教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.02.06

【今さら聞けない】義務教育は子どもにとって本当に必要な制度なの?

国民の3大義務のひとつ「教育の義務」。義務教育は、誰もが知るところですが、何のため、誰のためのものであり、私たちにはどんなことが保障されているのでしょう。また、義務教育の小中学校9年間、すべての出席日数を確保しなければ義務に違反してしまうのでしょうか。日本の教育の基礎ともいえる義務教育の仕組みについて紹介していきます。

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義務教育はいつから始まったのか?

私たちが持つ教育の義務と権利。それらは日本国憲法26条に次のように定められています。

 

1すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

2すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

 

上記には、子どもには平等に教育を受ける権利があること、そして、保護者は子どもに等しく教育を受けさせる義務があることが書かれています。つまり、義務教育の義務は、保護者に対する義務だということが分かります。

 

では、義務教育はどのように私たちの生活に浸透していったのでしょうか。

 

歴史を遡ると、日本の義務教育は明治5年に制定された学制から始まります。鎖国が終わり、諸外国と渡り歩ける強い日本を作るための教育が必要だという考えからでした。しかし、当時は授業料が有料。子どもを大切な労働力と考えていた地域もあり、学校へ通う子どもは多くはありませんでした。

 

その後、明治33年に義務教育の無償化と就学の義務が明確に規定され、学校へ通う子どもが一気に増えました。 そして、第二次世界大戦後に制定された現行の日本国憲法では、教育にまつわる義務と権利が初めて法律で定められました。

 

文部科学省義務教育で無償になる範囲は?によると、義務教育の主な目的は教育を受ける権利を守ること。そして、義務教育を通して共通の言語、文化、倫理観を学び、国家としてまとまりを持つこととされています。そして、これらの義務教育の意義は時代の変化によることなく維持されるものであると考えられています。

 

 

義務教育で無償になる範囲は?

次に義務教育の費用について紹介しましょう。

 

前述の憲法26条では「義務教育はこれを無償とする」と記載されていましたが、実際には学校に通うための費用の全額が無償ではありません。現状、無償となる範囲は授業料と教科書代

 

下記は保護者の負担となります。

・ランドセルや筆記用具、文具などの学用品

・問題集や学習帳、理科の実験キッドなどの学習教材費

・学校給食費/通学費/修学旅行代金 

※所得により、一部公的助成や減額又は無償になる場合もあります。(文部科学省HP「義務教育公立学校における無償の範囲」より)

 

ただし、上記は公立学校の場合です。私立校の場合、「私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業について」という制度があり、私立小中学校の授業料は世帯の所得額によって支援されています。例えば、年収400万円未満の世帯であるなど一定の条件を満たし、居住する都道府県の審査に通過すると最大10万円の授業料補助を受けることができます。

 

この制度は、私立小中学校を選択した理由や家庭の経済状況など文部科学省が実態を調査する目的があり、平成33年度まで実施される予定です。 

 

 

不登校は教育の義務の違反にはならない

先ほど紹介したように憲法では、“保護者には子どもに教育を受けさせる義務がある”と定められています。しかし、何らかの理由で学校に通えていない“不登校”の場合、保護者は義務を放棄していることになるのでしょうか。

 

学校教育法18条では、下記のように書かれています。

 

保護者が就学させる義務のある子どもに、病気、発育不完全そのほか、やむを得ない理由がある場合、保護者に対しての教育の義務を猶予または免除することができる

 

例えば、入院が必要なケガや病気である子、学校に行きたくない子、学校へ行かせても子どもが安心して過ごせる環境が用意できないとう場合、また、いじめにあっている場合などは「出席させないことに正当な事由がある」と認められるのです。

 

このように学校へ行けない理由が「やむを得ない事由」と判断される場合、不登校は憲法違反にはならないのです。

 

また、文部科学省が2016年に成立させた教育機会確保法には「やむを得ない理由によって休むことを受け入れやすくなる」ことと「学校以外の場の重要性」が盛り込まれています。

 

子どもが安心して過ごせる環境を作ることが大切であり、支援センターやフリースクールなど学校以外で学ぶことも教育のひとつであるということを国が示しているのです。

 

 

まとめ

義務教育は、無償でたくさんのことを学べる今の日本人だから得られる権利です。 しかし、心や体を壊してまで絶対に行かなくてはならないものではないと法律でいわれています。

 

10年間の不登校を経て高校3年生で起業家となった小幡和輝さんの著者「学校は行かなくてもいい」(健康ジャーナル社刊)では、つらいなら学校へ行かない選択肢があること、不登校になったときに安心して過ごせる居場所や仲間、コミュニティをもつことの大切さが書かれていました。

 

近年、教育の場は、小中学校に限らず支援センターやフリースクール、ホームスクールなど多様に変化していることの認知が広がっています。“義務教育=特定の小中学校である”という意識にはとらわれず、子どもが自分らしく学ぶことができる9年間として過ごしていけたらいいですね。

 

真帆

真帆

2005年茨城大学教育学部卒業。小中学校、高校の教員免許取得。自分の子どもが発達障害であることをきっかけに、子どもの脳の発達の仕方や個性・強みを伸ばすための声かけ方、教育の関わり方を改めて学び中。朝起きとマインドフルネスを日課にする二児の母。

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