言えるかもしれません。

 

学校で培う社会性が積み重ねられることで、より社会基準で物事を考え判断できるように子どもたちは成長します。

 

 

勤勉性を培う場所

また学校は“勤勉性を培う”場所でもあります。

 

私たちは下図のように、5段階の発達課題を一つひとつ達成しながら、自立した大人へと成長します。

 

提供:キャリア形成支援ルーム アットノーム

 

発達課題は大まかに分けると下から1段目から3段目は家庭で、4・5段目は学校や地域社会で身につけられます。

 

小・中学生は主に“勤勉性”を身につけることが発達課題とされています。勤勉性とは、決められたルールに従い、何かを継続的に繰り返し行う力のことを指します。

 

決められた時間割の通りに学習を進める、宿題の提出期限を守る、テストで好成績を取るためにコツコツ勉強する、といった学校生活を送ることで勤勉性は育まれていくのです。

 

こうした勤勉性の上に勤労が成り立っており、学校生活は職業人生や社会生活の基盤を作っているともいえます。

 

 

人間関係を築き、心を育む場所

学校は友人・先輩・後輩・先生という多様な人間と関わり、心を育む場所でもあります。人は食べ物を食べると体が大きくなりますが、心は良い人間関係を育むことで成長します

 

幅広い友達とたくさん遊び、共同作業をする中で多様な価値観を学びます。ルールから逸脱したり、迷惑をかけて先生に叱られることもあるでしょう。かけがえのない親友との繋がりや、ほろ苦い片思い、後輩の面倒をみるなどの多様な人間関係を経て人は磨かれていきます。

 

例えるなら、心という石を人間関係というヤスリで研磨し加熱して磨き上げるようなもの。

 

家庭では築けない人間関係を築き、心を育む場所が学校であり、それが“親が教えられること”と“学校でしか学べないこと”の範囲の違いでもあります。

 

 

フリースクールで子どもたちと関わっていると、特に“人間関係を築き、心を育む場所”である学校の役割が低下していると感じています。

 

今は現実世界で友達を作らない、あるいは作ってもケンカをすればすぐ別の友達をオンライン上で見つけ、ケンカした友達と仲直りをせずにそのままやり過ごす子がどんどん増えています。

 

オンライン化が進んでも、生身の人間との出会いや衝突を通して一回りも二回りも成長する、人間の本質は変わりません。

 

人間関係が弱まっている現代社会だからこそ、子どもに“人と関わり合う喜び”を教えることが、学校をはじめ、フリースクールなどにはより求められているのではないかと感じます。

 

<荒木さんの書籍>

 

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荒木信雄

荒木信雄

キャリア形成支援ルーム アットノーム 代表 国家資格キャリアコンサルタントを有した心理カウンセラー として、フリースクールでひきこもり、ニート、非行、不登校、家族問題への就労・自立・心的・学業復帰支援活動を行う。企業へのカウンセリングサービスも提供。著書『エンプティーママと子どもを幸せにする小さな魔法』『傾聴メッセージ 人たらしカウンセラーがこっそり教える心の扉をひらく鍵』 Twitter @c_norm21

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