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2020年の大学入試改革で何が変わる?今後求められる「新しい学力観」とは

2020年に大学入試センター試験が廃止され、新しい大学入試へと切り替わります。これは単純に大学入試だけが変わるという話ではなく、高等学校、中学校、小学校の改革へと連鎖していくことになるでしょう。ここでは、改革の概要と文部科学省が目指す新しい学力観などについて整理していきます。

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大学入試改革の概要

文部科学省が推進する高大接続改革の一環として2020年に大学入試センター試験が廃止され、新しい大学入試へと切り替わります。

これは大学入試だけが変わるという話ではなく、高等学校教育・大学教育・大学入学者選抜の一体的改革の中で行われる改革の一部で、そもそもは、大学教育改革を行う過程の中でディプロマポリシー(学位授与方針)、カリキュラムポリシー(教育課程編成方針)、アドミッションポリシー(入学者受入方針)を明確化する上で派生して議論されてきたものです。

 

要するに、大学で学位を与える基準(ディプロマポリシー)を明確にすると、そこに至るまでのロードマップとなるカリキュラムを明確にする(カリキュラムポリシー)ことが必要になる訳です。そして、その教育課程のロードマップを健全に運用するためには、入学者の受け入れ方針(アドミッションポリシー)を明確にして大学側と生徒側で共通の認識の下、教育活動が遂行できるようにする必要があるということです。

さらに、受入方針が明確になったなら、その方針に合った生徒を選抜するための入学試験を変更する必要がある、という流れの中で大学入試改革が行われているというのが現在の状況です。

 

その先には当然、大学が要請する学力観が変わっていくことにより、高等学校教育の目指す方向性も変化するので、高等学校教育の改革が行われ、それに準じて中学校、小学校の改革へと連鎖していくことになるでしょう。

 

大学入試改革で求められる学力観

なぜ、改革をする必要があるのか、という点から話を進めていくと、

全世界GDPに占める日本の割合の低下が予測され(※1)、日本の人口の推移と生産年齢人口の減少が予測されている(※2)中で、社会が現在の我々が経験したことのない予測不能な変化をしていくと考えられているからです。

そこで文部科学省は「先を見通すことの難しい時代において、生涯を通じて不断に学び、考え、予想外の事態を乗り越えながら、自らの人生を切り拓き、より良い社会づくりに貢献していくことのできる人間を育てることが必要」で、そのためには「我が国に永らく続いた学力観を転換し、成熟社会にふさわしい「真の学ぶ力」を育成・ 評価できるよう、抜本的な意識改革・制度改革を早急に図ることが必要」と定義しています。

そのために、どこから変えれば「抜本的な意識改革・制度改革」ができるのか、と考えたときに、「大学入試が変わらなければ高等学校教育は変わらない」ということから、大学入試の改革と大学教育の改革を行なうということに至った訳です。

 

では、大学入試改革で求められる学力観とは何か、それは社会で自立的に活動していくために必要な「真の学ぶ力」として、以下の3つを学力の3要素として定めています。

①知識・技能の確実な習得(狭義の学力)

②(①を基に)思考力、判断力、表現力

③主体性を持ち、多様な人々と協働し学修する態度(主体性、多様性、協働性)

 

アクティブラーニングが推進される背景

こうした背景を受けて、思考力や表現力を伸ばす教育として、プログラミング教育やアクティブラーニングといった手法を積極的に取り入れる学校が増えてきました。

ただ、一方で大学の教員の方々の声を聞いていると、学生が講義中に寝てしまうなどの状況を改善するには、黙って聞かせているのではなく学生を動かさなければならないという現場の実情が背景にあるのではないか、という話も・・・。

いずれにせよ、学力に与える影響はどうなのか、という検証は先になると思いますが、学生が主体的に学ぶ環境を作るという意味では効果が期待できるのではないか、という期待感もあって日本でも全国的に取り入れようという流れになっています。

 

思考力とプログラミング教育

思考力という面では、論理的思考を育成するためにプログラミング教育も推進されています。

プログラミング教育では、コーディングを習得することが目的ではなく、自分が意図した一連の活動を実現するために、どのような命令を組み合わせ実行していけば良いのかを試行錯誤しながら意図した活動に近づけていくことで、論理的に考える力を育てることが目的とされています。

そしてこれは、コンピューターの働きの理解にもつながります。

情報技術を効果的に活用しながら、論理的・創造的に思考し、自らの問題解決にどのように活用できるかをイメージする力、そしてそれをコンピューターを介して働きかけることができるようになる力、を育てることにつながるのです。

その結果、これから訪れる第4次産業革命とも呼ばれるロボットやAIが発展した社会の中で生きていく上で求められる力を育てることにつながると考えられています。

 

改革で変わる学び方

こうした変化の中で教育のあり方は大きく変わると考えられます。それは、従来の教育では「何を教えるか」が重視されていたのに対して、これからの教育は「どのように学ぶか」を重視するということです。

これまでは黙って黒板を写していれば真面目な生徒、という評価をされていたものが、これからの学習観の中では評価されなくなる、ということでもあります。

 

しかしながら、自ら積極的に参加し行動を起こした、という表面的なアクションだけでなく、その成果として「どのような力が身に付いたか」という指標も重視するようになれば本当の意味で学びの質が変わったということになるのではないでしょうか。

 

※1:2010年5.8%→2030年3.4%→2050年1.9%(英エコノミスト編集部『2050年の世界』2012)

※2:生産年齢人口の推移2010年8,173万人→2060年4,418万人(厚生労働省・国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口」2012)

参考資料:「高大接続改革について」(2016年1月29日)文部科学省・高大接続改革PT

「高大接続改革の動向について」(20171月31日)文部科学省・高大接続改革PT

「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について」(2016年6月16日)文部科学省・小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議

 

「ソクラテスのたまご」編集部

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教育に関する有識者の皆さまと一緒に、子を持つお父さん・お母さんでもある「ソクラテスのたまご」編集部のメンバーが、子どものために大人が知っておきたいさまざまな情報を発信していきます。

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