英語のリスニング強化!”聞き流し”より”精聴”がポイント

「英語を聞き流すだけでリスニング力を上げる」という広告を目にすることはないでしょうか。本当に英語を聞き流すだけでリスニング力が上がるのなら夢のような話です。しかし、英語を聞き流すだけではほとんど身につきません。ただしポイントを押さえて工夫すれば、英語を聞くことで向上につながることは可能です。そのポイントをお伝えします。
英語を聞き流すのはなぜ効果がないのか
確かに英語を聞くことはリスニング力を高める効果があります。
しかし、英語を聞き慣れさえすればリスニング力が上がるわけではありません。
知らない単語ばかりで意味がわからない状態で、英語を聞き流しても”雑音”と同じだからです。
集中して聞いていない”聞き流し”なら、なおさら効果がありません。
英語はある程度意味がわかっているものを”精聴”し、理解しようと努めることでリスニング力がついてきます。
音の特徴やつながりに気づいたり、聞き取れなかったところを推測したりする作業を通して、しだいに意味を理解できるようになっていきます。
また、通常話される速度で英文の意味を理解するには、英語に充分慣れ、英語を日本語に変換せずに英語のまま理解する必要があります。
多くの英語に触れるには、参考書についているCDの英文音声だけではなく、スマホアプリを活用したり、YouTubeなどの無料サイト、huluやAmazonプライム・ビデオなどの動画を見たりするなどの方法があります。
以下にまとめたポイントを参考に、集中して英語を聞いてみることをおすすめします。
英語を聞く前に意識するべきこと
リスニング力を高めるためには、英語を聞く前に英語の特性を理解する必要があります。
その特性のひとつとして、日本語は母音がアイウエオの5つなのに対し、英語は26もの母音があります。
これは、日本語では使用されない英語特有の発音です。
はじめにこの発音を知識として把握します。
特性の2つめとして、英語の文では”リエゾン(リンキング)”や、”リダクション・フラッピング”という現象があります。
これらは、ある条件中で本来の発音が変化したり、発音が弱くなったりする現象で、英語が聞き取りづらくなる要因でもあります。
これらは主なパターンや法則があります。
どんなものがあるのか、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
3つめの特徴としてあげられるのは、英語と日本語では語順が違うという点です。
英語では”誰が・何をする(した・しない)”という最も大事な情報を一番前にもってきて、英語独特のリズムを生み出しています。
英語を聞くとき、語順を意識し、特に文のはじめを集中して聞き取るように心がけます。
英語を聞いたあとにするべきこと
英語を集中して聞いたあとは、聞き取れなかった部分を推測します。
そして、わからなかった単語や表現を調べ、日本語訳をチェックし、英語の知識を深めます。
英文や意味を確認したら、再度その英文を聞いてみます。
最初は聞き取れなかった英文の音の繋がりが、自然と聞き取れるようになっているはずです。
また、聞いた英語を精読することも効果があります。
最終的に、英語の音声に遅れて真似して発音するという”シャドーイング”ができるようになるまでくり返すと、リスニング力向上に効果的です。
さらに“聞いている英文を書き取る”という方法があります。
地道な作業ですが、くり返し聞き、聞き取れるだけ書き取ります。
そうすることで聞き取れた部分と聞き取れなかった部分が明確化され、後者を強化していくことが可能になります。
このように、聞くこと以外にも時間をとって英語を勉強することにより、リスニング力向上が期待できます。
英語を聞き流すというのは、音に慣れるという意味では効果があります。
しかし、リスニング力を伸ばすには、優先してやるべき作業が他に多くあります。
英語の発音についての知識を深めることも重要ですし、英語を集中して聞き、聞き取れたところや理解できたところと、そうでないところを明確化するステップも大切です。
わからなかった箇所を調べて知識として蓄えるのは言うまでもありません。
英語の音読もくり返しが必要です。
このような地道な作業によってリスニング力はレベルアップしていくのです。

教育・受験指導専門家の西村創が主宰する「西村教育研究チーム」のメンバー、フリーライター。自身も高校受験、大学受験を経験し、県立進学校、有名私立大学に合格。大学受験ではAO推薦合格の実績がある。大学在学中、大手塾講師や公文式の採点助手等、小学生から高校生の勉強をみる傍ら、児童館でのアルバイトやボランティア活動で多くの子どもと関わりをもつ。現在、幼稚園入学を控えた娘と妊娠中の第二子を抱え、駆け出しのライターとして日々執筆に奮闘中。