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2020.04.30

マイナス思考・心配性を直すためアンガーマネジメントで感情のコントロールをしていこう

体質的に欧米人に比べてマイナス思考が強いといわれている日本人。特に子育て世代は、子どもにまつわる人間関係のおつき合いや子ども自身の悩みを受け取めたりなどするため、マイナス思考の負のループに陥りがち。マイナス思考や心配性とはどうすればコントロールできるのでしょう。そこで、アンガーマネジメントファシリテーターの長縄史子さんに感情コントロールの方法を聞きました。

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今回のお悩み

もともとマイナス思考で心配性。子どもが学校で友達に嫌な思いをさせられたという話を聞いたり見たりすると、子ども以上に落ち込んで必要以上に心配をしてしまいます。また、相手は忙しかっただけかもしれないのに、ママ友のあいさつが素っ気なかっただけで「何かしてしまったかも?」と不安になってしまいます。不安そうな親に育てられた子どもに悪影響はあるの? 感情のコントロールができるようになりたいです。(小学3年生・女子の母/42歳)

あなたを苦しめるマイナス思考を止めるコツとは

感情そのものに良し悪しはありませんが、心配や不安などマイナスの感情によって毎日が心地悪いのであれば、何とかしていきたいものですよね。アンガーマネジメントの考え方は、ネガティブな感情をコントロールすることにも役立ちます

そこで今回は、“認識(思考)の修正と整理”を中心にお伝えしたいと思います。怒りや不安、心配などの感情は、物事の受け取り方や考え方、いわゆる「認識(思考)」によって生まれます。「認識(思考)の修正」とは、自分の思考回路(受け取り方)を変えること。そうすることによって、感情も変わっていきます。

例えば、

「ママ友の挨拶が素っ気ない」という“出来事”について、「私が何かしてしまって嫌われたのかもしれない」と“受け取る”と、不安、恐れ、自己嫌悪などの“マイナスな感情”が生まれてしまいますね。

では、同じ出来事について受け取り方を変えるとどうなるでしょうか? 感情がどのように変化するかを見ていきましょう。

受け取り方を変えてみよう

受け取り方:私が何かしてしまったのかもしれない

感情:不安

   ↓

受け取り方:ママ友は余裕がないのかもしれない(そっとしておいてあげよう)

感情:気の毒、憐憫

 

受け取り方:ママ友は、他に何かに気を取られていたのかもしれない(気にならない)

感情:静穏

このようにいかに普段から私たちは自分の中の受け取り方によって生まれた感情に左右されているか分かると思います。不安や心配ごとが多いということは、物事を悪く考えやすくなっているということでもあります。

相談内容を読むと、相談者の方は、自分自身の考え方に対してもマイナス思考を抱いているように感じましたが、“自分自身に対する評価”も考え方一つで変えられます

自己評価の変え方(発想の転換)例

・マイナス思考や心配性である自分が嫌

→ 慎重で細かいことに気がつけるしっかり者

・子どもが学校で友達に嫌な思いをさせられたことを聞いて落ち込む

→ 子どもの気持ちをくむことができて共感力が高い

どうですか? 気持ちも違ってきますよね。もし、日常的にマイナス思考に支配されて負のループになっているのであれば、一つの側面から捉えるのではなく、多角的に物事を考えてみるトレーニングをして、マイナス思考を止めるようにしていきましょう。

マイナス思考は書いて直す! 2つの方法を紹介

それでも日常的に不安や心配などのマイナスの感情に振り回されてしまい、他の見方や考え方が思いつきにくいのであれば、次の2つの方法を併せて試してみることをおすすめします。マイナス思考を止めるきっかけになるはずです。

  • 不安ログ(書き出して仕分けする)
  • ハッピーログ(些細な幸せ・喜びを書き出す)

