SDGsとは?教育目標から日本の順位まで、わかりやすく解説します

ハローキティやピコ太郎など、子どもたちにもなじみがあるキャラクターを起用して啓蒙活動が進んでいるSDGs(エス・ディー・ジーズ)。持続可能な開発のため“17のグローバル目標”と“169のターゲット(具体的目標)”からなる国際目標のことを指しています。最近では官公庁だけでなくビジネスや教育の分野でも注目度が高まっているんですよ。そこで今回は、SDGsの前身となったMDGs(ミレニアム開発目標)をはじめ、SDGsから分かる世界から見た日本の教育についてなど、小中学生の保護者として知っておきたいSDGsの基礎知識について分かりやすく紹介します。
SDGsの前身は発展途上国中心のMDGs(ミレニアム開発目標)
現在、世界共通の目標として掲げられているSDGsですが、その土台になっているのは、MDGs(エム・ディー・ジーズ)と略されるミレニアム開発目標です。
MDGsは、1990年代の国際会議やサミットで採択された国際開発目標と、2000年9月に国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言を統合したもので、支援を必要とする国際社会の課題に対し、“2015年まで”という期限付きで“8つの国際目標”と“21のターゲット”を掲げていました。
MDGs(ミレニアム開発目標)の8つの国際目標
・極度の貧困と飢餓の撲滅
・普遍的初等教育の達成
・ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
・幼児死亡率の削減
・妊産婦の健康の改善
・HIV/エイズ、マラリアその他疾病の蔓延防止
・環境の持続可能性の確保
・開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
MDGsの15年間の取り組みの中には、貧困率の減少・初等教育の就学率上昇など、目覚ましい改善が見られる目標もありました。特に貧困対策運動においては史上最大の成果をあげたといわれ、極度の貧困状態で暮らす人々が19億人(1990年)から8億3,600万人(2015年)と半数近く減少しています。
一方で課題が残ったのは、男女間の不平等や都市部と農村部の格差についてです。不平等や格差によって未だに極度の貧困状態にある人々は8億人に上り、飢餓で苦しむ人々も同数程度存在するといわれています。
そこで、国連サミットでは、これらの解決できていない課題の原因を探るなかで2015年にSDGsを採択。MDGsをそのまま継承するのではなく、発展する形で新たなる国際目標を掲げたのです。
MDGsとSDGsの違い
・MDGsでは、先進国は途上国の問題を援助をする側としていたが、先進国も援助するだけではなく先進国自体が抱える問題として対応していく必要があると考えて目標を設定
・MDGsはおもに社会的な課題に取り組んでいたのに対し、SDGsは経済成長、社会的包摂、環境保護という、相互に関連する諸要素に取り組んでいるため広範囲化している
・目標とターゲット数が大幅に増えた
・MDGsは国連や政府などの大きな機関にとっての目標としていたのに対し、SDGsは企業やNGOも取り込み、すべての人々にとっての目標としている
・MDGsは問題解決のための行動を表す目標だったが、SDGsは2030年の世界の在り方を掲げた成果を表す目標になっている
現在、SDGsには、193もの国連加盟カ国が関与し、発展途上国・先進国の垣根を超え、世界が一丸となって取り組む国際目標になっています。
<参考資料>
国連ミレニアム開発目標報告2015 MDGs達成に対する最終評価
SDGsが掲げる17個の世界共通目標とは
では、次からSDGsで立てられている17の目標について解説していきましょう。具体的な目標は下記の図で表されている通りです。

(参照元:外務省「JAPAN SDGs Action Platform」)
貧困や不平等・環境汚染など、未だに未解決な世界の諸問題が取り上げられており、持続可能で誰一人取り残さない社会や環境構築に向けて採択されています。また、17個のグローバル目標の中には、具体的目標である“ターゲット”がそれぞれに掲げられており、合計で169個存在します。
今回は、17の目標の中からソクたまらしく「4.質の高い教育をみんなに」について、詳しく見ていきましょう。
4.質の高い教育をみんなに

(参照元:同上)
世界には学校に通えない学齢期の子ども・若者が2億6,400万人いるといわれています(*)。このような世界的教育危機において、SDGsでは「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことが目標に据えられています。
ターゲット 一例
具体的な目標であるターゲットを見ていくと、国連が目指す世界の未来像をより鮮明に把握することができます。今回は「4.質の高い教育をみんなに」に関する10個のターゲットのうち3個を紹介します。
- 2030年までにすべての子どもが男女の区別なく、適切かつ有効な学習効果をもたらす、自由かつ公平で質の高い初等教育および中等教育を修了できるようにする。
- 2030年までにすべての子どもが男女の区別なく、質の高い早期幼児の開発、ケア、および就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。
- 2030年までに、すべての人々が男女の区別なく、安価で質の高い技術教育、職業教育、および大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。
ターゲットからも伺えるように、子ども・若者たちが希望ある未来へ歩む為にも、国連は初等・中等教育の充実を重要視しています。特に貧しい生活を余儀なくされている子どもたちには、教育を受けることで安定した収入を得られる仕事に就けるチャンスの増大が期待できるためです。また子ども・若者たちに限らず、あらゆる年齢・性別・国籍の人が質の高い教育にアクセスできるよう取り組まれているのが特徴です。
<参考資料>
日本の順位は162国中15位! 課題は「 10.人や国の不平等をなくそう」

(参照元:Sustainable Development Report 2019)
SDGのリアルな進捗状況が分かるサイトSustainable Development Report 2019では、世界地図で国をクリックすると、ひと目でSDGs達成度ランキングを知ることができ、各国の順位や各目標の達成度合いが細かく把握できるようになっています。
2019年10月、現在の日本は、162カ国中15位。目標別に見てみると、「4.質の高い教育をみんなに」と「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」では、SDGsで定められた目標を既に達成していますが、「 10.人や国の不平等をなくそう」では、17目標のうち唯一スコアを落としています。特にパルマ比率と呼ばれる所得格差の新指標でスコアが下がっているのが現状です。
SDGsは、日本の現状を踏まえながら、他国の現状や世界の全体像を把握することができます。もっとSDGsについて知りたいと考えるなら、国際連合広報センターが作成した「ゴー・ゴールズ!」などもおすすめ。大人も子どもも楽しみながらSDGsについて学び、世界のよりよい姿を親子で思い描いてみませんか?
<参考資料>

教育に関する有識者の皆さまと一緒に、子を持つお父さん・お母さんでもある「ソクラテスのたまご」編集部のメンバーが、子どものために大人が知っておきたいさまざまな情報を発信していきます。