学校が自分の可能性を引き出し、人生の選択肢を広げてくれる/昆虫ハンター・牧田習
牧田 習
ソクたまでは、連載「好きが仕事になりました」を担当する昆虫ハンターの牧田習さん。4月から東京大学大学院に入学し、5歳の頃から大好きだった昆虫をより専門的に研究しています。「学校が嫌いだった」と話す牧田さんは、学校という場をどのように考えているのでしょうか。
子どもが抱く“学校”への疑問をスルーしないで
僕は、小学校が嫌いでした。集団行動が苦手で人との距離感が分からないため、友達もいませんでした。
今でも、チーム作業や他人とのコミュニケーションは苦手です。これは、小学校時代に誰とも話さなかった、コミュニケーション力を培う経験が極端に少なかったからだと思っています。
授業に対しては「分かっているのにな」「この勉強、将来必要ないかも」と、いつも退屈に感じていましたね。音楽会や運動会といった行事も、興味がないのに参加しなければならないのが苦痛で…。「これは何のためにやっているんだろう?」と疑問でした。
けれど、大人に学校へ行く意味を聞いても誰も答えてはくれませんでした。“義務教育だから卒業しないとダメだ”という定義のようなものを押し付けるだけで、“なぜ学校を卒業しなければならないのか”を教えてくれる人がいなかったんです。
だからこそ僕が強く思うのは、もし「学校に行きたくない」と悩んでいる子どもがいるのなら大人はその理由をちゃんと聞いてあげるべきだということ。周りの人間が自分の話を聞いてくれないというのは、子どもにとってはとてもしんどいことです。学校に行かせることがゴールなのではなく、行きたくない理由を解決することが大事だと思います。
将来の選択肢の幅を広げてくれるのが学校だと思う
そんな学校に後ろ向きだった僕ですが、23歳になったいま感じていることがあります。
学校での学びは、自分の可能性を発見するきっかけになるということ。将来の目標が明確にあるのであれば、究極はそれに向かって必要な学びを取捨選択していくだけでもいいと思っています。でも将来、何をしたいか分からないという人こそ選択肢はたくさんあった方がいいんじゃないかな。
僕自身も、中学・高校では将来に向けてアクションを起こさなければならない時期だと思っていたので学校の授業にしっかり取り組みました。温度感の同じ友人ができたので、学校そのものに対するネガティブな気持ちがなくなっていたというのもありますが…。
成功をつかむためには運や才能が影響する部分もあると思いますが、勉強は誰でも結果を出せる可能性の高いものなのではないでしょうか。そういった意味では、学校はコストパフォーマンスの良い学びの場、将来の選択肢を広げることのできる場だと思っています。
小学校時代の気持ちを引きずったまま中学・高校でも学校が嫌いだったら、ただの虫好きに留まっていたかもしれません。僕が昆虫ハンターとしてタレント活動ができていること、大学や大学院に進学して研究ができていることはやはり学校で勉強した結果、成果だと思っています。
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昆虫ハンター。1996年、兵庫県宝塚市生まれ。オスカープロモーション所属。2015年北海道大学 総合教育部入学後、理学部に転部。特技は三線、小学5年生時に取得したダイビングのライセンス資格を所持。現在、昆虫ハンターとして「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)水曜レギュラー出演の他、「3度の飯より昆虫が好き」(WEBザテレビジョン)にて現在連載中! その他、 テレビやラジオなど各メディアでも活躍中。2020年4月から東京大学大学院に在学中。