不安ログとは

もし、不安や心配で悩んでいることが「自分で変えられないこと」だったらどうでしょう? 変えられないことを悩み続けても何にもなりませんよね。

まずは、悩んでいることについて書き出し、分類をして整理してみましょう。

  1. 自分で変えられることか変えられないことか
  2. 重要なことか重要ではないことか

という2つの軸を元に4つのカテゴリーに分けていきます。これは、以前紹介した、“怒る意味”がある・なしを仕分ける方法と同じです。

“怒る意味”がある・なしを仕分ける方法についての記事はこちら

怒ってばかりの子育てを変える!怒りの仕分けを始めよう

不安を分類する4つのカテゴリー

カテゴリーA:自分で状況を変えることができ、重要なこと

(行動)いつまでにどの程度安心できたらいいのか今すぐ解決に向けて具体的に動く

 

カテゴリーB:自分で状況を変えられないが、重要なこと

(行動)現状を受け入れて、安心できる現実的な対策を探す

 

カテゴリーC:自分で状況を変えられるが、重要ではないこと

(行動)余裕があるときに取り組めばよい

 

カテゴリーD:自分で状況を変えられないし、重要でもないこと

(行動)関わらない、放っておく

A-Dのどこに入れるかは人によって異なりますし、分類の仕方に正解・不正解はありません。分類していくと、自分では変えられないことや重要ではないことに、とらわれてしまっていることに気づけるはずです。

そして、選んだ後は、次にどう行動すればよいか見えてきて、自分でコントロールできることで重要であることだけに集中ができるようになるので、マイナス思考にムダに振り回されなくなっていきます。

ハッピーログとは

不安や心配でいっぱいになると段々と苦しくなってきて前向きな気持ちになりにくくなるものです。そこであえて、うれしかったこと、楽しかったこと、ホッとしたことなど身近にある小さな幸せを思い出して書き出してみましょう。どんな小さなことでも構いません。出来事だけではなく、どんな気持ちだったのか書き出してみるとより実感しやすくなります。

書き方例

  • 窓を開けたら風が吹いてきて心地よかった
  • トーストの焼けた匂いにホッとした
  • 子どもが手伝ってくれて嬉しかった
  • 子どもが楽しそうにしているのを見て幸せな気持ちになった

たいしたことがない、こんな小さなことをわざわざ…と思わないでくださいね。身近なところに喜びの種はあるはずなのです。

不安ログとハッピーログ、ともに書き出す方法を紹介しましたが、思い出すだけではなく“書き出す”ことに意味があります。書いて“見える化”することで、優先順位や大事なことが整理され、「嫌だ」「苦しい」と思うばかりの毎日ではないことに気付き、毎日の中に希望が見えてくるはずです。

社会は変えられなくても家庭の中は変えていける

怒っているときも同じですが、親が不安そうにしていたり、心配そうにしていると、その気持ちは子どもにも伝染しやすくなるものです(=情動伝染)。

いくら親子ゲンカをしても子どもは親のことが大好きですよね。特に今は、新型コロナウイルスの影響もあり、家庭の中や社会全体にネガティブな感情が蔓延しやすい状況でもあります。

ウイルスをやっつけたり、社会を変えたりすることはできませんが、自分の機嫌は自分で変えることができます。

“認識(思考)の修正と整理”は体質改善のようなもので、クセになっているものをなおすには少し時間がかかるかもしれませんが、大切なことは、とにかく実際にやってみるということです。

マイナス思考を止めて心穏やかに過ごしていくために、ぜひアンガーマネジメントを役立てて欲しいと思います。

今日からできることを少しずつトレーニング。アンガーマネジメントにレッツトライ!

長縄史子

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会(東京)アンガーマネジメントファシリテーター。子育てや教育・福祉・司法関係において、心に触れる実践的なアンガーマネジメントを伝え、一人一人が大切にされる教育社会を目指して怒りの連鎖を断ち切るために活動を続けている。著書に「マンガでわかる怒らない子育て」(永岡書店)「イラスト版子どものアンガーマネジメント~怒りをコントロールする43のスキル」(合同出版)などがある。 https://www.angermanagement.co.jp/

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