学習についていくのが難しい……発達障害、認知特性の悩みを解消・軽減する方法

発達障害を持つ子は、五感から入ってきた情報の整理・記憶・理解という「認知特性」が偏っていたり、バランスが悪いことが多いといわれています。それが、学習面でのつまずきにつながることも少なくないそうです。
NPO法人eboardは2023年4月、発達障害や認知の特性による「学びの悩み」と、それらを解消・軽減するICT教材eboardの機能や工夫についてまとめた「学びやすさへの工夫」ページを公開しました。
発達障害児が「学習の悩み」を抱えやすいわけ
子どもの学習の困りごとで多い、「授業についていくのが難しい」という悩み。「勉強が苦手なだけでは?」と思う人もいるかもしれませんが、そうとは限らないようです。
たとえば自閉症スペクトラムがある子の場合、目から入る情報(図や動画など)のほうが理解・処理しやすい「視覚優位」タイプが比較的多いといわれています。
学校の授業では、先生の話を聞いて学ぶ「耳からのインプット」の部分が大きいため、聴覚による情報処理が苦手な場合、授業の内容理解がしづらくなってしまうこともあるのだそう。
また、脳の一時的な記憶情報(ワーキングメモリー)が小さい場合、少し前の授業内容を忘れてしまい、結果として「授業がよくわからない」と感じるケースもあるそうです。

「勉強に集中できない」という悩みも、いわゆる本人の努力不足ではなく、勉強と関係ないものが視野に入るとどうしてもそちらに気を取られてしまい、集中が続かないという特性からそうなってしまっている子も。また、「見るポイント」「聴くポイント」を決めて授業や学習に取り組むことで、集中力が高まる子もいるそうです。
発達障害の子どもが勉強につまずく背景には、生まれ持った特性によるものや複数の理由が混在していることが少なくないようです。「やる気がない」などと決めつけず、我が子の困りごとがなぜ起きているのか知ろうとすることが、対策を考える第一歩になりそうです。
発達障害児の学びにくさを解消・軽減するICT教材
ICT教材「eboard」では、小学生〜高校生までを対象に、数学(算数)や理科・社会などの複数科目の教材が、サイト上で無償提供されています。
映像による授業動画のほか、実際に問題の答えを入力できたりもします。「手書き入力ではなく選択式の回答」「画面効果や効果音は最小限」などの工夫や配慮がなされ、さまざまな子どもの学習面での困りごとに寄り添った教材になっています。

学校の授業が集中しづらい・頭に入りにくい子でも、こういった教材を活用することで学習面のフォローができたり、学びを継続していけそうです。パソコンから取り組めるため、自宅の落ち着いた空間で学べる点もメリットです。
なお、このICT教材は発達障害児のみならず、学校へ通うことが困難な不登校児や、経済的事情などから学びたくても有償の教材を入手することが難しい児童など、子どもの学習の多様な悩みに対応しています。
認知特性の偏りをフォローできる学びを
eboardのようなICT教材や、タブレットによる学習なども取り入れやすくなった現在。「学びの選択肢」が広がったことで、その子に合った勉強方法を見つけやすい時代になりつつあります。
認知特性が原因で勉強に困り感を持つ発達障害の子でも、自宅でその子に合った学びの手法を取り入れるなどの工夫をすることで勉強への苦手意識が薄れたり、1つ1つ理解しながら進めていったりと、学びをあきらめないで続けていくことができそうですね。
<参考資料>
・PR TIMES(NPO法人eboard)
1987年生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社勤務等を経てライターとして活動。主に女性の生き方、ワークスタイル、夫婦・子育て、社会問題などのジャンルで執筆。小説執筆も行い、短編小説入賞経験あり。