2019.12.13

子育てにイライラする親としない親の違い。ムダに怒らないトレーニング5選

子育てにイライラはつきもの。分かってはいるけど、怒ってばかりの毎日がいやになってしまったり、怒り過ぎてしまったと後悔することもありますよね。どうすれば、この怒りやイライラは減らせるのでしょう。そこで、日本アンガーマネジメント協会ファシリテ―ターの長縄史子さんに教えてもらった今日から実践できる怒りとの付き合い方を紹介します。

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【目次】

イライラする親としない親の違いとは

【トレーニング1】5つの質問で自分の怒りの特徴を知ろう

【トレーニング2】自分の怒りパターンを客観視してみよう

【トレーニング3】怒りの裏にある本音(第一次感情)と向き合おう

【トレーニング4】イライラの原因は自分の中(思考のクセ)にある

【トレーニング5】子どもとの怒りの傾向を診断しよう

【番外編】とっさの怒りに! すぐに使える3個のテクニック

 

イライラする親としない親の違いとは

一般的に考えて、怒りたくて怒っている保護者はいません。その一方で、怒りを感じない人間もいないはずです。では、どうして、いつもイライラしているママとしないママがいるのでしょうか? 

 

それは、後者のママは怒りやイライラを感じても感情に振り回されないからです。イライラしている人としない人の違いは、イライラしても怒りをうまくコントロールできるかどうかなのです。しかし、その怒りのコントロールは、誰もが当たり前にできるようになるわけではありません。もともとの性格や育ってきた家庭環境、今、置かれている状況など、さまざまな理由で怒りのコントロールスキルには、個人差があります。

 

自分のことを「怒り過ぎ?」「いつもイライラしてる」と感じるなら、怒りをコントロールできるようになれば、“イライラしてないママ(パパ)”にだってなれるのです。

 

そこで役立つのが、1970年代にアメリカで誕生した「アンガーマネジメント」。人間(動物)の本能である怒りを否定するのではなく、怒りやイライラと上手く付き合うトレーニングを実践しやすく紐解いたもので、イライラしない保護者になるヒントがいっぱいです。そこで、次からは、イライラしない親になるための具体的なトレーニングを紹介していきましょう。

 

トレーニングは、すべてをやらなくてはいけないわけではありません。できることからでも始めれば、イライラママ(パパ)卒業の第一歩です。

 

 

 

【トレーニング1】5つの質問で自分の怒りの特徴を知ろう

すぐにカッとする人、常にイライラ怒っている人など、ひとことで“イライラしている親”といっても怒り方は人によって違うもの。自分の怒り方を知らなければ、怒りをコントロールすることも対策を練っていくこともできません。

 

まずは、アンガーマネジメントで自分がいつもどんな風に怒っているのかを振り返ってみましょう。次の項目をYESかNOで答えてみてください。自分自身、どんな怒りの特徴があるかが分かります。

 

怒りの特徴を知る5つの質問

1.1日に何度も怒ってしまう。【YES・NO】

2.思い出し怒りをしてしまう。【YES・NO】

3.強く怒ってしまう。【YES・NO】

4.怒ったときに、誰かを責めたりモノに当たってしまう。【YES・NO】

5.怒った後で自己嫌悪に陥り自分を責めてしまう。【YES・NO】

 

どうでしたか? それぞれの質問にYESと答えた人には下記の怒りの特徴があります。

 

怒りの特徴 診断結果

1がYESの人は「怒りの頻度」が高く、しょっちゅう怒ってしまう。

2がYESの人は「怒りの持続性」があり、忘れられない怒りがある。

3がYESの人は「怒りの強度」が高く、一度怒ると止まらない。

4と5がYESの人は「怒りの攻撃性」があり、他人を責めたり、自分を責めたり、モノに当たってしまう。

 

結果を見て全部に当てはまっているかもと落ち込む必要はありません

 

例えば…

怒りの頻度が高い場合は、こまめな気分転換

怒りの持続性が高い場合は、“今”に意識を集中できるようにする

怒りの強度が高い人は、怒りを数値化する

「怒りの攻撃性」がある人は、自分や他人を傷つけず、モノを壊さない など、

 

怒りの特徴に合った対策をしていけば大丈夫。安心してくださいね! 5つの怒りの特徴に合った詳しい対策は下記の記事で紹介していますよ。

 

【怒り診断】自分の怒りのタイプを知ることから始めよう

 

 

