教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.02.12

【新学習指導要領】2020年より激変! 小学校英語はどうなっていく

2017年の3月に幼稚園・小学校・中学校の新学習指導要領が告示されました。小学校では、これまで5・6年生で行われていた「外国語活動」が3・4年生で行われるようになり、5・6年生では「外国語(英語)科」という教科が新たに始まります。現行の学習指導要領と比べながら今後の小学校における英語教育について詳しく紹介していきます。

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「生きる力」に視点を置いた教育方針の全体像

以前の記事で詳しく書かせていただきましたが、「新学習指導要領」では変化が激しい現代社会で生きていく子どもたちが身に着けていくべき「生きる力」に重きを置いた視点が明確に打ち出されました。

 

改めてまとめると、下記のポイントがあります。

 

書き方の枠組み

これまでは「教員が何を教えるか」という観点だったところが、「児童・生徒が学びを通してどのような力をつけ、それをどのように活用するか」を詳細に記述しようとしています。

 

教育の三本の柱に沿った目標と内容

以前から触れられていた、教育によって育むべき「知能・技術」「思考力・判断力・表現力」「学び向かう力・人間性等」を「教育の三本柱」として、全教科でそれらに沿った「目標」と「内容」が書かれています。得た知識を活用するまでを学校で指導し、その体験をもとに自律的に学びを深めて社会に関わっていくという壮大な目標を掲げています。

 

アクティブ・ラーニングの視点

児童・生徒が主体的に考え、周りと意見を交換し、情報を共有しながら学びを深めていくことになります。今後は対話したり、協力したりする力を学ぶことが重視されていくので言語によるコミュニケーションを強化していくこともつながるでしょう。

 

その他の改善事項

新しい指導要領の中で重要視されている項目の中に、グローバル化していく社会への対応、言語能力の育成、外国語教育の充実(小中高一貫した学び、国語教育との連携)などがあり、英語教育に深く関わっていきます。

 

 

3・4年生の「外国語活動」のこれから〜目標編〜

それでは、まずは3・4年生の外国語活動についてみていきましょう。

 

現行版ではかなり抽象的に書かれていた学習内容が新学習指導要領では具体的になっています。「目標」だけを見比べても、その差は歴然です。

 

〜現行版の指導要領〜

外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う。

 

〜新指導要領〜

外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ、外国語による「聞くこと」「話すこと」の言語活動を通してコミュニケーションを図る素地となる資質・能力を次のとおり育成することを目指します。

 

(1)外国語を通して、言語や文化について体験的に理解を深め、日本語と外国語との音声の違い等に気付くとともに,外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむようにする。

(2)身近で簡単な事柄について、外国語で聞いたり話したりして自分の考えや気持ちなどを伝え合う力の素地を養う。

(3)外国語を通して、言語やその背景にある文化に対する理解を深め、相手に配慮しながら、主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。

 

このように方向性は変わっていないものの、どのような方法でどのような力を育成をしたいのかが具体的になりました。

 

 

3・4年生の「外国語活動」のこれから〜内容編〜

また、指導の内容でも具体的で詳細な指導項目が英語の技能別に記されています。

 

その記され方はいわゆる「CAN-DOリスト形式」と呼ばれており、学習の到達目標を「~することができる」という形で指標化し、英語を使って具体的に何ができるようになったのか、明確化しようというものです。

 

「聞くこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」(「読むこと」「書くこと」は5・6年生から)の三つの領域別に目標設定がされています。 「話すこと(やり取り)」を例にとってみると、以下のように書かれています。

 

「話すこと」の目標設定

[やり取り]の場合

ア 基本的な表現を用いて挨拶、感謝、簡単な指示をしたり、それらに応じたりするようにする。

イ 自分のことや身の回りの物について、動作を交えながら、自分の考えや気持ちなどを、簡単な語句や基本的な表現を用いて伝え合うようにする。

ウ サポートを受けて、自分や相手のこと及び身の回りの物に関する事柄について、簡単な語句や基本的な表現を用いて質問をしたり質問に答えたりするようにする。

 

