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2020.05.29

PMSのイライラ×子育て 子どもにイライラをぶつけないための対策とは/アンガーマネジメント【第21回】

自分でコントロールするのが難しいのがホルモンバランスの乱れや月経周期に由来するイライラや気分の落ち込み。つい子どもにキツイ言いかたをしてしまったり、イライラをぶつけてしまったりして自己嫌悪に陥ってしまうママたちは多いのではないでしょうか? そこで、自身も母親であり、アンガーマネジメントファシリテーターの長縄史子さんがPMSと感情のコントロールについてアドバイスします。

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アンガーマネジメントのトレーニングを続けていらっしゃいますか?
今回は、女性特有のPMS(月経前症候群)に伴うイライラの対処法について、紹介していきたいと思います。

意思とは関係なく湧き上がるPMSのイライラ

私たちのイライラの原因は、“べき”という考えが影響していることを以前紹介しました

“べき”というのは、自分の理想や欲求、価値観を表す言葉。宿題はするべき、ルールは守るべき、出したものは片付けるべき…など、私たちの頭の中には、さまざまな“べき”があり、そこに反することが起き、自分の思い通りにいかないためにイライラ・ムカムカしてしまうのです。

ところが、ほかにもイライラする原因があるといわれています。それは、ホルモンバランスの崩れです。やっかいなのは、自分の意思と関係なくイライラしてしまうということ。特に女性は月経があることでホルモンバランスの崩れによる影響を受けやすいですよね。

何だか無性にイライラすると思ったら、PMS(Premenstual Syndrome月経前症候群:以下PMSと表記)の影響だったということもあります。

PMSとは…

月経前の3~10日間、情緒不安定、イライラ、抑うつ、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感などの精神的症状や腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどの身体的症状が起きること。はっきりとした原因が分かっておらず、月経開始とともに軽快ないし消失します。

 

参考資料:公益社団法人 日本産科婦人科学会HP

PMSによるイライラや気分の落ち込みなどの感情の揺らぎに悩まされているという女性は決して少なくはありません。

特に怒りは身近な人にぶつけやすくなります。感情のまま家族に怒鳴ってしまったり、一日中不機嫌な状態で過ごして家族にうっとうしがられたり…(そして怒気は家族に伝染します)。

6秒ルールで冷静になろうと試みても感情のコントロールが難しいと感じてしまうこともあるでしょう。

怒りのピークへの対処法である“6秒ルール”を使ったテクニック、詳しい説明はこちら

叱って後悔しないよう怒りのピークを乗り越える6秒間トレーニング

毎月のことなのに感情のコントロールがうまくいかず後悔や罪悪感を抱いてしまうという繰り返しに「一体どうすればいいの?」と思っている人もいるのではなでしょうか。

PMSでイライラする回数が多い人へ3つの対処法

まず、PMSによるイライラに悩まされている人は、自分の月経周期を知ることで月経1週間ほど前から警戒することができます。PMSを悪化させないためにできることを取り入れていきましょう。

PMSによるイライラにもレベルがあると思います。いつもよりもカチンとくる頻度が高いというのであれば、今までお伝えしている心理トレーニングであるアンガーマネジメントのテクニックを駆使していくことで、怒りをまき散らすなど後悔するような言動を防ぐことができます。

その場を離れる「タイムアウト」

何だかいつもと違ってイライラが収まらないようなとき。ホルモンバランスが影響しているので自分の意思による感情のコントロールがなかなか難しい…、そんなときは「タイムアウト」のように、まずはその場を離れることをオススメします。

「タイムアウト」のやり方、詳しいルールなどはこちら

イライラしやすい忙しい朝でも叱り過ぎないための3つの方法

静かに怒りを抑える「腹式呼吸法」

「呼吸法」も簡単に取り入れることができます。怒ると呼吸が浅くなります。腹や胸が圧迫されている状態になり息がしづらくなるからです。

呼吸は自律神経に支配されていますが、自分で呼吸を意識することで自律神経をコントロールすることができるといわれています。特に、“腹式呼吸”。怒ると交感神経が働きますが、腹式呼吸によって横隔膜が上下し、太陽神経叢という自律神経を刺激して“副交感神経”が働くのでリラックスモードになるのです。ゆっくりと吐ききるなど呼吸を意識してみるといいですね。