【トレーニング2】自分の怒りパターンを客観視してみよう

【トレーニング1】で怒りの特徴に気付いたあとは、怒りのパターンについても振り返ってみましょう。そこで、アンガーマネジメントで取り入れられているのは、「アンガーログ」という怒りの記録です。

 

やり方は簡単で、1週間以内の怒ったこと・イライラしたことの下記①~④の項目を紙に書き出してみるのです。

 

アンガーログに書くこと

①いつ、どこで

②何があったのか(事実)

③欲求と感情(本当はどうして欲しかったのか、怒りの裏にある本当の気持ちは何か)

④怒りのレベル(怒りのレベルはどのくらいだったか、10段階であらわしてみましょう)

 

「書くという作業はクールダウンでき、できごとを客観視することができます。ポイントは、分析せずに直感で書いてみること。記録がたまっていくと、自分が怒っていること、イライラしていることのパターンがみえてきます」(長縄さん)

 

そして、自分が怒るパターンが見えてくると、「何度も言わせないで!」「いつもいつも!」と、同じことに対して同じように怒る前に、怒らなくて済むような対策もしやすくなっていくはずです。「アンガーログ」を使って、怒りの許容範囲を広げていく方法、下記の記事で詳しく解説しています。

 

怒りのパターンを知ることができる「アンガーログ」をつけてみよう

 

 

 

 

【トレーニング3】怒りの裏にある本音(第一次感情)と向き合おう

【トレーニング1、2】で怒りの特徴やパターンは分かりましたが、これで自分の“怒り”を分かったつもりになるのはまだ早いですよ。次は、怒りの裏にある本音を見つめ直してみましょう。

 

怒りやイライラの裏には本当の“気持ち”である“第一次感情(つらい、苦しい、悲しい、寂しい、恥ずかしいなどネガティブな感情)”が隠れており、“怒り”はそれら“第一次感情”を隠して表現される“第二次感情”といわれています」(長縄さん)。

 

例えば、なかなか部屋を片付けない子どもに対して腹が立つ、という場面は日常茶飯事かもしれません。でも、その裏側にある気持ち(第一次感情)はどうでしょう? 

 

疲れている日は、片付いていない部屋の状態に「悲しい」というのが本音かもしれませんし、別の日は、なかなか片付けない態度に「がっかり」しているかもしれません。そんな今の自分の本心に気付くことで、今までなら怒りやイライラした態度で表現してきたできごと、子どもの態度の捉え方は変わっていくかもしれません。

 

ただ、注意しなければならないのは、自分の本当の気持ち(第一次感情)が分からないときです。「マグマのように湧き上がる怒りで大爆発してしまうとき、怒りの矛先は、言いやすいほう、弱いほうに向いてしまいます。家庭内であれば、その相手はおそらく子どもでしょう。そして、その後に感じる罪悪感や後悔は、ネガティブな第一次感情となり新たなイライラを生む種になるのです」(長縄さん)

 

こんな事態を避けるためには、自分の気持ちに気付くトレーニングをしましょう。「感情を紙に書き出してみるのもいいですよ。ただし、“眠たい”などの欲求ではなく、“眠くてツライ”などの気持ちを書くようにしましょう」(長縄さん)。詳しいトレーニングや子どもの第一次感情を知るヒントは下記の記事でも説明しています。

 

怒りの裏に隠れている本当の気持ちに気づけるようになろう

 

 

 

 

【トレーニング4】イライラの原因は自分の中(思考のクセ)にある

第一次感情を見つめ直した次は、もうひとつ自分のイライラの本質を知るアンガーマネジメントの考え方のひとつ“~べき思考”について紹介しましょう。“~べき思考”とは、人間がイライラや怒りを感じるのは、“相手”や“できごと”ではなく、自分の中で行っている“意味づけ”にあるということ。

 

例えば、子どもが食事を残してしまい、イラっとしたとします。このとき、あなたがイラっとした根底には、「ご飯は残さず食べるべき」という“自分流のルール”があり、それを目の前で破られたから怒っているということはありませんか?