このように、教科としての英語を学ぶ前に何を学んでおけばいいのかが明確にされました。子どもたちの主体的な学びのために、教員だけでなく子どもたちや保護者とっても英語学習の指標に活用してみてはいかがでしょうか。

 

 

5・6年生の「外国語(英語)」のこれから

新たな教科となっても、「目標」は3・4年生の方向性がそのまま引き継がれていますが、3,4年生の英語と比べてみると、「聞くこと」「話すこと」に加えて「読むこと」「書くこと」が加わり、「コミュニケーションを図る素地」という言葉が「コミュニケーションを図る基礎」になっています。

 

「素地」から「基礎」にレベルアップされている理由は、中学の英語との連携も図ろうとしているからのようです。「新学習指導要領」では、その後に続く目標部分を見ると次のように書かれています。

 

外国語の音声や文字,語彙,表現,文構造,言語の働きなどについて,日本語と外国語との違いに気付き,これらの知識を理解するとともに,読むこと,書くことに慣れ親しみ,聞くこと,読むこと,話すこと,書くことによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる基礎的な技能を身に付けるようにする。 コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,身近で簡単な事柄について,聞いたり話したりするとともに,音声で十分に慣れ親しんだ外国語の語彙や基本的な表現を推測しながら読んだり,語順を意識しながら書いたりして,自分の考えや気持ちなどを伝え合うことができる基礎的な力を養う。 外国語の背景にある文化に対する理解を深め,他者に配慮しながら,主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。

ー新学習指導要領ー

 

「読むこと」「書くこと」に慣れ親しむことや、実際のコミュニケーションのための基礎的技能を身につけることなど、中学校の学習指導要領(現行版)の項目がスライドされて降りてきたように書かれています。

 

ただし、「教科」としての記述になっているものの小学生向けということで、「ゆっくりはっきりと話されれば」という配慮があり、題材も日常生活に関する身近で簡単なことがらに限定しています。

 

また、「読むこと」に関しては、文字を識別して発音でき、音声で慣れ親しんだ簡単な語句や表現の意味が分かればいいとされています。小学校では、音声に慣れ親しませることを先行させるのが方向性のようです。 勉強としての英語というより「実際のコミュニケーションにおいて活用できる基礎的な技能を身に付けるようにする」ということが今後は大切にされていくと考えてよいでしょう。

 

 

小学校での英語教育にどう向き合っていけばよいか

社会が大きく変化し続けている今、人と人との関わり方も同じく大きく変化してきています。大人が学んだことを基準に「これさえ知っていれば大丈夫」と言えるものもなくなってくることでしょう。 それは、英語教育においても同じです。

 

外国語学習を通して学ぶことは、グローバル化が進む社会で人と関わっていくためにますます重要になっていきます。保護者の中には、かつて自分たちが受けてきた教育のせいで英語に苦手意識を持っている方もいるかもしれません。しかし、英語教育はコミュニケーション重視で生きた力を育む方向へ転換されていきます

 

また、教員が学習指導要領から子どもたちの実態を踏まえて教育課程を作り、実践していく(カリキュラム・マネジメント)ことが必要とされて、周りの大人との連携も重要になってきます。大人もともに、外国語でのコミュニケーションに対して積極的な姿勢でともに育んでいけたらいいですね。

 

<参考資料>

光村図書「新しい学習指導要領の方向性」http://www.mitsumura-tosho.co.jp/kyokasho/s_eigo/newcs/index.html

ベネッセ教育情報サイト「英語の「CAN-DOリスト」って? 次期指導要領で再注目」https://benesse.jp/eigo/201606/20160601-1.html

 

進藤夏葉

進藤 夏葉

高校時代に教師を志し、学生時代から学習塾の講師として教育に携わる。大学卒業後は某学習塾に入社し、講師・教室長を勤め、子どもたちや保護者の方と関わる。「子どもも大人してもハッピーでわくわくした社会をつくりたい」という想いで、現在はフリーランスと、ライター・教材制作・ワークショップ企画など、さまざまな面から教育を通して活動中。

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