副交感神経を刺激する「有酸素運動」

ほかにもストレッチやヨガ、ジョギングやサイクリング、水泳などのような「有酸素運動」を取り入れていくこともできます。有酸素運動によって体内に酸素が取り入れられることで神経の新陳代謝を助ける血液や脳脊髄液の流れが良くなり、副交感神経を活性化する働きがあるからです。

PMSのイライラレベルがひどい人へ2つの対処法

PMS中は、イライラレベルが一気に上がってしまいがちという人は、とにかくイライラを悪化させない対策をとるようにしましょう。

香りで感情を司る脳へ働きかける

ちなみに私はアロマも活用しています。芳香成分が嗅覚を刺激し、感情を司る「大脳辺縁系」に伝達され、直接「視床下部」に働きかけて自律神経やホルモンのバランスを整えることができるといわれているからです(ラベンダー、クラリセージ、カモミール、ゼラニウムなどリラックスできるような香りやホルモンに作用するような香りがよいとされます)。

献立はイライラ対策を中心に

食べ物も取り入れやすいPMS対策です。ホルモンバランスを整える働きのあるビタミンE、ビタミンB6やイソフラボン、神経を落ち着かせる作用のあるカルシウムやマグネシウム、普段から貧血がある人は鉄分不足も気にかけるといいそうです。

私は鉄欠乏性貧血があるほか、どちらかというと腰痛や頭痛など身体面の影響を受けやすいので、ラム肉や鳥のささ身、納豆を食べるようにしたり、きな粉牛乳ドリンクなど食べ物による対策も取り入れています。

なおPMSでは、カフェインや砂糖も控えるとよいといわれています。カフェインは脳を興奮させ、砂糖は血糖値を急に上げるのでイライラに繋がるからです。

<参考文献>

・厚生労働科学研究費補助金事業「女性の健康推進室 ヘルスケアラボWEBサイト」

・厚生労働省HP

PMSのイライラ解消は漢方、薬の力を借りてもいい

明らかな病気ではない場合、心や体の不調の状態を他人と比べるのは難しいことです。「自分の問題だから」「気の持ちようだから」と、毎月ツライ期間を切り抜けようとしている人も多いことでしょう。

しかし、中にはPMDD(Premenstrual dysphoric disorder:月経前不快気分障害)という場合もあります。

PMDDとは…

PMSの中でも特に精神的な症状が悪化してしまう症状のこと。絶望感にさいなまれたり、涙が止まらなくなってしまったり、イライラして攻撃的になったりなど感情のコントロールが難しくなってしまう。

参考サイト:バイエル薬品「生理のミカタ」

ここまで、イライラしたときの対処法などを紹介してきましたが、PMS/PMDDの根本的な改善を考えるのであれば、医師に相談するのもひとつの選択肢です。ホルモン療法や漢方が合うという話もよく聞きます。

大切なことはイライラを放置しないということ。イライラ改善にはいくつもの解決策があるはずです。ホルモンバランスによるイライラは手ごわいこともありますが、自分に合う改善策を見つけていけるといいですね。

今日からできることを少しずつトレーニング。アンガーマネジメントにレッツトライ!

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長縄史子

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会(東京)アンガーマネジメントファシリテーター。子育てや教育・福祉・司法関係において、心に触れる実践的なアンガーマネジメントを伝え、一人一人が大切にされる教育社会を目指して怒りの連鎖を断ち切るために活動を続けている。著書に「マンガでわかる怒らない子育て」(永岡書店)「イラスト版子どものアンガーマネジメント~怒りをコントロールする43のスキル」(合同出版)などがある。 https://www.angermanagement.co.jp/

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