 

「実は、保護者が子どもに対して怒っている場面では、子ども自身やできごとではなく、この“~すべき”という思考が裏切られた時ということも多いものです。この“~すべき”というのは、自分の理想や欲求、価値観を表す言葉。一度、あなたの心の中にある“~すべき”を紙に書き出してみてください。意外とたくさんあることにおどろくはずです。この“~すべき”を書き出しすことは「べきログ」というアンガーマネジメントのテクニックのひとつ。一緒にどの程度強く“~すべき”だと思っているのかを10段階程度で重要度も記してみてくださいね」(長縄さん)

 

書き出して冷静な目でみてみると、意外な自分の価値観に気付くこともできるかもしれませんね。書いたログを見返しながら本当に怒るべきことだったのか自問自答をしてみてください。また、下記の記事では、「べきログ」を使って夫婦間、親子間のトラブルを避ける方法なども紹介しています。

 

あなたを怒らせている正体 “~であるべき”に気づいて

 

 

 

【トレーニング5】子どもとの怒りの傾向を診断しよう

子どもにイライラするタイミングは親から子へ一方的に怒るパターンだけではないはずです。親と子の怒りの傾向によって怒りの相性も変わってきます。

 

そこで、簡易版の“アンガーマネジメント診断”で自分、子ども、パートナーなどの怒りの傾向を調べてみましょう。

 

質問

次の12の質問について1~6点までの点数をつけてください。  

                       

Q1. 世の中には守るべきルールがあり、人はそれに従うべきだ。
Q 2. ものごとは納得いくまで突き詰めたいと思う。
Q 3. 自分に自信があるほうだ。
Q 4. 人の気持ちを間違って理解していたということがよくある。
Q 5. 簡単には解決できないコンプレックスがある。
Q 6. リーダー的な役割が自分の性に合っていると思う。
Q 7. たとえ小さな不正でも見逃すべきではないと思う。
Q 8. 好き嫌いがハッキリしている。
Q 9. 自分はもっと評価されてもいいと思う。
Q 10. 自分で決めたルールを大事にしている。
Q 11. 人の言うことをそのまま素直に聞くのが苦手だ。
Q 12. 言いたいことはハッキリ主張するべきだ。

 

【点数のつけかた】
全くそう思わない:1点

そう思わない:2点

どちらかというとそう思わない:3点

どちらかというとそう思う:4点

そう思う:5点

すごくそう思う:6点

出典元)日本アンガーマネジメント協会

 

点数をつけてみて、点数の高かった

 

診断結果

下記の組み合わせで点数を合計してみましょう。最も点数が高かったところが、あなたの怒りのタイプになります。

 

熱血柴犬タイプ:【Q1】+【Q7】
白黒パンダタイプ:【Q2】+【Q8】
俺様ライオンタイプ:【Q3】+【Q9】
頑固ヒツジタイプ:【Q4】+【Q10】
慎重ウサギタイプ:【Q5】+【Q11】
自由ネコタイプ:【Q6】+【Q12】

 

では、次にそれぞれの動物の傾向を紹介しましょう。

 

熱血柴犬タイプ

正義感や道徳心が高く、マナー違反が気になるタイプ。一方で理由がないと動けないことも。怒りを和らげるコツは正しさだけにこだわらないことです。

 

白黒パンダタイプ

利己心や向上心が高く、好き嫌い、敵味方など極端にこだわりがち。イライラしないコツは、おおらかになることです。

 

俺様ライオンタイプ

自尊心が高いタイプ。大切にされないと傷つきやすい面があります。謙虚になり、意見と批判を区別して聞くようにしましょう。

 

頑固ヒツジタイプ

執着心が高いタイプ。一見穏やかそうに見えるのですが、決めたことは譲らないガンコな面があります。自分だけのルールにこだわりすぎず、楽しいことを考えましょう。

 

慎重ウサギタイプ

心を開きにくく、人を信用できずに一人で抱えてしまうことも。人と比べないことでイライラを減らせます。

 

自由ネコタイプ

フットワークが軽い自由人。ときには空気を読んで黙ったり、他者との関わり合い方を気をつけるとイライラせずに済みますよ。

 

いかがでしたか? 思い当たるフシがあったのではないのでしょうか。下記の記事では、アンガーマネジメントファシリテーターの長縄史子さんが、それぞれの動物のより詳しい解説や、子どもがその動物タイプだった場合、どう接してあげればイライラを減らせるのかというアドバイスを執筆されています。

 

セルフ診断で自分や周囲の怒りのタイプを知って怒りとうまく付き合おう

 

 

【番外編】とっさの怒りに! すぐに使える3個のテクニック

ここまでは、自分を本質から見直して変えていくトレーニングを紹介してきましたが、ここでは、一気に怒りが湧き上がってきてしまったときやいつも怒ってしまいそうなシーンで活用してほしいアンガーマネジメントテクニックを紹介します。

 

