学校へ行かなくても「学ぶこと」を絶対にやめちゃいけない/臨床心理士・村中直人
村中 直人
発達障害・不登校など特別なニーズのある子どもたちの支援のプロである臨床心理士の村中直人さん。学校では落ちこぼれとみなされてしまった子どもたちが、その子なりの特性や学び方を知ることで、自信を持って社会に羽ばたいていく姿をたくさん見届けてきたそうです。そんな村中さんにとって「学校」とはなんでしょうか?
私は実は「絶対に学校に行かなくてはいけない」とは思っていません。だから学校に“行かない・行けない”こと自体は、何も悪いことじゃないと考えています。
そして私は学校に行くことよりも自分で学べる人になることのほうが、これからの時代を生きる子どもたちにとってとても大切だと思っています。
だから、学校に行かなくても学ぶということ自体は絶対にやめちゃいけない。それが一番伝えたいことです。
けれども、学ぶということを考えると学校に行ったほうが有利なことも実はたくさんあります。
だから学校に行くことで何かつらかったり、苦しかったりすることがないのなら学校に行くという選択も実は「あり」なんです。
なぜ必要か?
学校というシステムは100年以上前に生み出された、みんなが学ぶための大発明だったのです。
そもそも学校が生まれる前は、みんなが「知っていることが全然違う」「出来ることが全然違う」状態でした。
大人の人でも文字が読めない人も、基本的な計算が出来ない人もたくさんいたのです。
そこで最低限これだけは知っておいて、出来るようになって大人になろうねという基準が必要になり、それを学ぶためのカリキュラムが作られ、子どもたちが集まってみんなで学ぶシステムが作られたのです。それが学校です。
学校というシステムなしに、自分の力だけで必要なことを学ぶということは大変なことです。
教えてくれる人がいて、学ぶべき内容を探さなくても提供してもらえるという環境は実はとてもすごいことです。
そう考えるとやっぱり学校は世の中に必要なんです。
ただし、覚えておいてください。
今の学校というシステムは、100年以上前からあんまり変わっていなくて、さすがに古くなって今の時代に合わなくなっています。だからたくさんの人がたちが「これからの新しい学校を作ろう」と頑張っています。
(そうでない大人も残念ながらまだまだたくさんいますが、ここだけの話そういう人の言うことはあんまり聞かなくていいと思っています笑)
だからみんながもし、“今の学校”に違和感や問題点を感じたら、ぜひ「もっとこうしてほしい」「ここが変わって欲しい」と声をあげてください。
これからの時代に必要な新しい学校を作っていく一人にこれを読んでくれたみんながなってくれたらとてもうれしいです。
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臨床心理士、公認心理師 発達障害サポーター'sスクール事業責任者。公的機関での心理相談員やスクールカウンセラーなど主に教育分野で勤務し、発達障害、不登校など特別なニーズのある子どもたち、保護者の支援を行う。 支援を行う中でニーズに対する支援の少なさを実感し、(一社)子ども・青少年育成支援 協会の設立に参画。あすはな先生事業の立ち上げに従事し、 特別なニーズのある子どもたちや保護者への支援を多数行う。現在は同法人の理事として全国に正しい知識を持った理解のある支援者を増やすべく 「発達障害学習支援サポーター」の育成に取り組んでいる。 そだちの科学(日本評論社)にて「ラーニングダイバーシティの夜明け」を連載中。