怒りの見える化「アンガーログ」の書き方。日記とは違うフォーマットを紹介/アンガーマネジメント連載 第4回

怒りを書き出す「アンガーログ」。この記録を付けることで、自分の怒りのパターンが分かります。日記と混同されがちですが、「アンガーログ」には日記とは違うフォーマットがあり、客観的に自分を感情を見つめ直せますよ。効果的な書き方を専門家が説明します。
怒りの記録であるアンガーログの書き方
「“いつも”言っているよね!」
「“何度”注意したらわかるの!」
怒っているときに“いつも”“何度”というセリフが出てしまう方。“いつも”同じことで、“何度”も怒っているけれど、残念ながら何も変わらない毎日…、むなしくなってしまうというお気持ちはよくわかります。
そんな方にこそ役立ててほしいのが「アンガーログ」。アンガーマネジメントのテクニックのひとつであり、いわゆる怒りの記録です。書き出すことで、自分の怒りのパターンが見えてきて対策を考えるヒントになります。
「アンガーログ」のやり方は、まずペンと紙を用意し、最近、怒った出来事を思い出して書いていくだけです。
ただし、書き出すときに注意して欲しいことがあります。
それは、ごく最近(1週間以内)の怒りにとどめるということ。何年も根に持っていることについては書かないでおきましょう。何年も引きずるような出来事は、思い出すだけで怒り心頭になってしまい、怒りから戻って来られなくなりますからね。
また、怒った出来事を書き出すときは、次の①~④の項目について書いてみて下さい。
- いつ、どこで
- 何があったのか(事実)
- 欲求と感情(本当はどうして欲しかったのか、怒りの裏にある本当の気持ちは何か)
- 怒りのレベル(怒りのレベルはどのくらいだったか、10段階であらわしてみましょう)
頭でまとめるのではなく、実際に“書き出す”ということに意味があるのです。書くことでクールダウンができますし、またその出来事について客観的に見つめることができるようになります。コツは、あまり分析しないで直感的に書くということです。

日記とアンガーログの違いとは
そういえば…ずいぶん前になりますが、「私、夫に対するイライラ日記をつけているんです!」という方がいらっしゃいました。数年間、イライラする出来事を書き続けていたそうです。ところが、読み返さなければよいのに、読み返しては夫に対してイライラを募らせる日々。怒りが次第に怨み節になっていました。
そこで「アンガーログ」を書いてもらいました。すると、今までつけていたイライラ日記では、何ひとつ解決していなかったことに気がついたそうです。
通常の日記とアンガーログは、
①日時場所
②出来事
までは何も変わりません。
しかし、次からが違います。
③本当はどうして欲しかったのか、怒りの裏にある本当の気持ちは何か
④怒りのレベル
これを書き出すことによって、今まで見えていなかったことが見えてきたとのこと。
「本当はもっと家事を手伝って欲しい→ガッカリ、不満」怒りレベル6
「たまには1人の時間が欲しい→辛い」怒りレベル3
怒りを知ることは、自分を知ることでもあります。怒りの裏にある本当の気持ちや欲求に気づくことで、誰かのせい、何かのせいにしていた怒りが、実は自分の問題であったことにハッとする人が多いのです。

アンガーログは客観的に自分を見つめるツール
なかには、本当は怒りの裏に“寂しい”という気持ちがあり、それが怒りとなって子どもに対する八つ当たりになってしまっていた…と涙ぐんで話してくださる方もいます。
怒りを感じたその度に「アンガーログ」をサッと書いてみましょう。ここでのポイントは、あまり深く考えすぎたり、分析したりしないことです!
あくまでも自分の怒りについて客観的に見つめるツールなので、気分が落ちているときにムリをして書く必要はありません。
今後も実践的なテクニックと一緒にアンガーマネジメントをご紹介していきたいと思います。今日からできることを少しずつトレーニング。アンガーマネジメントにレッツトライ!

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会(東京)アンガーマネジメントファシリテーター。子育てや教育・福祉・司法関係において、心に触れる実践的なアンガーマネジメントを伝え、一人一人が大切にされる教育社会を目指して怒りの連鎖を断ち切るために活動を続けている。著書に「マンガでわかる怒らない子育て」(永岡書店)「イラスト版子どものアンガーマネジメント~怒りをコントロールする43のスキル」(合同出版)などがある。 https://www.angermanagement.co.jp/