怒りのピーク(6秒)を乗りきる

長縄さんいわく、イラっとしたときに最もしてはいけないのが、「とっさに言い返したり、仕返ししたりすること」なのだそう。アンガーマネジメントでは、怒りのピークは6秒だといわれており、とにかくその6秒間をやり過ごさなければなりません。

 

「ただし、単に6秒を数えればいいわけではありません。意識を怒りからそらし、気持ちを落ち着かせて冷静になるための時間となるよう、下記の方法を試してみてはいかがでしょうか」(長縄さん)。

 

<6秒をやり過ごすための5つの方法>

①落ち着く言葉を唱える(大丈夫、何とかなるなど)

②吐ききる呼吸をする(4秒吸って、8秒吐ききる)

③目の前にある物を手に取り観察する(ペンの長さや色、コップの大きさや重さ等を観察しながら考えてみる)

④歌のサビを思い出す(好きな歌などを思い出す)

⑤100から3ずつ引く(慣れてきたら100から4ずつ引いたり、6ずつ引いたりしてみる)

 

ただし、これらの方法は慣れてしまうことも。自分なりに6秒間で心を落ち着かせる方法を考えてみるのもいいですし、下記の記事では、6秒間で気持ちが切り替えられるアイデアをさらに紹介しているので参考にしてみてくださいね。

 

イライラッ!を後悔するほどの怒りに変えないための6秒間トレーニング

 

穏やかな自分を演じる

忙しくて余裕のない朝などにおすすめだというのが、「24時間アクトカーム」というテクニックです。

 

「“アクト”は演じる、“カーム”は穏やかにという意味で、本来は24時間、穏やかな自分を演じるテクニックなのですが、イライラしがちな朝だけならどうでしょう。例えば、起床して、子どもが登校するまでの数時間だけなら演じられそうではありませんか?」(長縄さん)

 

大切なのは、何があろうとも表情や言葉、態度など穏やかに演じてみること。あなたがイライラしないことで子どもや家族の朝の空気が変わっていくかもしれません。下記の記事では、ほかにも忙しい朝に使えるテクニックを紹介しています。

 

忙しい朝の親子バトルを防ぐための方法とは?

 

とっさのつぶやきを変える

例えば、仕事や家事に疲れてきってリビングの扉を開けたら、子どものおもちゃや本で足の踏み場がない…! こんなとき、あなたの口からとっさに出てくるのは、どんな言葉ですか? 多くの人が「えーっ!」「ちょっと!」「なんで!」などの言葉を言いそうなものですが、自身も小学生の息子さんがいる長縄さんは、つぶやきを工夫しているそう。

 

「先ほど例に挙がっているつぶやきは、相手を拒絶している言葉になります。なので、私は『ほーぅ(そうきたか、と受け止める感じで)』とつぶやくようにしています。これだけのことでも、一旦、状況を受け止めることができるので、少し冷静になって『次は何と言おうか』『どんな行動をとろうか』と考えることができますよ」(長縄さん)

 

さらに、下記の記事では、相手や状況を受け止めた後、相手を許すことができるようなアンガーマネジメントトレーニングも紹介していますよ。

 

人や出来事を許せる器の大きな大人になるためのトレーニング

 

いかがでしたか? トレーニングでもテクニックでも、総じていえることは、子育ての怒りやイライラを解消するポイントは、子どもや環境など周囲を変えることではなく保護者自身にあるということです。そして、怒りやイライラの裏には、普段は見過ごしがちな深層心理が隠れています。日々のイライラを解消できるだけでなく、自分を見つめ直して変わっていこうと前向きに動き始めることで子どもとの向き合い方もポジティブに変わっていく気がしませんか?

 

 

今回の記事に協力してくれたのは…

長縄史子さん

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会(東京)アンガーマネジメントシニアファシリテーター。子育てや教育・福祉・司法関係において、心に触れる実践的なアンガーマネジメントを伝え、一人一人が大切にされる教育社会を目指して怒りの連鎖を断ち切るために活動を続けている。著書に「マンガでわかる怒らない子育て」(永岡書店)「イラスト版子どものアンガーマネジメント~怒りをコントロールする43のスキル」(合同出版)などがある。 https://www.angermanagement.co.jp/

ソクラテスのたまご記事一覧 https://soctama.jp/author/angernaganawa

<参考図書>

 

神田司

神田つかさ

ソクラテスのたまご編集部の一員。大学卒業後、新聞社勤務を経てフリーランスへ転身。週刊誌、女性誌のほか書籍などの編集、執筆も手掛ける。プライベートでは2児の母であり、社会福祉士の資格取得に向けて勉強中。

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